Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

時給換算数百円のライティング案件には手を出すべきではない

クラウドソーシングでよく見かける文字単価0.5円のライティング案件。手数料で20%も抜かれるから、時給換算だと数百円にしかならないことも多い。

下記のブログでは『時給にすると96円!』と低単価に嘆くWebライターの話が紹介されていた。

記事中で言及されるWebライターは『1200文字、報酬600円(手数料引きで実質480円)、調べ物に5時間を要するライティング案件』を受注したようだ。

記事品質が問われない低単価案件(サテライトサイト量産問題)

僕の知っている2013年頃は、この手の低単価案件はアフィリエイターがサテライトサイトを大量生産するために発注をかけていた。そして記事の品質はほとんど問われないのが通例だった。

だからおかしいのは報酬額ではなくて『調べ物に5時間を要する』の部分。こんなのは15分くらいでちゃちゃっと1200文字仕上げれば、そこそこ良い時給になるよね? というのが当時の感覚としてある。

逆説的に、クライアント側が文字単価0.5円で発注をかけるのであれば『どんなに低品質な記事が納品されたとしても文句は言えませんよ』の暗黙の了解を受け入れなければならない。

単価0.5円の記事をメインサイトに使うなんて、とんでもない話。安物買いの銭失いとはよく言ったものだ。それでサイト全体の検索順位が伸びなくて頭を抱えているクライアントさんが、たびたび僕のところにSEO相談へ来る。頼むから単価を上げてくださいと毎回言っているのだが……。

低単価で書かれた低品質な記事が、今日のインターネットを使いづらいものにした。ブラックアフィリエイターたちが負の遺産を残していったのは、言うまでもない。サテライトサイト量産のようなブラックハットSEOに、間接的にでもWebライターは加担すべきではない。

記事品質が問われる低単価案件(ゼロがひとつ足りない問題)

もしも『調べ物に5時間を要する』が本当ならば、やはり報酬のゼロの数が足りないと言わざるを得ない。600円は悪いジョークだ。6000円で最低ラインといったところ。

冒頭に挙げたピピピピピ氏のブログ記事では、こんな仕事するくらいならバイトした方がいいよね、みたいなことが書かれているが、たしかにそのとおりである。

僕は、データ入力のアルバイトをしたことがある。一日中、パソコンのテンキーで数字を打つだけのつまらない仕事ではあったが、時給1300円と給与は悪くない。

なんてったって楽な仕事で、マニュアル通りにキーボードをぽちぽちするだけ(といってもそれなりのタイピング速度が求められたが)。あとは職場に流れるFMラジオを聴きながら、とりとめもない妄想に耽っていたら終業のチャイムが鳴る。

真夏でも冷房の効いた涼しい部屋だったし、10分休みもちょくちょくあったし。あれ、僕が今現在置かれている労働環境よりもあのときのバイトの方が恵まれているのでは……、くっ、目から涙が……。

とはいえ、Webライター業をする人には、何らかの特殊な事情がある。(その内容は人それぞれ異なるが)アルバイトのできないそれ相応の理由があるから、やむなくWebライターをする人も多いと思う。僕自身もそうした事情についてはよく理解している。

ただそれでも、時給換算数百円のライティング案件には手を出すべきではない。

すごくリアルなことを言うと、文字単価1円未満の仕事を長く請けていると、将来の厄介ごとが増えてしまうのだ。数年後に好条件の文字単価で働けるようになってからも、かつての文字単価0.x円時代のクライアントさんとの人間的繋がりは残っている。

数年来、1文字0.5円で仕事を貰ってきたクライアントさんに「来月から単価を10倍に上げてください」とはなかなか言えないし、仮にそうなったらクライアントさんの事業が破綻してしまうことが見えている。

「仕事が手一杯でお引き受けできないので、他のライターさんにご依頼ください」とでも言おうものなら「お願いします、あなたがいないと駄目なんです! 他のライターさんだと記事の質が低すぎて!」ってそりゃあ、文字単価低いのが原因だろうと突っ込みを入れたくなるものの、長年懇意にしている相手だと関係を切るのも難しい。

今トレンドになっているアフィリエイト案件を教えたり、SEO都市伝説の誤解を解いたりして、なんとか稼げる(報酬がたくさん出せる)クライアントさんになってほしいと協力するものの、こうなると鶏と卵の関係だ。

低単価で記事を発注するからサイトの収益が上がらないのか、サイトの収益が上がらないから低単価で記事を発注してしまうのか。

愚痴が長くなってしまって申し訳ない。何にせよ、このような厄介な問題に足を踏み入れてしまう危険性もあるし、低単価で仕事を引き受けて得することは皆無である。

なにより、僕たちは命(時間)を削って書いていることを自覚しなければならない。

時給換算100円の仕事で100万円を稼ごうと思えば、1万時間も要する計算だ。1万時間だ。月20日間、8時間業務で、なんと5年もかかる。

5年もひたすら『書く』ことに専念できるのであれば、小説を書いて新人賞に投稿し続けた方がずっと成功率は良さそうに思える。

どうせ命を燃やして書くのであれば、自分が価値を感じることに、自分が楽しいと思えることに、時間を捧げよう。

(終わり)

MFクラウド確定申告を1年間使ってみた所感(具体的な難点・デメリット)

先週の2月22日に確定申告を済ませてきた。

『所得税の青色申告承認申請書』を提出済みで、複式簿記で取引管理していたため、青色申告でやってきた。でもぶっちゃけ、税金を納められるほど稼ぎがないもんで、ふつうに白色申告で良かったですね……。:;(∩´﹏`∩);:

さておき、会計ソフトには『MFクラウド確定申告』を使用した。

おそらく多くのブログやサイトでは、MFクラウドのメリットや利点を詳しく書いていることと思う。なのでこの記事では(逆張りというわけではないが)利用者目線に立ったMFクラウドの使いづらいところとデメリットを中心に書いていきたい。

【解決済み】MFクラウドの難点1:自動仕訳のデータ連携が完全ではない

MFクラウド確定申告の目玉機能として「データ連携」という仕組みがある。例えば僕は、MFクラウドと下記のサービスとを連携させている。

  • 住信SBIネット銀行
  • リクルートカード
  • A8.net
  • もしもアフィリエイト
  • もしもドロップシッピング
  • ランサーズ

で、連携すると何が便利かというと、仕訳を自動でやってくれるのだ。

ネットに晒して良いものか悩ましいが百聞は一見に如かずということで。

※1:A8.netで確定報酬が生じたタイミングで、売上高発生の仕訳をする

※2:DMMからクレジットカード払いが生じたタイミングで、通信費発生の仕訳をする(※通信費は決算処理のときに家事按分します)

※3:ランサーズでプロジェクト完了のタイミングで、報酬・システム手数料・認定ランサー指名料の仕訳をする

上記のような仕訳をデータ連携したMFクラウド側で自動でやってくれる

というわけで、この機能はめちゃくちゃ便利なのだ。

ところが残念なことに、「もしもアフィリエイト」とのデータ連携がうまくいかない。データの取得状態が《正常》と出ているのに、なぜか「もしもアフィリエイト」の報酬確定データが読み取れないみたいだ。

これは1年前からずっとそうで、運営さんには早いところ直してもらいたい不具合といえる。

追記:不具合修正されました!(2017年3月10日追記)

その後、MFクラウドのカスタマーサポートさんの方に不具合の現象を報告し、調査をしていただきました。プログラムを修正したとのことで、現在は「もしもアフィリエイトの明細が取得できない」という不具合は解消されています

カスタマーサポートの方のご対応も非常に丁寧で、好感を持ちました。

あと蛇足だけれども「もしもアフィリエイト」をサービス連携する際に、ひとつだけ注意点。もしもアフィリエイトでは、報酬振込のときに「W報酬制度」というボーナスがつくのだけれど、こちらのボーナスの方は明細に反映されない。(もしも側の仕様です)

なので、このボーナス追加分については、MFクラウドに手動で仕訳入力しなければいけない。もしもの明細と実際の振込額で金額が合わない、というのは「W報酬ボーナス」の分なので、混乱しないようにしてほしい。

MFクラウドの難点2:補助科目の設定に手間がかかる

例えば「売上高」の勘定科目に対して、「アフィリエイト報酬」「原稿料」「講演料」のようにカテゴリを設定できるのが補助科目だ。

補助科目を設定すると、収益分析や費用分析がやりやすくなるメリットがあり、僕も積極的に補助科目を活用している。

ところがMFクラウドは、補助科目を登録するのがやや面倒な仕様となっている。

具体的に「売上高」の補助科目を設定しようと思えば、下記の手順を踏む必要がある。

  1. 《各種設定》タブから《勘定科目》の項目を選択
  2. 《貸借対照表》のページを《損益計算書》のページに切り替える
  3. 《補助科目追加》のボタンから《売上高》を選択
  4. 《補助科目》を登録

この作業がどう考えても煩わしい。

「手動仕訳・簡単入力」の画面や、「仕訳帳」の設定画面から補助科目を追加できるようにするのが親切だし、そこまでいかなくともせめて勘定科目のテーブル表から直接追加できるようにすべきだと思う。

MFクラウドの難点3:簡単入力において『売掛金』の仕訳がやりづらい

付け加えて、手動で売上高を仕訳するときに「手動仕訳・簡単入力」のラジオボタンに『売掛金』の項目がなく、いちいちその他の勘定科目リストから『売掛金』を選択しなければならないのも面倒だ。

『売上高』の相手勘定科目は『売掛金』となるケースが多いのに、簡単入力で売掛金がデフォルト項目にならないのはやはりおかしい。

このあたりは使っていてとくに不便に感じるところなので、運営側に改善提案を出しておきたい。

【解決済】請求書から自動仕訳をした際に、デフォルトの取引日が請求書発行日からずれる

MFクラウドには、請求書や領収書の発行・管理ができるサービス「MFクラウド請求書」というものがあり、僕はこちらも登録している。

《MFクラウド請求書》と《MFクラウド確定申告》は連携することができ、例えば請求書発行のタイミングで、売掛金の仕訳をやってくれる

ただこのときに、仕訳の『取引日』のデフォルト項目が、どういうわけか請求書の発行日と一致しない

なので毎回、手動で『取引日』を設定し直さなければならない。かゆいところに手が届かない感じで、もったいないと思う。(すぐ下の追記参照)

問題の解決方法(追記2017年2月28日)

この件についてMFクラウド様より返信をいただき、問題の解決方法がわかりました。「MFクラウド請求書」側の設定変更で、仕訳時のデフォルト取引日を変更できるようです。

下記に手順を紹介します。

  1. MFクラウド請求書の右上歯車のマークをクリックして「帳票設定」ページを開く
  2. 「帳票詳細デフォルト設定」の項目で、【売上計上日】を《前月末》→《請求書作成日》へと変更する

これで解決です。

大変お騒がせしました。MFクラウドさんありがとうございました。

MFクラウドの難点4:過去に既存ユーザーへの配慮が足りない形で大幅なデザイン変更がおこなわれた

2016年8月に、MFクラウド確定申告の管理画面が大幅にデザイン変更された事案があった。「デザイン変更」といっても可愛らしい仕様変更ではなく、もう本当に管理画面の何もかもが一変してしまった。

もちろん、MFクラウドではユーザーに対して事前告知がされていたが、それにしてもデザインやツールの名称が大きく変わってしまったため、せっかく使い方に慣れてきた既存ユーザーの(悪い意味で)意表を突くリニューアルとなった

僕も仕様変更で大いに戸惑った。今まで見られていたグラフが見られなくなったりと、一部に改悪点もあった。(しかし全体で見ると、リニューアル後の方が使いやすくなったのは確か)

せめてここまで大規模なリニューアルの場合、ユーザーが「旧デザイン版」と「新デザイン版」のどちらかを選択できる移行期間を設けるべきであった。

運営からは「新旧ページ対照表」が公開されたが、既存ユーザーに対するそれ以外のサポートはなく、僕としては少し不信感を抱いた。

まとめ

以上、この記事ではMFクラウドの難点・デメリットを4つ挙げた。

逆説的になるけれど、1年間使ってきて上記の4つのデメリットしか気にならなかったということは、それだけMFクラウド確定申告のシステムが完成されているものだと感ずる。

そもそも確定申告ソフトは「確定申告さえ無事に終わったら目的は達成される」といった性質のもの。その点においては、MFクラウド確定申告は(不満点はゼロではないものの)100点満点中85点くらいはつけたい便利なサービスだと思う。

毎月の仕訳件数が15件以内であればフリープランも使えるし、そうでなくとも30日間の無料お試し登録ができる。

まずは試しで、MFクラウド確定申告(公式サイト)に登録してみても損はない。

ランサーズとのデータ連携(自動仕訳)は完璧にやってくれるので、ランサーズからの収入が多いWebライターの人にはMFクラウドをおすすめしたい。

補足:『自動仕訳』は適切な勘定科目を探してくれる機能ではない

留意点として、最初は勘定科目を手動設定する必要があるため、そこだけ誤解なきよう。

(とりあえず使ってみれば分かると思うけれども)例えばコンビニのATMで事業用口座から引き落としたときに『事業主貸』で手動登録すれば、以降もコンビニATMから引き落とされた際に『事業主貸』で自動仕訳される。

ところが初期登録時に『事業主貸』の勘定科目を間違えて『事業主借』でやってしまうと、以降の自動仕訳も『事業主借』が選択されてしまう。

何が適切な勘定科目かは、ユーザー側で判断しなければならない。これは自動仕訳のできるMFクラウド確定申告でも他の確定申告ソフトでも同じこと。

仮に間違った勘定科目で仕訳をしても、MFクラウド側では注意も警告もしてくれない。それだけはどうか気をつけてほしい。

何を隠そう、僕もじつは、事業主貸(事業用口座から生活費を引き落とす)と事業主借(自分のお金を事業用口座に入金する)を取り違えて仕訳してしまった経験がある。

なお記事中で述べたすべてのデメリット・難点について、MFクラウド確定申告のカスタマーサポートには「改善提案済み」である。なのでもしかしたら、この記事をお読みの頃にはこれらのデメリットは解消されているかもしれない。

以上、MFクラウド確定申告を検討される方のお役に立てれば嬉しく思う。

(終わり)

 

dアニメストアに加入したら私的に満足度がかなり高かったという話

NTTドコモが運営するアニメ見放題サービス(dアニメストア)に、今月から加入している。dアニメストアでは月額400円で全1917作品のアニメが見放題となる。(※2017年2月26日現在)

正直、普段からアニメしか観ない僕としてはAmazonプライムビデオやHuluよりも、dアニメストアの方が満足度が高かった。

dアニメストアのどこが良いのか? それは視聴可能な作品のリストを10も並べれば、分かる人にはすぐに分かると思う。

2017年2月26日現在、dアニメストアで視聴可能な私的おすすめ作品リスト

  1. ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom(2000年)
  2. キノの旅-the Beautiful World-(2003年)/何かをするために -Life goes on-・塔の国 -Free Lance-(2005年)/病気の国 -For You-(2007年)
  3. 灼眼のシャナ(2005年)/Ⅱ/OVA/SP/Ⅲ-FINAL
  4. 輪るピングドラム(2011年)
  5. ユリ熊嵐(2015年)
  6. ローリング☆ガールズ(2015年)
  7. ジョーカー・ゲーム(2016年)
  8. 喰霊-零-(2008年)
  9. planetarian ~ちいさなほしのゆめ~(2016年)
  10. けものフレンズ(2017年)

特筆すべきは「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」だろうか。今から17年も昔のアニメだが、名作中の名作である。原作ファンとしては、よくぞあの上遠野浩平ワールドを映像化したものだと感嘆に尽きない。エピソードも原作とは異なるオリジナル仕立てなので、原作未読の人にも勧められる。

とくに「serial experiments lain」が好きだった人は、必ず本作を気に入るだろうと思う。残念ながらlainの方はdアニメストアに入っていないのだが……。

とにかく、今となってはマイナーかもしれないけれど確実に名作だと断言できる作品がdアニメストアにはたくさんあって、2000年代アニメの懐古に浸りたい人にはほんとおすすめしたい。

もちろん古いのだけではなく、今期放送中のアニメも見ることができる。「けものフレンズ」とかね!

2017年2月26日現在、dアニメストアで観られなくて残念な作品

なお、dアニメストアでは下記の有名作品を視聴することができない。そのうちラインナップに加わるかもしれないが、デメリットとして視聴不可作品を挙げておきたい。

  1. serial experiments lain
  2. 魔法少女まどか☆マギカ
  3. 新世紀エヴァンゲリオン
  4. クズの本懐
  5. ガールズアンドパンツァー

このあたりの有名所が入っていないのはマイナス点といえる。

Amazonプライムビデオも、一時期だけガルパンが配信されたことで話題となったものの、気がついた頃には配信を終了してしまった。dアニメストアも同様に、配信追加もあれば配信終了もある。(ライセンス契約の関係上やむを得ないのだろう)

「地獄少女」なんてせっかく第4期が放送決定したのに、dアニメストアでは今月末で地獄少女1~3期が配信終了してしまう。大人の事情があるにせよ、ちょっと勿体無いなあ……と思う。

ちなみに配信終了される期間限定作品については、『本作は期間限定作品です 2015/12/1 10:00~2017/2/28 18:00』といったように赤字で表記がされている。なので、ある日突然に視聴中の作品が見られなくなった――という心配はしなくても大丈夫。

月額400円だから「元を取らなきゃ」というプレッシャーがない

月額400円(税抜)の価格設定は、「元を取らなきゃ」というプレッシャーがかからなくて良い。1ヶ月で1作品でも見られたら、十分にお得感がある。

ちなみに僕の視聴履歴は上の画像のとおりで、1ヶ月で9作品・56話を見た。といっても数話で切ったのが多いから、実質的には4作品。

具体的には、

  • 今期アニメ→(けものフレンズ/Rewrite 2ndシーズン)
  • 過去アニメ→(ユリ熊嵐/ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom)

といった感じ。

たった4作品の視聴であっても、月額400円だとお得感がかなりある。

価格の安さがdアニメストアのひとつのアドバンテージであることは間違いない。気楽に見られるし。

(3月現在のマイページ。10作品59話に増えた。まったく、けもフレは最高だぜ…!)

まとめ

dアニメストアのメリットを挙げておくと次の通り。

  • 作品数が1,900作品以上と多く、ニッチな名作がたくさんある
  • 今期アニメで「けものフレンズ」が見られる
  • パソコンからHD画質で見られる(対応作品のみ)
  • スマホでも高画質で見られる(Wi-Fi接続推奨)
  • ドコモユーザーでなくてももちろん会員登録できる
  • 月額400円と安く「元を取らなきゃ」感がない

そしてデメリットは次の通り。

  • わりと頻繁にログインを求められる(パスワード入力が面倒)
  • 配信終了される作品もある
  • まどマギ、ガルパン、lainが入っていない

こんなところだろうか。

スマホでパスワード入力するのが面倒なので、ログイン有効期間はもう少し伸ばしてほしいところ。

でも細かいところを除けば、かなり満足している。個人的にはアニメ見放題系サービスのなかではdアニメストアが一番良いと感じた。

とりあえずこの1年間はdアニメストアでいろんなアニメを発掘していきたい。

記事の上段落で挙げた『私的おすすめ作品リスト』は本当にめちゃおすすめなので、加入済みの方はぜひ。1作品に絞るのであれば、『喰霊-零-』を強く推したい。

(終わり)

アフィリエイトの外注記事の品質を上げるための文章チェックマーカー(自作ツール紹介)

去年に、簡単な文章チェックツールを作った。サブブログの方でこれを紹介したのだけれど、想定していた用途とは異なり「小説原稿」のチェックツールということで話題になってしまった(もちろんこれはこれで嬉しい)。

紹介記事としては重複するものの、このブログはアフィリエイターさんやWebライターさんも見てくださっているので、こちらでももう一度ご紹介したい。

1.「リライトマーカー」低品質の外注記事で多用・乱用されがちな表現をマーカーで指摘

文章推敲支援ツール「リライトマーカー」

リライトマーカーは、僕がとあるクライアントさんから「某所で外注した記事の品質がひどいので全50記事リライトしてほしい!」というヤバそうな案件を請けたときに開発したツールだ。

ちなみにクライアントさんは、1文字単価0.2円で発注をかけていた。

クオリティ重視するなら最初から単価を上げてよ!!と、僕は(クラウドソーシングライターの代わりに)悲鳴を上げた。

リライトマーカーは、端的に言えば「低品質な外注記事において多用・乱用されがちな表現」に赤マークを引いてくれる。なお、赤マーカー箇所は決して使ってはいけない表現ではない。

しかし乱用しがちな表現ではあるから、マーク箇所を別の言葉に置き換えてみれば、見かけの文章力がぐっと上昇するはず……(と開発者は期待する)。

具体的に、下記のような言葉がマーカーに引っかかる。

「~というもの」「~というのは」「~ということ」

(例)ジャガイモの皮を向くときは、ピーラーというものを使います。ピーラーというのは、英語のpeelから来ており…(中略)調理の時間を短縮できるということなのです。

原則的に「~という」の表現が出てきたら、それはほとんど省略してしまって差し支えない。

低単価で記事発注をかけると、ライター側はどうしても「文字数をできるだけ稼ごう!!」と頑張ってしまう。だから1記事に「~という」が10カ所以上も出てきてしまう。文字単価を上げよう!

※念のため繰り返すけれども、あくまで乱用するのが問題なのであり、この表現を使うこと自体は何ら問題ない。僕でさえこのツールを使うと大量に赤マークされるので、たくさん赤マーカーを引かれたとしてもどうか気を悪くしないでほしい。

ぶっちゃけ夏目漱石の文章でも太宰治の文章でも、真っ赤っかになります。仕様です。

「など」「たり」

(例)ピーラーはジャガイモやリンゴなどの皮を向いたり、キャベツをみじん切りにするなど、便利な使い方がたくさんあります。

このパターンも多く見受けられる。「~など」はついつい乱用する表現の筆頭であり、「~たり」も使い方を誤りやすい。

「こと」「もの」「それ」「これ」

キャベツはレタスと形が似ていることから、それがキャベツということに気がつかないまま買ってしまうことがあります。

上記はまだマシな例で、一文に「こと」が5個以上出てくるケースも目にした(逆にすごい)。

解説はこのくらいにして、完全無料でテキストを貼り付けるだけで使える簡単なツールなので、もし宜しければぜひご活用ください。

あと、「人工知能を使ってるんですか!? すごいですね!!」といった感じのコメントを頂いたことがあるのですが、誠に申し訳ない。当方の技術不足につき、ごくふつうのJavaScriptで動く本当に簡単なツールです。

しかしこのリライトマーカー、「マーカーが検出されすぎて使いづらい!」というご感想はあると思う。

そこで手前味噌で恐縮だが、当方の開発した残り4つの文章チェックツールを合わせてご紹介したい。

2.「接続詞検出機」テキスト中の接続詞の用法をチェックする

文章推敲支援ツール「接続詞検出機」

テキスト中の接続詞を検出して赤マークしてくれるツール。

「単語が一致しているかどうか」のみで判定するため、誤検出もあります。このツールは窓の社さんでもご紹介をいただきました。

『文章は接続詞で決まる』光文社新書(Amazon)等の文章指南書籍と合わせてご活用いただければと思う。

同じ段落中に「しかし」や「そして」が連続で出てきていないかどうか、サクッとチェックしたいときにもぜひ。

3.「指示語検出機」こそあど言葉は具体的な表現に置き換えよう!

文章推敲支援ツール「指示語検出機」

こちらはテキスト中の指示語を検出して、赤マークするツール。

例えば「これがあれしてそれがこうして、それであれなんですよ……」みたいな指示語オンパレードな文章は大変読みにくい。

本ツールを用いれば、指示語を記事中で乱用していないかどうかを確かめることができる。

もしもお暇なら、青空文庫の小説を全文コピペして当マーカーで遊んでみると、面白いと思う。小説家が指示語をどのくらいの頻度で用いているか、視覚的に眺めることができる。

残り2つのツールは、小説を書く人用に開発したもの。Webライティングで活用する機会はないと思う。でもせっかくの機会なので、下記にリンクのみ掲載したい。

上記のツール、「使い方がよくわからないよー」という方がいらっしゃいましたら、とりあえずどんな文章でも構わないので、お手持ちの長文テキストをボックスにペーストしてみてください。

ボタン等一切クリックすることなく、ただ文章を貼り付けるだけで作動します。

以上、文章を書く人のお役に立てれば嬉しく思う。

もしも「こんなツールあったらライティングの役に立つのに……」みたいなアイデアがあれば、ツイッター:五条ダン (@5jDan)の方へお気軽にメッセージください。

プログラマーでも何でもないのであまり大したものは作れませんが、物書き支援のためのツール開発は今後も続けていきたいなと考えています。

(終わり)

 

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アフィリエイトでCTRが異常に高いのはWordPressのプラグインが原因である可能性

ASPの管理画面レポート(A8.netやもしもアフィリエイト)では、CTRという指標を見ることができる。ご存じの通りCTRは「クリック数/広告表示回数」で算出される。インプレッションに対して、広告がクリックされた割合を示す指標だ。

それで先日「アフィリエイトリンクのCTRが異常に高い」という案件に出くわした。どのくらい異常に高いかというと、CTRが61.9%もあったのだ。

つまり広告を見た人の過半数がアフィリンクをクリックしているわけで、これはあまりにも高すぎる。誰かがイタズラで大量にクリックしているのか…? と訝しんだが、早い話、CTR異常値の原因は「WordPressのプラグイン」にあった。

プラグイン「Broken Link Checker」がリンクをクリックしていた

結論を述べると、ページ内にリンク切れがないかを自動的にチェックしてくれるWordPressのプラグイン「Broken Link Checker」がCTRを高めていた要因だった。

このプラグインを無効にしたところ、翌月からはCTRが1.4%に戻った。(ひ、低い……:;(∩´﹏`∩);:

本来のCTRはこんなもんで、うまくアフィリエイトサイトを作ったとしても50%を超える例は少ないんじゃないだろうか。もしもCTRがあり得ないような数値を出していたら、一度WordPressのプラグインを疑ってみると良いだろう。

Broken Link Checkerでアフィリエイトリンクのチェックを除外する方法

Broken Link Checker自体はリンク切れ発見に役立つプラグインであるから、導入しておいて損はない。

じつは設定で、特定の語句を含むURLをチェックしないようにできる。

WordPress管理画面の「設定」→「リンクチェッカー(Broken Link Checker のオプション)」→「チェックするリンクの種類」の一番下の項目に「除外リスト」がある。

スクショのように『これらの単語を含む URL のリンクをチェックしない (1行にひとつ) :』とあるので、ここに除外したいASPのリンクを記載しておく。

例えば《もしもアフィリエイト》のリンクチェックをさせない場合には「c.af.moshimo.com」と入力しておけば、この語句を含むURLが、リンク切れチェック対象から除外される。

アフィリエイトサイトにBroken Link Checkerを導入するのなら、最初に除外リストの設定をしておくのが吉だろう。(でないとCTRがおかしくなるので)

 

以上、レアな事例かもしれないが、もしかしたら同じ現象で悩んでいる人がいるかもしれない。お役に立てたら幸いです。

(了)

【追記:2017年2月7日】

かなりニッチな内容なのでアクセス数はないだろうと思っていたものの、当記事が予想以上の注目を集めてしまったようで、驚いている。

見出しでは「Broken Link Checkerがリンクをクリックしていた」と書いた。しかしこれは厳密な意味での《クリック》ではなく、Googleタグマネージャーのイベントトラッキングでは(このプラグインによる)クリックは観測できなかった。

おそらくアフィリエイトリンクへのアクセスが、ASP側でクリックとして扱われてしまったのだろう。

現時点では、『Broken Link Checkerの導入期間中にCTRが異常値となり、プラグイン停止以降は正常値に戻った』という状況証拠しかない状態で、Broken Link Checkerに100%原因があるとは断言できない。

正直なところBroken Link Checkerがどのような仕組みで動いているのか分からないところが多く、もしも当該プラグインについて情報をお持ちの方や、当記事の間違いを発見された方は、(匿名でも全然OKなので)下記の連絡先にてお知らせくださいますと助かります。

Chordana Composerで自動作曲した曲をCeVIOに歌わせてみた話

最初に告白しておくと、僕は音楽がまったくできない。音痴だし音感もないし、学校の教室でリコーダーを吹こうものなら、クラスメイトが耳を押さえて逃げ出すレベルだった。

けれど、音楽そのものは好きだ。ニコ動に投稿されたボーカロイドのPVを眺めていると、すごく胸がキュンキュンする。いいな、僕もいつかオリジナルの歌を作って発表したいな……と憧れをずっと抱えて生きてきた。

憧れを今こそ実行に移すとき!

作りました!!(ドーン

それではお聞きください。

「原稿のうた」です。

……………………

………………

…………

……

歌詞がひどい :;(∩´﹏`∩);:

 

さておき、僕は作曲はもちろん、DTMもボーカロイドも動画編集も完全に素人で、右も左も分からない。そんな自分が生まれて初めてつくったオリジナルの音楽が「原稿のうた」である。

これをどのように作ったのか、ということを解説したい。

1.作曲に用いるソフト(Chordana Composer)

Chordana Composer (コーダナ コンポーザー)はカシオ計算機株式会社が販売するスマートフォンアプリだ。

Googleプレイストアでは500円、iTunesストアでは600円で売られている。僕はAndroidユーザーなので、前者を購入した。(若干仕様が異なるらしい)

使い方は簡単。手順は次の通り。

  1. 録音ボタンを押して5秒間、自由気ままにキーボードをぽんぽん叩くか、口笛を吹く。(ハミングも可)
  2. 自動作曲ボタンを押し、ジャンルや曲調などを選択する。あとは全自動で伴奏も含めて作曲される。
  3. WAV形式、もしくはMIDI形式でエクスポートし、Googleドライブなどにアップロードする。

何も難しい作業は一切なく、このアプリを使えば文字通りネコでも作曲ができてしまう。なお伴奏用に「ボーカル部分だけを除いてWAV形式で保存」といったことも可能で、つまりカラオケ用BGMも作れる。

(余談)自動作曲における「著作権」の行方

ここで気になるのが、自動作曲した音楽の著作権は誰に帰属するのさって話である。Chordana Composerについて述べれば、じつは公式回答が得られている。

結論、Chordana Composerで作曲してできた音楽の著作権はユーザーにある。根拠となるソースを下記に2つほど挙げておきたい。

『だからこそ、Chordana Composerが作曲した曲の著作権はユーザーにあるわけなのです。』※開発者インタビュー

(引用:魔法のアプリ、Chordana Composerが持つ作曲テクニックを探る : 藤本健の“DTMステーション”

 『Chordana Composer を使って作られた曲の著作権は作られた方に帰属致します。お客様が作られた曲としてご利用することに問題ありません。 』

※カスタマーレビューに対するカシオ計算機株式会社の回答

(引用:Chordana Composer for Android - Google Play の Android アプリ

 もちろんだからと言って、99.9%を自動作曲ツールの力を借りて作った曲をこの音楽は俺が作曲しました!!と主張するつもりはさらさら無い。

ただ、カシオが「ユーザーの作った曲として自由に使ってもらって構いませんよ」と公式で回答していることはクリエイターには心強いのではないだろうか。

ボカロに歌わせたり、同人ゲームのBGM制作に使ったりと、Chordana Composerの使用用途が広がることを意味するのだから。(それ込みで500円のアプリと考えると、安すぎるくらいだ)

2.歌声の作成に用いるソフト(CeVIO)

今回はVOCALOIDのように歌声が作れるCeVIO Creative Studio Sというソフトを使用した。

詳しくは上の公式サイトをご確認されたし。

お値段は『CeVIO さとうささら ソング&トーク スターター』が10,800円。(※2017年2月2日現在)

ベクターで買うのがおすすめで、セールをよく開催しているのと(追加キャラのソングボイス単体など)オプション商品が一番充実している。(Vector「Cevio」商品ページ

ただ、購入検討中の方は公式サイトにある無料体験版を先に試すのが得策かもしれない。

ちなみに楽天市場やAmazonでも販売されている。

(ショップによって微妙に値段が違うので気になる人は最安値を。おそらくベクターでセール中に買うのが一番安い)

実際の作業画面は下のような感じ。

画面を見るとピアノの鍵盤に棒みたいのが並んでいて、難しそうに思えるかもしれない。

でもじつは、自動作曲アプリの「Chordana Composer」で保存したMIDIファイルをこちらにインポートしているだけで、僕は何もしていない。

※インポートするときはボーカルのトラックだけを選択して読み込む。(全トラックを読み込んで再生すると、PCのスペックによってはフリーズしてしまう……)

今回、CeVIOで必要となる作業は歌詞を入力するだけである。

歌詞入力を終え、あとは音階や音の長さで気になる部分があれば微調整をして、WAV形式でボーカルをエクスポートしたら終わり。

あまりに簡単すぎて、びっくりしてしまう。

(曲に合わせて歌詞を考えるのが、強いて言えば最も難しい作業となる)

 (余談)CeVIOは商用利用できるの?

CeVIOは原則として、商用利用不可である。

が、個人や同人サークルの範囲内であれば(YouTubeやニコニコ動画に投稿して広告収入を得るなど)多少の利益を得ることは許容されている。また、申請をすれば、CDやDVDにして同人誌即売会などで売ったりもできるようで、意外と許されている利用範囲が広い。

詳しくは

を確認しておきたい。

CeVIOは歌わせるだけでなく喋らせる(ナレーション・朗読)機能も備わっており、YouTubeやニコニコ動画を見ると「ゲーム実況」の用途で本ソフトを使っている人が多い印象。

僕ももともとは文章推敲用の朗読ソフトとしてCeVIOを購入した。けれど、長文朗読だとAHS社のVOICEROID(ボイスロイド)の方が綺麗に読み上げてくれるし動作も軽い。純粋な音声読み上げソフトをお探しの方には、ボイスロイドの方を薦めたい。

3.動画編集に用いるソフト(AviUtl)

今回、動画の制作にはフリーソフトであるAviUtlを使用した。

これはちょっと最初の設定や、使い方の習得が(初心者には)難しいソフトで、僕も初心者なのでうまく使い方を説明することができない。

設定方法やソフトの使い方を解説したサイトが多数あるので、インストールの前に読んでおこう。(説明書もなしに直感的に使うのは無理なタイプのソフトです)

「Chordana Composerで自動作曲した曲をCeVIOに歌わせてみる方法」のまとめ

手順をまとめると次の通り。

  1. Chordana Composerで自動作曲し、MIDI形式で保存。ボーカルトラックを除いたバージョンもWAV形式で別途保存しておくと、あとで伴奏用に使える。
  2. CeVIOにMIDIファイルのボーカルトラックを読み込ませ、歌詞を入力。歌声をWAV形式で出力。
  3. AviUtlで、ボーカルWAVと伴奏WAVとを合わせ、動画をつくる。

以上のたった3ステップで冒頭に挙げた「原稿のうた」みたいな動画が作れてしまう。なんとも画期的なことだと思う。

作詞スキル、ボイス調整スキル、動画制作スキル等のレベル上げを頑張れば、(たとえ作曲スキルがなくとも)ボーカロイド・CeVIOのPVを作ることができる。

夢と可能性のある時代を素直に喜ぶとともに、これらの素晴らしいツールを開発してくださった方々に深く感謝したい。

そして次こそは、もっと良い音楽を作れるよう頑張りたい。

読者の皆様におかれましては、ぜひ、僕こと「五条ダン(時巻クラブ) - YouTube」のYouTubeチャンネルをフォローして、今後の音楽活動(?)を暖かい目で見守ってくださればとても喜びます。

(了)

第一回「文学フリマ京都」に初めて出店参加した話

 一月二十二日(日)に開催された、文学フリマ京都に出店参加した。サークルとして出店するのは今回が初めてで、就活の面接並みに緊張をする。ポストカードに販促用のキャッチコピーを書こうにも、手が震えてしまってまともに線が引けない有様だった。

 幸い、隣のブースの方が気さくに話しかけてくださり、打ち解けたフレンドリーな空気に幾分か緊張感が和らいだ(当日はお声掛けくださって本当にありがとうございました)。

 文学フリマが素晴らしいのは、頒布作品の数々から「自分の好きなものを書くんだ!!」という情熱が伝わってくるところだ。この話は去年の九月に行った『文学フリマ大阪』のレポートでも書いた。

 文学フリマ京都には《妖怪変化・もののけ・常世》という京都ならではの出店ジャンルがある。僕も「不思議系ショートショート集」と「退魔師を題材とした百合小説」を持って行くため、このジャンルで出店した。

 同じジャンルのブースを見てまわっていると、民俗学・神話・妖怪・七福神・幽霊など、各々の探求分野は違えども、本当に専門的かつニッチな文学作品が並んでいて、ほとばしるパッションのようなものをひしひしと感じる。これは書店の(商業作品の)棚では決して味わえない感覚で、文フリの醍醐味と言える。

(写真は当日配布した本。B6判二段組、118ページで1冊500円。製本所は『ちょ古っ都製本工房』を利用)

 さて、弊著『創作怪異物語』は有り難いことに二十部も売れた。五部も手に取ってくれれば十分だろうと考えていただけに、これは大きな驚きだった。さらに無料配布の『Web小説バケユリ』の読書案内カードは八十枚も配布できた。二つ合わせてなんと百部も配れたのだ。

 喜びが込み上げると同時に、恥ずかしいような申し訳ないような気持ちで一杯になる。

 もっと良いものを書かなければいけない。

 もっとうまく書けるようにならなければ。

「五条さんは今後はどのような方向性で書かれるのですか?」

 あるとき、ブースに来たお客さんからこのような質問を投げかけられた。彼は立ち読みをしていた『創作怪異物語』を長机に置き「こちらは純文学系のショートショート集ですよね」と確認する。そして机の右側の『バケユリ』読書カードを持ち上げて「こちらはライトノベル系の百合小説ですよね」と続けた。

 僕は返答に詰まり、頭の中で「うーむ」と悲鳴のような唸り声をあげてしまう。

 僕は文章を書くのが好きだ。だから、何でも書いてきた。Webライターを仕事としているし、趣味の小説でもミステリーからアダルト小説に至るまで、あらゆるジャンルに挑戦し(その数だけ挫折を味わって、それでも)書き続けてきた。

 ケータイ小説の投稿サイト『魔法のiらんど』で少女向け恋愛小説を連載したこともあれば、男性向けハーレム官能小説を電子出版したこともある。

 何でも書けるといえば聞こえは良いが、そのじつ、自分の書きたいことが分からず迷走しているだけなのだ。

 ドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェの著作に、次のような一節がある。

「ともかく、君たちが望むことをやれ。――だが、その前にまず、望むことのできる人間になれ!」
(引用:ニーチェ『ツァラトゥストラ(下)』丘沢静也・訳/光文社古典新訳文庫 p.54)

 物書きに向けた言葉に置き換えてみようか。

 ともかく、君たちが書きたいことを書け。――だが、その前にまず、書きたいことを持てる人間になれ!

 僕が「百合……これからの時代は、百合小説が来るのではと思いまして……」としどろもどろに答えあぐねていると、お客さんはそれ以上の追及はせず「では一部ください」と微笑んで、五百円玉を手渡してくれた。

 文学フリマ京都は午後四時をもって終了となる。主催者の方が閉会の辞を述べ、参加者一同の盛大な拍手で締めくくった。手を叩く音のなか、僕の頭のなかでも声が鳴り響く。

 君は何のために小説を書く?
 君は何が書きたい?

 その後、同じく出店参加していた方とマクドナルドで創作談義し、別れてからはひとり、彷徨うオバケのように京都散策をする。神戸方面の新快速電車に乗った頃には、日がすっかり暮れていた。

 神戸に着いたのは夜の九時で、駅前のラーメン屋で夜食とする。カウンター席に座ると、店主のおじさんがやたらと『生姜ラーメン』を薦めてくる。今年の新作らしい。

 喉にじんとあたたかく沁みる生姜のスープを啜り、自分はどんな小説が書きたいのかをひとりで悶々と考えた。割り箸で麺を掻き分けてみると、チャーシューが五枚も入っているではないか。

 そうだな、小説を一冊千円で売るとなると、少なくともこのラーメンと同じくらいの幸福感をお客さんに届けなければいけないわけだ。それは途方もなく難しいことで、簡単じゃない。店主の並々ならぬ努力の日々を思うと、ラーメンの一杯がまことに恐ろしい創作物に思えてきた。

 店を出て、冷たい風に当たる。星は雲に隠れて真っ暗だった。僕はまだ、小説の書き方がわからない。次回の文学フリマに参加するときには、自分なりの答えを見つけておきたい。

(了)

もしもアフィリエイトのメリット紹介記事のピントがズレ過ぎている

ブロガーさんの書いた「ASP比較記事」をいくつか眺めていて、なにせ僕は《もしも》愛用者であるので、もしもアフィリエイトの評判はどんなもんじゃいと調べていた。ところが悲しいことに、紹介記事のピントが、ことごとくズレている。表向きに出ている情報をサクッとリライトしたようなサイトしか見つからない。

多くのサイトでは、もしもアフィリエイトのメリットを下記のように列挙する。

  1. もしも経由でAmazonと楽天のアフィが貼れる
  2. W報酬制度やキャッシュバック制度がある
  3. サイトに合ったプロモーションを機械的に見つけてくれる「自動マッチング」ツールがある
  4. 楽天のモーションウィジェットがある

たしかにどれも事実ではあるが、コアユーザーから言わせてもらうと《もしも》のメリットはそこじゃない! そこじゃなさすぎる!!

あまりこういったポジショントーク的な記事は書きたくないのだけれど、《もしも》のASPとしての真のメリットを誰も書かないのは悔しいので、ここで紹介しておきたい。

1.もしもは振込手数料がかからない

報酬の振込手数料はもしも側が負担してくれる。もしもアフィリエイトは振込手数料がかからない。これが最も重要なことである。

W報酬などは正直どうでもよく、どうしてこの「振込手数料ゼロ!」をASP比較記事の多くが第一に記載しないのか理解に苦しむ。これは本当に大きなメリットなのに。

最大手ASPのA8.netでは、(三井住友銀行以外では)振込手数料が540円もかかる。そして報酬金額が3万円以上の場合には、なんと756円もの振込手数料が差し引かれる。

つまりA8.netにおいて、報酬金額が月に5,000円程度しかない場合、実質的に報酬の10%近くが手数料で引かれてしまう。A8.netでは「1,000円支払方式」も選べるけれども、こんなん手数料が勿体なくて使いようがない。

繰り返すが、もしもなら振込手数料がゼロなのだ。これを真っ先にメリットとして挙げないのでは、書き手が本当にもしもユーザーなのかどうかを疑ってしまう。

(余談)W報酬がいまひとつな理由

他サイトが盛んにメリットとして宣伝している「W報酬制度」は、成果報酬(Amazonは除外)に対して10%のボーナス報酬が翌々月末に振り込まれるというもの。

これ自体はユーザーに嬉しい制度だが、正直に言ってメリットとして実感しない。

というのは、W報酬として具体的にいくら支払われたかが管理画面やレポートで確認できないからだ。

「なんかボーナスが出たらしいけど、それがいくらかはちょっと分からないんだよねー」では、せっかくの素晴らしい制度にもありがたみが感じられない。もしもは本当に勿体無いことをしていると思う。

さっそく公式運営に改善要望を出しておいた。

2.住信SBIネット銀行なら報酬額1円から振り込まれる

もしもは基本的には成果金額1,000円以上から振り込まれるが、住信SBIネット銀行を報酬受取口座に指定した場合に、なんと1円から振り込まれる

もしもが初心者に優しいASPだと言われるゆえんはこれで、つまり露骨な言い方をすれば「稼げないアフィリエイターほど、もしもの優しさが心に沁みる」。

僕も去年にもしもから毎月いただいた報酬は、34円とか56円とか、うまい棒しか買えねーじゃねーか!!とツッコミたくなるほどに悲しいものだったけれど、それでも毎月ちゃんと銀行口座に振り込まれるというのは、嬉しかったしモチベーションも大層上がった。

もしもアフィリエイトは、稼げないアフィリエイターに優しい。

そしてもしこの段階で「もしもアフィリエイト」に登録してみたくなった方は、ぜひ下のリンクから。

しかしメリット解説はもう少し続きます。

3.アマゾン・楽天のアフィリンクの画像サイズの幅が広い

じつは……というほどでもないよく知られた話、アマゾンと楽天のアフィリエイトはA8.net経由でもできる。この2つが使えるのは、もしもの特権ではないわけだ。

しかしながら、A8.netと比べると、もしもの方がアマゾン&楽天のプロモーションは使いやすい。

例えばA8.netでアマゾンの画像を貼り付けるときに、画像サイズは80×80~160×160(px)までのサイズしか選べない。楽天であれば64×64~128×128とさらに幅が狭まる。

これがもしもアフィリエイトであれば、(アマゾン・楽天の両方とも)画像サイズは75×75~500×500(px)まで選ぶことができる。

つまり、アマゾンや楽天の大きな商品画像を貼り付けたいのであれば、ASP経由ではもしもアフィリエイト一択となる。

さらに、もしもアフィリエイトには「かんたんリンク」というツールがあり、アマゾンと楽天のアフィリンクを同時に生成することができる。検索結果一覧と商品個別でタブを切り替えられたりと、A8よりも圧倒的に管理画面が見やすい。

ただ、A8の方がバナーの種類は豊富であるので、このあたりは使い分けたい。

ブロガーに大人気のアフィリンクツール「カエレバ」や「ヨメレバ」も、もしものコードに対応している。

ちなみに、アマゾンで売れた商品は、もしもレポート画面からCSVをダウンロードして確認ができる。(A8はできない)

また、セブンネットショッピングのアフィリエイトも、もしも経由ですることができる。とにかくここで言いたいのは、もしも使いやすい。

4.成果発生と成果承認のたびにメールで教えてくれる(通知ON・OFF可能)

もしもアフィリエイトでは、成果発生と成果承認をメールで教えてくれる。

具体的に

  • どのプロモーションから成果が発生したか
  • 発生した成果報酬額はいくらか
  • どのサイトから売れたか
  • 発生日、承認日はいつか

の4つがメール本文には記載される。

A8.netでは管理画面にハチが飛び回るのがモチベーションのひとつとなるが、もしもアフィリエイトではメールが届くとやったー!と思える。

もちろん、このメール通知はプロモーションごとにONとOFFを切り替えられる。

 (補足)告知メールも配信をON・OFFできる

A8.netからは「広告主からのメッセージメール」が迷惑メール並に毎日大量に届くので(しかも配信解除オプションがなく)困っているアフィリエイターは多いと思う。

しかし、もしもアフィリエイトではプロモーションごとに告知メールのON・OFFを切り替えられる

まとめ

なんだかA8.netに対する愚痴ばかりなってしまって、A8の担当者には申し訳ない。でもユーザーの立場から正直に言わせてもらうとA8.netのデメリットがそのまま裏返しで、もしもアフィリエイトのメリットになっている

つまり、A8.netのデメリットとは

  1. 報酬の振込手数料が高い
  2. アマゾンと楽天のプロモーションが使いづらい
  3. アマゾンと楽天で何が売れたかを確認できない
  4. 広告主からの告知メールが大量に届き、配信停止ができない

対して、もしもアフィリエイトのメリットは

  1. 報酬の振込手数料はかからない
  2. アマゾンと楽天のプロモーションが使いやすい
  3. アマゾンと楽天で何が売れたかを確認できる(csvとしてダウンロード可。楽天は商品名ではなくショップ名が分かる)
  4. 広告主からの告知メールはONとOFFの切り替えができる

以上、もしもアフィリエイトを長年使っているユーザーとしての所感を述べた。

ポジショントークであることを認めたうえで、それでも心の底から「もしもアフィリエイト」をASPのなかでは高く評価していることを強調しておきたい。

あとA8.netの悪いところをたくさん述べたけれども、プロモーションの案件数では圧倒的にA8.netの方が勝っており、アフィリエイターとしてばりばり稼ぐのならA8は外せない、というのは最後に補足しておきたい。

 

(終わり)

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音声認識ソフト『AmiVoice SP2』を半年間使ってみた所感(辛口レビュー)

AmiVoice SP2にはアフィリエイト・プログラムがあるため、どうにもレビュー記事には『お金を稼ぎたい人のポジショントーク』が多い。レビュー記事は、良いところは良い、悪いところは悪いとはっきり書かなければ意味がない。

今回はAmiVoice SP2(音声認識ソフト)を半年間使ってみた所感を書いていきたい。検索経由で当記事にお越しになった方はご存知のとおり、AmiVoice SP2は『声で文章を書くためのソフト』です。

アマゾンで★1の低評価レビューが多いのは何故か?

僕が実際に購入したのは AmiVoice SP2のダウンロード版(Amazon)で、使用感には概ね満足している。しかしアマゾンのカスタマーレビューを見たらびっくり。

★1の低評価がたくさんついているではないか。(パッケージ版の方には44件のカスタマーレビューがあり、うち10人が★1をつけている)

低評価は「音声認識精度が悪い」が主たる理由のよう。

でもちょっと待ってほしい。これについては、購入者側の大きな誤解が潜んでいる。(なお、僕個人はAmazonにレビューをつけるならば★4くらいが妥当と感じる)

「AmiVoice SP2を使えば、MP3の音声データ―を自動で文字起こししてくれる」という誤解

たしかに、AmiVoice SP2に付属してくるソフト「書き起こしエディター」には、MP3を音声認識して自動で書き起こしてくれる機能が備わっている。これを使えば、会議の議事録や講義ノートが全自動で作成できるのでは…!!と、期待していた方も多かったと思う。

しかし、この自動書き起こし機能については、まったく期待してはいけない!

論より証拠、百聞は一見にしかず。手持ちの講義音声データ(MP3)を本ツールで自動書き起こししてみた結果をお見せしたい。

(画像クリックで拡大 ※PC閲覧時)

はい、間の主張シネマのマッコ店舗開発方法です守り通した心のオアシス何でも仕事中で教育する所かっていうぐらいなんですけど明日ね+

といったような日本語のような日本語でない、意味不明な文字列が延々と続く。一昔前のワードサラダ・スパムのようで懐かしい。まったく、読めたものではない。

元音声は、憲法学の講義だ。しかし到底、そうとは思えない。まったく別の会話に認識されてしまっている。

『会議の議事録』や『講義ノート』を自動で作成する用途には、AmiVoice SP2はまったくもって向かない。向かない、というよりも不可能である。

MP3の自動書き起こしは無理!ということは最初に強調しておきたい。★1レビューをつけている人の多くは、できるものだと誤解をしてソフトを買ってしまっている。

誤解を解いておこう。

AmiVoiceについてくる「書起こしエディター」は、テープ起こしを自動でやってくれるツールではない。(本来的な使い方としては)テープ起こしの補助をしてくれるツールなのだ。

これについては後で詳しく。

「音声認識の精度は、マイクの性能ではなくソフトの性能によって決まる」という誤解

これも間違い。ソフト以上に、マイクの性能が音声認識の精度にはめちゃくちゃ影響してくる。アマゾンで★1をつけて「認識精度わるい!使いものにならん!」と怒っている人は、もしかしたら安物のヘッドセットマイクを使っているのではなかろうか。

公式オンラインストアには『PHILIPS SpeechMike Air』という\お値段なんと10万円ッ!/近くする超高性能マイクが販売されている。さすがに、これを買えとまでは言わない。

だがせめて、数千円程度のそこそこ良質なマイクは用意しておきたい。

マイクの種類によって、実際にどのくらい音声認識の精度は変わるのだろうか。AmiVoice SP2で実験してみた。

今回朗読に使用した文章は、夏目漱石の『こころ』冒頭。明らかな誤認識箇所に赤字をつけている。

【千円弱の格安ヘッドセットマイクの場合】

私はそのひとつ練り先生と呼んでいた。だからここで甘さが先生と書くだけで本名は打ち明けない。これは世間をはばかる遠慮というよりも、その方が私にとって自然だからである。私はその人の記憶を呼び起こすごとに、M先生と痛くなる。筆を執っても心持ちは同じことである。よそよそしい頭文字などとても使う気にならない。

(夏目漱石『こころ』 ※AmiVoice SP2での音声入力例)

150文字の文章だが、誤認識が5ヶ所も出てくる。AmiVoice SP2は、誤認識箇所の修正が柔軟にできない。赤字箇所はキーボード入力で修正してやる必要がある。

ではマイクを変えて同じ文章を読み上げてみると、どうであろうか。

【SONY ECM-PCV80U(4千円で買ったマイク)の場合】

私はその人を常に先生と呼んでいた。だからここでもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。これは世間をはばかる遠慮というよりも、その方が私にとって自然だからである。私はその人の記憶を呼び起こすごとに、すぐ「先生」と痛くなる。筆を執っても心持ちは同じことである。よそよそしい頭文字などはとても使う気にならない。

(同上)

誤認識は1ヶ所のみ。「言いたくなる」がどうしても「痛くなる」と認識されるが、それを除けば完璧だ。ちなみに読点や句点も「てん」「まる」と発声することで入力できる。※句読点を自動入力する設定にもできる

マイクの種類ひとつで、認識精度が変わってくる。マイク選びは重要だ。

ちなみに僕が使っているのはSONY エレクトレットコンデンサーマイクロホン ECM-PCV80U [Amazon]というやつ。カラオケで歌うときに使うような、手持ち型のゴツいマイクだ。(昔ケーズデンキで買ったときは4千円くらいしたのだけれど、アマゾンでは現時点で2,960円で販売されている)

カラオケ気分で執筆できるので、私的には気に入っている。

もちろん、ヘッドセットマイクを使用しても構わない。定価4千円以上のものであれば、SONY製でもELECOM製でもそうそうハズレは引かないと思う。(USB接続タイプのマイクを推奨)

とにかくAmiVoice SP2を使うのであれば、マイクには気をつけたいところ。

有料の音声入力ソフト全般に言える「短所」について

まず、購入検討者が気にしていると思われる短所。

「AmiVoice SP2の発売日が2012年と、だいぶ古いソフトであること」については心配いらない。

というのは、AmiVoice SP2は定期的にアップデートを実施しており、販売当初より認識精度も改善されている。

音声認識ソフト AmiVoice SP2(最新アップデート情報)を見たら分かるとおり、直近のアップデートは2017/02/27(Ver 2.13)と新しい。公式がサポートを続けてくれているのは心強い。

AmiVoice SP2を購入したら、最新版にアップデートしたうえで「標準(大)- 汎用音響モデル」をマスター辞書にセットすることをおすすめしたい(詳しくは取扱説明書を)。「標準(大)- 汎用音響モデル」では音声認識が改善されている。

以下では、有料の音声入力ソフト全般に言える短所について述べていきたい。

そもそもGoogle音声入力が無料で使えるのに、有料のソフトを買う必要があるのか?

せやな。僕も無条件には、AmiVoice SP2をおすすめできない。iPhoneにはSiriの音声入力がついている。AndroidにはGoogle音声入力がある。有料ソフトいらんやんって話。

Google音声入力は無料で使うことができ、なおかつ認識精度もAmiVoice SP2と大差ない。実用レベルに達している。

Google音声入力には「読点と句点の制御ができない」「余計な半角スペースが挿入される」といった弱点はある。それも音声入力支援の無料アプリや、半角スペース除去ツールを使えば解消はできる。

無料の音声入力の実力はいかほどだろう? 手持ちのスマートフォン(Google音声入力)で試してみた。読み上げた文章は先程と同じく、夏目漱石『こころ』の冒頭。

【Google音声入力 by Androidスマホの場合】

私はその人を常に先生と呼んでいた。だからここでもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。これは世間をはばかる遠慮というよりもその方が私にとって自然だからである。私はその人の記憶を呼び起こすごとにすぐ先生と言いたくなる。筆をとっても心も家は同じことである。よそよそしい頭文字などはとても使う気にならない。

(読点と句点は補助アプリの『音声入力Voice』を使って入力)

 「心持ち」を「心も家」と誤認識したくらいで、他はAmiVoice SP2と肩を並べる認識精度である。

これほどに優秀な音声入力が無料で使えるとあっては、AmiVoiceやドラゴンスピーチなど有料音声認識ソフトを販売する会社にとって、脅威だと思う。

Google音声入力は、Chromeブラウザを入れている人であれば、Googleドキュメントで使用することができる。つまり、PCでも使える。

長文原稿をがっつり入力するならば、まだAmiVoice SP2の方が利点は多い。(句読点を自由に制御でき、音声入力のオンとオフもショートカットキーで自在に切り替えられるため)

しかしちょっとしたブログ記事を更新する程度で良ければ、スマホの音声入力で十分じゃないかと感じてしまう。

音声入力を使っても執筆速度が速くなるとは限らない

音声入力のメリットを謳うサイトの多くが「音声入力で執筆速度が上がりますよ!!」と宣伝している。

僕は、この主張には疑問を感じている。執筆速度は、入力スピードではなく《思考スピード》に依存するからだ。物理的にどれだけ速く書けても、思考が追いつかなければ意味がない。

という話は、以前にこの記事(音声入力で原稿を書くメリットとデメリット)でも書いたとおり。

「Google日本度入力」や「ATOK」の予測変換機能をフル活用すれば、キーボードでも相当な入力スピードを叩き出せる。ブラインドタッチのできる人が、執筆速度向上のために音声入力を使う理由は、見いだせない。

音声入力で「小説」を書くのは難しい

小説の口述筆記に音声認識ソフトを使いたい人もいるだろう。残念ながら、小説の執筆は音声入力にはあまり向かない(文体によるけれど)。

先程の夏目漱石『こころ』の冒頭文章は、比較的平易な言葉で書かれていた。AmiVoice SP2でもGoogle音声入力でも、ほぼ100%に近い精度で入力できた。

ところが、文体が難しくなると、音声認識の精度は下がる。

江戸川乱歩の『人間椅子』の冒頭文章で試してみよう。

【江戸川乱歩『人間椅子』をAmiVoice SP2で音声入力した例】

良子は、毎朝、夫の盗聴見送ってしまうと、はいつも10時をすぎるのだが、やっと自分の体なって、洋館の方の、夫との共用の書斎へ、閉じこもるのが例になっていた。

佳子が良子になってしまうのは仕方がないとして(このあたりは単語登録で解消できる)、「登庁」が「盗聴」、「それ」が「弦」、「体になって」が「体いなって」と誤入力された。

【Google音声入力を使った例】

よしこは毎朝夫の盗聴を見送ってしまうと、それはいつも10時を過ぎるのだがやっと自分の体になって、羊羹の方の夫と教養の詳細へ閉じこもるのが0になっていた。

一方のGoogle音声入力でも、江戸川乱歩の文体は不得手みたいだ。

体感として、音声認識ソフトは「小説を書くこと」を苦手とする。

濁音に弱い

AmiVoiceのもうひとつの欠点としては「濁音に弱い」というのがある。例えば「ドッグフード」と入力したいのに、何度やっても「ドックフード」になってしまう。

この場合は、「(読み)ドックフード→(登録語句)ドッグフード」として、AmiVoiceの方に単語登録しておけば解消される。

Google音声入力に対してAmiVoice側に利点があるとすれば、《単語登録》や《音響学習》機能を使うことによって、入力精度を向上させられることだろう。

AmiVoice SP2の良いところ

ここまでさんざん愚痴をこぼしてしまったが、僕としてはAmiVoice SP2のカスタマーレビューは★4くらいが妥当ではないかと感じている。

ライターが使う入力支援ツールとして、AmiVoice SP2は十分に実用に耐えうる。

以下ではメリットを挙げていく。

腱鞘炎の発症リスクを下げる

ライターの職業病ともいえるのが腱鞘炎だ。1日に1万文字も2万文字も原稿を書いていれば、当然ながら腕や指を痛めやすい。

僕はこんなレビュー記事を書いといてなんだけれども、執筆では「キーボード入力」をメインで使っている。音声入力の利用頻度は、執筆業務全体のなかで20%ほど。

それでもキーボードでの執筆の合間に音声入力を挟むことで、だいぶ楽に記事作成ができる。今書いているこの原稿も、(現時点で既に5,000文字を超えているのだが)キーボード入力と音声入力のハイブリッド方式で執筆している。

「音声入力は楽」というのはその通りで、1日に1万文字以上の文章を打ち込む必要のある人は、音声入力を導入するメリットは大きいと思う。※執筆速度が上がるわけではないので念のため

AmiVoice SP2には「テープ起こし支援ソフト」が付属している

AmiVoiceには「書起こしエディター」というテープ起こしを支援するソフトが付属している。冒頭に挙げた、MP3を自動書き起こしする機能については使い物にならない。が、それ以外の機能については便利。

テープ起こしの仕事をする人には、極めて役立つことと思う。

テープ起こしの仕事をしている人は、「Okoshiyasu2」などのフリーソフトを使っているかもしれない。この「書起こしエディター」はOkoshiyasu2のゴージャス版みたいな感じのソフトで、文字起こし業務を楽にしてくれる。

再生速度や再生音量の変更はもちろんのこと、ショートカットキーで「再生」「停止」「音声時間情報の挿入」「話者入力」「巻き戻し」等の操作ができる。

本ツールを使えば「聴く→復唱」の手順を繰り返すだけで、楽に文字が入力できる。

テープ起こし業務と音声入力の相性は、とても良い。

あくまで人力での文字起こしを補助するツールと理解されていたならば、アマゾンで★1評価が並ぶことはなかっただろう。

おわりに

ちょっと書き過ぎてしまったかもしれない。

AmiVoice SP2のメリットとデメリットについて、もう一度まとめておきたい。

【メリット】

  • 認識精度は実用に耐え得る
  • テープ起こし支援ソフトが付属している
  • 《音響学習》と《単語登録》で精度を上げられる
  • なんだかんだいって「楽」

【デメリット】

  • 無料で使える高精度の音声入力ソフトの存在(Google音声入力)
  • MP3から自動で書き起こせるわけではない(機能そのものはあるが、実用に耐えない)
  • 濁音の認識が苦手(ドッグフード→ドックフード)
  • 小説の執筆は不得手
  • 安物のマイクは使えない

こんなところだろうか。

ライティングや文字起こしなど、業務でばりばり使う人であれば、すぐに元は取れると思う。コストを気にするのなら、ぶっちゃけ無料で使えるGoogle音声入力で良い(認識精度はそこまで変わらない)。

以上、購入を検討する人のお役に立てたら嬉しく思う。

 

(終わり)

執筆スランプを抜け出すには30分あれば良いという話

文筆業を営む者にとってオバケよりも恐ろしいのが「執筆スランプ」だ。僕は専業Webライターとなって3年になるけれど、スランプオバケにはたびたび悩まされている。

文章を書くのが好きでライターやってるんでしょ?とよく言われる。でもぶっちゃけてしまえば、文章を書くのは基本的には苦しいし、面倒だし、やる気が出ないときもある。(いや、日常茶飯事だ)

それでも、筆一本に生活が懸かっている。

やる気がなくても、本気を出せなくても、あるいはうまく書けなくてベッドの上をのたうち回ることになっても、僕は原稿を書き上げなくてはならない。

すなわち執筆スランプを抜け出すための「実用的なノウハウ」が必要なのだ。

先延ばしをするのは好きでないので、結論を最初に書いてしまおう。僕は執筆スランプを回避するため、あるいは抜け出すために、下記のルールに従って執筆している。

  1. 執筆時にはストップウォッチを用意する。「STARTボタンを押したら書き始める」と条件付けしておく。
  2. ストップウォッチでは「カウントダウンモード」を使い、30分後にアラームが鳴るように設定する。
  3. 調子が悪いときは30分で500文字、調子が良いときは30分で1,000文字を達成するように原稿を書き進める。とにかく、30分だけで良いので集中して取り掛かる。
  4. 30分後にアラームが鳴り、筆が乗っていたらそのまま書き進める。疲れていたら休憩に入り、ストレッチをしたり少し散歩をしたりする。10分~20分くらいの休憩が終わったら、またストップウォッチのボタンを押し、30分間集中して文章を書く。

「ストップウォッチ」は執筆の良き友である

『パブロフの犬』はご存知だろうか。犬に餌を与える前に、ベルの音を鳴らす。習慣を続けていると、やがて犬はベルの音を聞くだけでよだれを垂らすようになる。ロシアの生理学者イワン・パブロフによる『古典的条件づけ』である。

我々人間も『◯◯の合図で△△する』という条件付けをしておくと、物事に取り掛かりやすくなる。学校のチャイムが鳴ったら、授業が始まるのと同じように。

在宅ライターはとくにそうなのだけれど《プライベートモード》と《仕事モード》の切り替えがやりづらい。ついつい執筆中にツイッターのタイムラインをぼーっと眺めたり、ニコニコ動画でアニメを見始めたり、はてなブックマークでブコメ巡りに時間を潰したりと、脱線しがちだ。

1日が終わる頃には原稿がまったく進んでおらず(ああ、僕はなんて意志が弱い人間なんだ!!)と後悔を抱えてベッドに潜り込むハメになる。

それを回避するためのアイテムが……。

ストップウォッチ!!

そう、ストップウォッチは執筆の良き友である。

僕が使っているのはセイコー(SEIKO) ALBA PICCO MULTITIMER ブラック ADME001という3,000円ほどのストップウォッチなのだけれど、重要なのはカウントダウン機能があること。時間をカウントダウンし、アラームを鳴らしてくれる機械であったら何でも代用できる。

キッチンタイマー、目覚まし時計、スマホのカウントダウンアラームでもOK。(ただしスマホを使う場合は、執筆に集中するためツイッターやメールの通知を切っておいた方が良い)

で、冒頭のパブロフの犬とどう繋がるのかと言うと「ストップウォッチのボタンを押したら執筆を開始する」という条件付けがやりたいのだ。

速筆で有名な西尾維新さんも執筆中にストップウォッチを使っている、と言えば、少しは信憑性が増すだろうか。(※ソース:西尾維新さん - あのひとの「ほぼ日手帳」 - ほぼ日手帳2014

とにかく、ストップウォッチのボタンを押したら原稿を書き始める、と決めておこう。

執筆スランプなんて怖くない。「書かなきゃ!」と意気込む必要はまったくない。

ストップウォッチのボタンを押しさえすれば、頭が《執筆モード》へと切り替わるのだから。そのような習慣を身につけておくと、後々楽である。

30分の時間的制約を設けて執筆に集中する

冒頭にも書いたように、ストップウォッチはボタンを押したら「30分のカウントダウン」をし、残り時間ゼロでアラームが鳴るように設定する。もちろん30分でなくても良いのだけれど、集中力は時間的制約のなかで発揮しやすい

ストップウォッチは、集中して原稿に取り掛かるための手助けをしてくれる。

ところで一般的なWebライティングでは、重めの案件だと「1記事6,000文字」くらいの記事ボリュームとなる。執筆には(僕の平均だと)8時間はかかり、なかなかにしんどい。

好きなことを書くならいざ知らず、クライアントの要求に応えた6,000文字を書くのは大層骨が折れる。こうした「大変さ」が執筆スランプを引き起こす。

長編小説を書くのは、さらに挫折しやすい。「あと10万文字も書かなきゃいけないなんて……」と思うと足が竦み、書き進める勇気が削がれてしまう。

だけど思い出してほしい。6,000文字の記事だって、10万文字の長編小説だって、100文字程度の文章の積み重ねに過ぎない。「困難は分割せよ」とデカルトは言った。執筆も同じだ。

「とりあえず30分だけ、500文字だけで良いから書いてみよう」と書き始めてみることは極めて重要である。

たった30分、たった500文字だけでいい。一旦書き始めてしまえば、筆が乗ってくる。書き始めなければ、いつまで悩んでも書けるようにはならない。

「書けない悩み」の大半は「書き始められない悩み」と言い換えられる。とにかく、30分書き続けたなら、頭が執筆モードに切り替わる。

僕の場合は、調子が乗らないときは「30分で500文字だけで良いから書こう」と決めている。500文字でハードルが高ければ、200文字でも構わない。調子が出ているときであれば30分1,000文字も行けるが、とにもかくにも1文字でも2文字でもまずは書き始めることだ。

30分単位で時間を区切って、集中して執筆に取り掛かる。1時間だとハードルが上がるし、10分だと原稿を書くには短すぎる。私的には30分が《執筆モード》に入るのに程よい時間と感じる。

僕は例えば「今日は30分枠×12本で仕事を終わらせよう」と1日の初めにスケジュールを立てている。

「30分だけ」と考えることで物事に取り組むときの面倒臭さが軽減されるし、集中して取り掛かることができる。

これは「ポモドーロ・テクニック」と呼ばれる時間管理術をアレンジしたやり方なのだけれど、仕事になかなか集中できない在宅ライターにはおすすめの方法だ。

詳しくは

の記事にも書いたので、宜しければぜひ。

話が大分バラけてしまったのでもう一度まとめよう。執筆スランプを抜け出すために僕が実践している手法は次のとおり。

  1. ストップウォッチを用意する。ストップウォッチのSTARTボタンを押したら執筆を開始する、という習慣をつける。
  2. 30分のカウントダウンでアラームが鳴るように設定する。「とりあえず30分で原稿を500文字進めよう」と達成できる目標を決める。
  3. やる気が出なくても大丈夫。ストップウォッチのボタンを押したら、とにかく目の前の原稿を1文字でも2文字でも書き進めていくことに集中する。
  4. 30分後にアラームが鳴り、筆が乗っていたらそのまま書き進めても良し。疲れていたら休憩に入ろう。ストレッチをしたり少し散歩をしたりする。10分~20分くらいの休憩が終わったら、またストップウォッチのボタンを押し、30分間集中して文章を書く。

メリハリをつけて「集中」と「休憩」を繰り返すこと。それが、執筆を無理なく持続させる一番のポイントかもしれない。

(終わり)

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