Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

WEBライティング技能検定を実際に受講してみた所感

僕は今、怒りに震えている。

しかし感情のままに書き殴るようではライター失格だ。

この記事では怒りのボルテージを最大限に抑えて(具体的には「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム」→「おこ」くらいに)、冷静に『WEBライティング技能検定』を受講したレビューを書いていきたい。

WEBライティング技能検定とは?

WEBライティング技能検定は、2015年に新設された検定試験で、その名の通り「ウェブライターとしての技能」を測るための検定である。一般社団法人日本クラウドソーシング検定協会が実施している。

crowd-kentei.or.jp

試験を受けるためにはヒューマンアカデミーの通信講座「WEBライティング技能検定講座」を受講する必要がある。これが受講料32,000円 (税込)と奥様もびっくりのお値段なので、資格商法ではないかとの批判もあった。

 

kyoumoe.hatenablog.com

上のブログでも書かれているとおり、この検定に合格して「WEBライティング技能士」となるためには、総額41,000円が必要となる。

(内訳)
  • 講座受講料:32,000円
  • 本試験料:6,000円
  • 合格証発行料:3,000円

※ちなみに、2年おきに更新料がかかるのは、一般社団法人日本WEBライティング協会が実施している『Webライティング能力検定』の方なので、本検定とは無関係である。混同無きよう。

これだけで、ボッタクリだ! 資格商法だ! と決めつけるのは、まだ早計かもしれない。受講講座および検定試験に本当に価値があるならば、4万円くらいの金額はすぐに元が取れるからだ。

そこで以下では、実際に当該講座を受講してみた僕の、実直なレビューを書いていきたい。

32,000円するWEBライティング技能検定講座の内容

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どんな教材が送られてくるの?

テキスト(基礎編1冊、実践編1冊)、問題集(基礎編1冊、実践編1冊)の計4冊である。写真を見ると「薄っぺらそうな冊子だな……」と思われるかもしれないが、実際に薄い冊子である。

教材のページ数は下記のとおり。

  • 『WEBライティング技能検定講座 基礎編』 70ページ
  • 『WEBライティング技能検定講座 実践編』 117ページ
  • 『基礎編 問題集』 32ページ
  • 『実践編 問題集』 44ページ

以上、上記4点で32,000円。薄っぺらいと見るか否かは、読者に委ねたい。

ちなみに、今なら『付録資料 ISV練習法―発想力・語彙力―』と『タイピング教本』が特別教材としてゲットできる。僕が申し込んだときにはこれらの特典は無かったので、早期に受講した人は貰える教材でやや損をしている

教材の内容はどうなの?

ページ数が少ないのは、まだ許そう。もしかしたら重要なエッセンスが1ページに濃縮されているのかもしれない。量より、質だ。

僕は期待を込めて、問題集の表紙をめくり、――絶句した。

はっきりと言おう。

『基礎編 問題集』『実践編 問題集』両方含めて、まったくのノー勉強で、僕は満点を取った。1問たりとも落とさなかった。(問題集の制作ミスにより元々の解答が間違っているものを除く)

僕の能力が高いだとか、そんな自慢をしたいのではない。Webライターをしているのであれば、問題集のたった1問でも間違えたら恥ずかしくて布団の上をのたうち回るような、それほどに簡単過ぎる問題が続いているのである。

 

試しに、読者の皆さんに1問出題してみよう。

【問い】情報における一次Source(ソース)という語について適切なものを選びなさい。

  1. 源、情報源のこと
  2. つけ汁のこと
  3. 情報の濃厚さについてのこと

[引用:実践編問題集 p.3 問6 /一部選択肢を省略/追記参照]

おいてめえふざけてるのか!! 焼きそばソースじゃねえんだよ!!と思われたかもしれない。まさに問題集を開けたときの僕の気持ちである。

実際には問題は4択で構成されているが、こんなもん何択だろうが難易度は変わらない。間違えようがない。決して冗談ではなく、このようなレベルの出題が『実践編の問題集』に並んでいる

ちなみに『基礎編の問題集』では、コンピューターウイルス対策として不適切なものを選ぶ問題が登場する。そして選択肢には《アルコール消毒》の文字が……。(基礎編問題集 p.16 問55)

※追記とお詫び(2016/04/19)

記事公開当初は引用の形を取っていなかったため、上記の「つけ汁のこと」の選択肢を「焼きそばなどにかけるつけ汁のこと」と紹介しておりました。しかし「焼きそばにつけ汁をかける」という表現の不味さに関して多くのご指摘を頂き、このままでは意図せざる部分で当該検定の価値を毀損してしまうため、引用の形式に改めました。

この部分について一切の責は僕にあります。訂正と共に深くお詫び申し上げます。

文法問題

他にも、文法問題が出題される。小学校、よくて中学校レベルの国語の問題である。

これも例題を出してみよう。

(問い)下記の文章の傍線部は文の成分の何にあたるか、1つ選びなさい。

 きれいな花がたくさん咲いた

  1. 主語
  2. 述語
  3. 修飾語
  4. 接続詞

[引用:実践編問題集 p.24 問46]

(追記2016/04/19:当初類似例題を載せておりましたが、問題集からの引用である、と誤解を与えてしまう恐れがあるため、実際の引用に修正しました)

繰り返すけれども、これで「実践編レベル」の出題なので、基礎編の問題集はさらに容易い。

小学校で習う国語はもちろん重要、だが……

誤解のないように言っておくと、こういった小学校・中学校で習う「文法の基礎」を馬鹿にしたいわけではない。基礎レベルの文法は非常に重要で、決して疎かにはできない

小学生や中学生向けの問題集を買ってきて文法を再学習することは、ライターを目指すうえでも意義のあることだと思う。

ただし、そういうのは書店で売られている800円前後の問題集に求められる役割だ。32,000円もするプロライター育成向けの教材に求められる役割ではない

その他、教材の問題点

問題集のなかに「誤字脱字が14箇所もある」(現在は訂正済み)というのも、突貫工事感が否めない。Wordの校正機能でも簡単に見つかるはずの誤字脱字が目立つ。

問題集の「解答・解説」もよろしくない。解答には『◯◯は◯◯です。詳しくは実践編 PART◯ CHAPTER◯を参考にしましょう』としか書かれておらず、肝心の解説を教本に丸投げしている部分がある。(とくに文法問題)詳しくは~と書かれているにもかかわらず、教本の解説はそこまで詳しいとは言いがたい。(とくに、文法問題)

ライティング実技問題の「模範解答」だが、これも危うい。模範解答であるのに「常体(だ・である)」と「敬体(です・ます)」の混在がある。(実践編問題集、p.33)他にも「~ですが」といった逆説の接続詞の多用も見られる。模範解答を添削してやりたくさえなる。

問題集では、模範解答と並んで「悪文」の例も提示されている。しかしこの「悪文」もあまりにも酷すぎて、唖然とする。えっ、悪文の例なのだから酷くて当たり前では? と思われる方は以下の文章を読んでいただきたい。

つゅはサイテー(´・ω・`)寒ぃし濡れるし、オシャレしても台無しになっちゃう!!<`へ´> つゅだいっきらい(´・ω・`)でもつゅ超えたら夏だから大好きwww(*´ω`*)

[引用:実践編問題集 p.27 悪文3/原文ママ]

悪文にも程があるだろ!!! むしろこれが悪文でないのなら何が悪文なのかを問い詰めたいくらいだ。

以上、ここまでは問題集の批判をしてきた。次は参考書について目を向けていきたい。

 

『基礎編』の参考書は70ページの文量で、WEBライティングをする上での基礎的な知識が書かれてある。「PDCAで自己管理しようね!」とか「Ctrlキー+S、で保存ができるよ!」とか「ウイルス対策のためにマカフィーなどのセキュリティソフトを入れようね!」といったことが書かれてある。

『実践編』の参考書は117ページの文量からなり、WEBライティングをする上での実践的なノウハウが書かれてある。こちらの教材は「相対的に」質が高いので、書店で1000円くらいで売られていても違和感はない。

修飾語や句読点、敬語の使い方から、重複表現の注意、体言止めの文彩、SEOとは何か、に至るまで、幅広く解説されてある。こちらの教本が『基礎編』であれば、まだ許せるのではないかと思う。

例えば実践編のCHAPTER06では「一文の終わりには句点『。』を忘れずに打とう! 読点『、』は意味で区切ろう!」といったことが親切に書かれてある。僕も参考書の教えに従って、この記事の一文の最後にはしっかり句点を打ってある。(役に立った!)

本試験は難しい?

WEBライティング技能検定の本試験は、択一式の問題とライティングの実技問題から成る。実技の方も、Wikipediaからコピペするだとか、文法が滅茶苦茶だとか、関係のないテーマで書いているだとか、そんな愚かなことをしない限りは大丈夫。

基礎さえできていれば無勉強でも『WEBライティング技能検定』に落ちることはまずあり得ない。その点は安心(?)されたし。

(ライティング実技の過去問は、公式サイトで公開されている。試験レベルについては上記サイトを確認してほしい)

この試験に落ちるようであれば、WEBライターとして生きていくのは絶望的に厳しい。

付け加えるならば、『基礎編・実践編』の問題集をたったの1問でも間違えたならば、ライターとして猛省しなければならないレベルである。

そしてこのような『誰でも受かる検定』に本当に価値があるのかどうか、甚だ疑問と言わざるを得ない。一次ソースの意味や、中学生レベルの文法を知っている方であれば、無理をして受ける必要はないだろう。

それよりも『ITパスポート』や『ビジネス実務法務検定』のような定番の検定試験をおすすめしたい。

ITパスポートもビジネス実務法務検定も、WEBで仕事をするのであれば、それなりに役立つ知識が得られる。もちろん、3万円の教材は不必要で、市販の参考書で勉強をすれば十分に合格できる。

WEBライティング技能検定は資格商法なのか?

検定を全否定するつもりはない。

試験に合格すれば、Webライターに必要な最低限の知識を身につけたことにはなる。逆説的に、この試験に受からない段階でWebライターを目指すのは「極めて危険」だとも言える。

だから、その意味では……、たしかに「WEBライティング技能検定」の社会的意義がまったく無い……とまでは言わない。けれども、これはあまりにも……、……教材がお粗末と言うより他ない。

資格商法だと揶揄されても、擁護はできない。

僕自身、クラウドソーシングで生計を立てているウェブライターであるし、クラウドソーシング市場の発展を心から願っている。だからこそ、悲しい。

1文字単価0.1円や0.2円の低賃金ライターを量産するのではなく、1文字単価1円や10円を超える質の高い記事が書けるライターを増やさなければならない。

そのためにも、WEBライティング技能検定は、今のままではいけない。教材の質を上げること、問題のレベルを上げること。

この2点を日本クラウドソーシング検定協会に強く望む。

(了)

2016年6月16日 追記

本検定に合格すると「WEBライティング技能士」の称号が得られる。ところが「◯◯技能士」というのは、職業能力開発促進法第50条に規定される名称独占資格であり、勝手に名乗ることが法令で禁止されている。

この点は日本クラウドソーシング検定協会の方にも各所からツッコミが入ったようで、2016年7月1日に名称変更されることが決まった。

「WEBライティング技能士」から新名称「WEBライティング実務士」へと変わるようだ。名称変更を良いきっかけとし、教材や試験の方も実務に耐え得るものへと変わることを切に願う。

また、この件についてメールフォームにて教えてくださった方々に深く感謝申し上げます。

(終わり)

 

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