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貸仮想通貨サービスの恐ろしいリスクに気づいてしまった話

貸仮想通貨取引所のひとつであるcoincheckには「貸仮想通貨」なるサービスがある。

イメージとしてはSBI証券の「貸株制度」の仮想通貨バージョンだ。仮想通貨を一定期間貸し出すことで、利子が得られる仕組みとなっている。

この金利がなかなか良くて、貸株だと年利0.1%だとか0.5%だとかそのレベルなのだけれど、coincheckでは最大で年率5%の金利を受け取れる。

(※補足:利息は日本円ではなく仮想通貨で付与される。仮想通貨は法定通貨ではないから、厳格には「利子」ではなく「利用料」と表記される)

coincheckで仮想通貨を貸すと利子がもらえる!

貸し出し期間と金利は下記の通り。

  • 14日間 年率1%
  • 30日間 年率2%
  • 90日間 年率3%
  • 365日間 年率5%

資産を年利5%で運用するのはなかなか大変だが、貸仮想通貨ならこれが実現できる。

僕は、めっちゃええやん!!と思って、さっそく試しに「14日間 年率1%」のコースで手持ちの仮想通貨(XEM)を貸しに出した。

悲しいことに、悲劇はその14日間のうちに起こった。

貸仮想通貨サービスの最大のリスクは「損切りできない」こと

一応、貸仮想通貨サービスのリスクについては事前に調べていた。

貸仮想通貨は「消費貸借契約」であり、無担保の貸し出しだ。貸出期間中に万が一取引所が破綻すれば、貸し倒れとなる可能性がある。

しかし、どう転んでも二週間後にcoincheckが倒産するとは思えない。だから、ローリスク&ミドルリターンでめっちゃお得やなあ……という軽い気持ちで、貸仮想通貨サービスに申し込んでしまった。

もうひとつの致命的なリスクに気がつかぬまま――。

大暴落は唐突に訪れる

貸し出してから数日ほど経った日のこと、はてなブックマークを眺めているとこんなニュースが目に飛び込んできた。

悪材料を受けて仮想通貨の相場は総崩れし、ビットコインは50万円台から30万円台へ。僕が買っていたネム(XEM)は36円から18円へと大暴落した。

ネムに関して言えばたった10日のうちに、価格が半値になってしまったのだ!

株式であれば企業価値が毀損されない限り、理由もなしにここまで下げることは考えにくい。しかし仮想通貨の場合は「値上がり期待」の需給で価格が決まってしまっており、ストップ安もないから、落ちるときは底なしに落ちてゆく。恐ろしい恐ろしい。

パニックはパニックを生み、連鎖する。

逃げたいのに「逃げられない」恐怖

僕は下落チャートを眺めながらワナワナと震え(損切りしたい……損切りしたいよぉ……)と涙を浮かべて手を合わせていたが、貸出中だから売ることができない。損切りができない。貸出の中途キャンセルは、もちろん不可である。

ただ真っ青になって、墜ちてゆくナイフを見守るだけだ。

そう、貸仮想通貨サービスの最大のリスクは「貸出中にどんな悪材料が出たとしても逃げられない」こと。

これはcoincheckが破綻するよりも、はるかに起こり得ることで、実際に起こっている。

価格変動リスクの高い商品を貸しに出すことの危うさを、僕は理解しておかなければならなかった。

もしもこれから貸仮想通貨サービスを利用してみようかなと考える人がいたら、このリスクだけはどうか頭の片隅に覚えて置いてほしい。

(追記)

18年1月7日現在、coincheckは未だ「仮想通貨交換業者」としての認可を金融庁から受けていない。破綻はないにしても、金融庁未認可のまま運営を続けるcoincheckには潜在的なリスクがある。

(了)


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