Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

ブログを長期運営する秘訣はニーチェと少女漫画が知っている

過去と現在と未来とが直線上に並ぶとする考え方は、二十一世紀において広く信仰される思想のひとつである。

たとえ神様が死んだって、私たちの生きる意味は未来が与えてくれる。

志望校に合格する未来の自分のために受験勉強を頑張り、企業に就職する未来の自分のために就職活動を頑張る。

ニーチェは著書ツァラトゥストラのなかで、このような未来のために生きる人間を「相続人を欲しがっている」と形容する。相続人とはすなわち未来の自分である。

それはさておき。

生きる希望は、未来にある。

未来は、神に代わる《生の指針》となった。

話は変わるが、ブロガーやアフィリエイターといった人たちは、直線的時間観念との相性が良い。

すなわち記事をコツコツと積み上げて、時間とともに収益やアクセス数が増えていく。《未来》が書き手にとっての大きなモチベーションとなる。

ブログの運営報告あるいは収益報告が楽しいのは、自分が成長しているところ(つまり未来へと向かっているところ)を肌で実感することができるからだろう。

ゲームもレベルアップしてさまざまなステータスが得られるから、喜びを感じる。アクセス数や収益は、目に見える未来への希望である。

世の中が上昇トレンドばかりであるなら、僕は今頃、株式投資で大儲けしているはずである。NISA口座に塩漬けされた持ち株など、存在するはずがない。残念ながら、世界は甘くはなかった。

ブログ運営についても、記事数を増やせば収益やPVがどんどん上がっていくという、イージーモードな時代は終わった。これからはむしろ下落相場に耐え忍ぶことを覚悟しなければならない。

収益やPVが下落トレンドにあるなかで、果たして自分のブログ運営のモチベーションを維持できるかどうか。それこそが、ようやく出てきた当記事の本題である。

未来の信仰、直線的時間観念が、いつだって人々を陽気で明るい気分にさせてくれるはずはない。希望の光には絶望の影が生まれる。

存在を持つ者は常に《死》へと向かっており、それと同時に常に一瞬の《生》に輝いている。これもまた、時間の在り方である。

ニーチェの時間論は丸っこい形をしているようなイメージがあるが、ツァラトゥストラに言わせれば時間の本質が円であるとか曲線であるとか、そんな簡単な話でもないらしい。

僕はてっきり、永遠回帰とは「自分の人生が無限ループするとして、その生きることを絶対的に肯定できるか」という命題だと思っていたが、今となってはよくわからない。

それはさておき。

円環的時間観念を用いれば、アクセス数や収益が低迷状態でもブログ運営のモチベーションを維持できるのか。

下記に、ツァラトゥストラ第4部、夢遊病者の歌の一節を引用する。

――もっと遠くのものに、もっと高いものに、もっと明るいものにあこがれようとしている。「相続人がほしいのです」。悩んでいるものは、そう言う。「子どもがほしいのです。私自身ではなく」――

(引用:ニーチェ『ツァラトゥストラ(下)』丘沢静也・訳、光文社古典新訳文庫 p.382)

僕たちは未来に手を伸ばす。もっと収益がほしい。もっとPVがほしい。もっと評価がほしい。成功した未来の自分、相続人を探している。

ツァラトゥストラはかく語りき。

喜びは、相続人をほしがらない。子どもをほしがらない。――喜びは、自分自身をほしがる。永遠をほしがる。回帰をほしがる。すべてが永遠に同じであることをほしがる。

(引用:同上、p.383)

今この瞬間の、一刻一刻と死へと向かっている、刹那の生命がある。

その瞬間において、心の底から喜ぶとき、私たちは瞬間が永遠となることを求める。

 

お願い。時間よ止まって。

この幸せな時間が、永遠に続けば良いのに。

 

僕がちょうど肉じゃがを作っているとき、妹は居間でテレビを観ていて、それは少女漫画原作のアニメDVDだった。ヒロインがこのような台詞を言うのを聞いた。

止まった時間が永遠に続けば良いのにだって? ヒロインは、刹那と永遠を同時に求めている。

ツァラトゥストラ第3部「まぼろしと謎について」の章でも、永遠と瞬間についての謎解きがされる。けれど何度読み返しても、理解の尻尾にさえ指先が触れなかった。

だから僕は、雷に打たれたような衝撃を受けた。

もしかしたらこれこそが、現代を生きる新しい時間の観念かもしれないと、鍋と一緒にわなわなと震えていた。

それはさておき。

PV数と収益が下落トレンドにあったとしても、モチベーションを落とさずにブログを長期運営することはできる。それはニーチェのツァラトゥストラと、少女漫画が教えてくれた。

すなわち

  • 未来の自分を相続人とするのでなく、今ここにいる自分自身のために書くこと
  • 永遠に続いてほしいと心の底から願う、一瞬一瞬の喜びを大切にして書くこと

である。

あまり悲観をせずに、葡萄酒でも一杯飲もう。

(了)

【書評】人気ブロガー養成講座(かん吉)は承認欲求に囚われずに読めば良書となる

菅家伸(かん吉)氏の書いた『ゼロから学べる ブログ運営×集客×マネタイズ 人気ブロガー養成講座』を読んだ。ちなみに本書のタイトルは空白無視で31文字。そしてタイトルには「ブログ運営」「集客」「マネタイズ」「ブロガー」等の重要キーワードが散りばめられている。

ゼロから学べるブログ運営×集客×マネタイズ 人気ブロガー養成講座

ゼロから学べるブログ運営×集客×マネタイズ 人気ブロガー養成講座

  • 作者: 菅家伸,かん吉
  • 出版社/メーカー: ソーテック社
  • 発売日: 2016/10/08
  • メディア: 単行本
  • Amazon楽天ブックス
 

そう、お気づきのとおり、本書自体がSEOを強く意識している。筆者のかん吉氏は日本アフィリエイト協議会の理事をしており、彼の「わかったブログ」もブロガーよりアフィリエイターの方からの知名度が高いのではないかと思う。

アフィリエイトの最前線に立つ彼だからこそ、本書の情報密度は非常に濃い。250ページ超あるなかで、これでもかというくらいにブログ運営のネタを散りばめている。初心者向けの情報も多いが、上級者でも唸ってしまうようなネタもある。

例えば本書のp.141では「自分のブログ記事に一つ目のはてブがついたらIFTTTで通知が行くようにしておき、通知が来たら即座に二つ目のはてブをセルクマする。(そうすればホッテントリ掲載の確率を高められる)」といったハックが紹介されている。

もちろん、やり過ぎるとはてな運営からスパム判定される可能性があることについてもちゃんと触れられている。

これを読んだとき僕は(人気ブログにするためにここまでやるのか……)とドン引き感心してしまった。

本書ではこの他にも、人気ブログを運営するための具体的なノウハウがこれでもか!というくらい紹介されている。ブロガーを目指す人にとって役に立つかどうかと問われたら、そりゃもう圧倒的に役に立つでしょう。情報密度が他の本とは一線を画します。

マネタイズは後回し! まずは信頼を獲得せよ!」が筆者の基本理念であり、そのあたりは僕としても大いに共感する。ブロガーの教科書的なものをお探しの方には、本書をおすすめしたい。

「人気になる」は目的ではなくて結果なのではないか

筆者は「最初からお金を目標にすると良いブログにならない。マネタイズは結果としてやってくるものである」といった趣旨の話を本書(p.16~17)でしている。

僕も同じ考えだ。マネタイズしか頭にないと(病気で苦しむ人に怪しいサプリメントを売りつけるみたいな)読者に対して不誠実なコンテンツに手を染めてしまう。

ブログの収益化はなんだかんだいって、バイトで稼ぐよりは難しい。金儲けのためにブロガーになるという構造には、どこか歪みが生じる。

同じように「人気者になること」も結果として得られるならともかく、最初から目的にするとおかしくなる。人間は簡単に承認欲求の虜になってしまう。他人事のように語っている僕自身も何だかんだ言って、承認欲求を制御できずに暴走することがある。

 前回の記事の繰り返しとなってしまって恐縮だが、ブログ運営において重要なのは次の3つの要素だ。

  1. わーい!
  2. すっごーい!
  3. たーのしー!

※アニメ『けものフレンズ』より

すなわち、

  1. 自分の喜びを相手に伝えようとする気持ち
  2. 自分の驚きを相手に伝えようとする気持ち
  3. 書くことを楽しむこと

この3つを大切にして、ブログを運営していきたい。

筆者も本書のなかで次のように主張する。

ブログを利用すると、「自分が大好きなことをする」と「他人のためにしてあげる」、つまり「自分が好きなことを他人のために頑張る」ことによる成果を、多くの人に届けられます。

【引用 『ゼロから学べる ブログ運営×集客×マネタイズ 人気ブロガー養成講座』菅家伸(かん吉) p.17】

本書はあとの方になるほどソーシャルメディアによる集客だとか、バズらせる戦略だとか、フォロワーの増やし方だとか、あるいは効果的な自己ブランディングだとか、人気ブログを育てるためのノウハウ紹介にページを割いている。

しかし重要なのは上記に引用した最初の部分で、まず第一に「自分が大好きなことをする」のが最も大切だと思う。

自分が心の底から好きなことをしているからこそ、その喜びや感動を読者にも伝えようとする気持ちが生まれる。「伝えたい」という感情を枯らすことなく持ち続けることが、ブロガーには必要なのだ

タイトルにも書いたとおり、承認欲求に囚われずに読めば、本書は良書となるだろう。

筆者は『人気ブログを作る決意を持ちましょう!』と激励するが、僕個人としては、決意よりも『自分の楽しいと思う気持ち』を大切にしてほしい。

「俺は何としてでも人気ブロガーになってやるぜ!」と気負うのではなく、「楽しくブログを運営したいけど、せっかくならたくさんの人に記事を読んでほしいよね!」くらいのスタンスで本書を読みたい。

(終わり)

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プロブロガーになるために就活をやめた大学生は愚か者なのか

「プロブロガーになるために就活やめます!」と高らかに宣言するブログ記事が、はてなブックマークで炎上しコメント欄で袋叩きにされる。はてな界の恒例行事であり、またか、と思わないわけではないのだけれど、胸が痛い。

とくに「新卒切符を投げ捨てるなんてもったいない!!」といった類いのコメントは、心にグサグサと突き刺さる。

僕は、新卒切符を投げ捨てた側の人間ではない。正反対で、新卒切符を大切に握りしめて就活というレールに喜んで乗っていった人間なのだ。

大学三年の十二月には就職活動を始め、そして卒業する大学四年の三月まで就活を続けたが、内定が得られなかった。大手志向ではない。中小企業をメインで受けていたし、ハロワにも足繁く通った。電車を三時間乗り継いで、山奥の農家にまで面接に行った。

新卒カードよりもさらにレアカードである、社長や人事部長のコネも使った。政府がやっている新卒者就職応援プロジェクトにも参加した。バイトからの正社員登用も目指した。

大学卒業後も、二年間は就職活動を続けた。正社員になりたかったし、僕の周りの人間もそれを望んでいた。

そして内定は得られなかった。

就活は全滅した。

自分自身を大いに責めたし、就活自殺は本気で考えた。ただ僕の場合は(せめて死ぬ前に)この負の感情を物語に昇華させて、何本か小説を書き上げたいという気持ちが上回った。現実逃避のための創作といえど、空想が現実を救うことだってある。

現在、僕はWebライティングやブログやアフィリエイトや電子書籍で細々と収益を得て、何とか生計を立てている。

「どうして五条さんはWebライターになったんですか」と聞かれて正直に答えるならば「就活で失敗したからですね」と苦笑いするしかない。(というかリアルでもそう答えている)

正社員と比べると、もちろん不安定な生き方だ。未来が見えない。

来月あたりに国民年金が一年前納で引き落とされるし、国民健康保険も払わなきゃだし、健康診断も自腹だし、有給もボーナスもないしで、本当にきつい。

それでも何とか生きている。

きっと何者にもなれない自分の、精一杯の生存戦略。

ひとつの運命として、受け入れるしかなく。

自分の生き方を肯定できるのは自分だけしかいないのだから、受け入れて、前に進んでいかなければならない。大きな愛と大きな軽蔑を胸に抱えて、生を肯定せよ。

結局のところ、プロブロガーになるために就活をやめた大学生が愚か者なのかどうか、僕にはわからない。きっと誰にもわからない。

タロットカードの愚者(THE FOOL)は行く先に広がる無限の可能性を示すカードである。正位置ならば勇気を後押しする意味を持ち、逆位置ならば軽率さを諫める意味を持つ。

くるくると回る羅針盤を片手に、僕らは答えのない道を歩むしかないのだ。

(了)

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辛口書評『ミニサイトをつくって儲ける法』は本当に儲かるのか?

ミニサイトをつくって儲ける法』(和田亜希子・著/日本実業出版社)という本を書店で購入し、読んだ。ひとりのブロガー兼アフィリエイターとしての素直な感想を書いていきたい。辛口書評とあるが、実際には中辛くらい。

評価すべきところについては大いに評価されるべき書籍だと思う。本書を読もうかどうか迷っている人を想定し、質疑応答形式で書評を進めていきたい。

ほったらかしでも月10万円!  ミニサイトをつくって儲ける法

ほったらかしでも月10万円! ミニサイトをつくって儲ける法

 

 Q1.サブタイトルに「ほったらかしでも月10万円!」とあるけれど、本書を読めば本当に月10万円稼げるようになるの?

【回答】

短期的・中期的スパンでは無理です。最低でも2年以上、できれば5年くらいミニサイト作りに取り組む気持ちであれば、達成可能でしょう。本書は手っ取り早く稼ぐためのノウハウ本ではありません。

【より詳しい回答】

本書には「ほったらかしでも月10万円!」という射幸心をドバドバと煽りそうなサブタイトルが設定されている。だがこれは正直いただけない。

なぜならば、本書はサイト作りで《儲ける》ための書というよりかは、サイト作りを《楽しむ》ための書であるからだ。

例えば本書ではミニサイトのテーマの一例として「くらげマニアのための水族館」の紹介サイトを作るのはどうですか?(p.69)といった提案をしている。

また冒頭ではミニサイトの一例として『ベランダで鳩が卵を産んだ』というサイトを紹介している。

「くらげ博物館!」のようなマニアックでニッチなサイトを作ることは本当に楽しいのだけれど、少なくとも稼ぐのは主軸ではない。こういったサイトは月に1000円くらいの収益が出れば大万歳で、少なくとも専業アフィリエイターが手をつける事業ではないだろう。

だから繰り返すけれども、本書は趣味として楽しくサイト作りをしましょう!が趣旨に近い。せっかくサイトを作るのだから、(その趣味の活動経費+αくらいは)マネタイズできるようになればOK。「儲けは第二」の色が強いのではないかと感ずる。

本書がおすすめなのは、次のような人である。

  • アフィリエイトが「楽しくない」と感じているアフィリエイター
  • 雑記ブログが「稼げない」と感じているブロガー

上記2つに該当する人には、間違いなくおすすめできる。

その理由は、ミニサイトは雑記ブログよりは稼ぐことができ、アフィリエイトサイトを作るよりかは楽しいからだ。図にするとこんな感じ。

だから、ブロガーとして稼げている人や、アフィリエイトが楽しい人には、本書はあまり必要ではないかもしれない。ブロガーでもアフィリエイターでもない、第三の選択肢(ミニサイト職人)を目指す人は本書を手に取ってほしい。

Q2.「くらげマニアのための水族館」の話が出てきたけど、そんなニッチなサイトでほんとにマネタイズ可能なの?

【回答】

Google AdSenseやクラゲ関連グッズのアフィリエイトなどで、月1000円も行ければ上々だと思います。マネタイズ自体は可能。本書ではこうしたミニサイトを『電子書籍』に繋げるアイデアなども紹介されており、そのあたりは興味深いです。

【より詳しい回答】

くらげマニアをターゲットにした情報サイトを立ち上げるメリットはひとつあって、それはなんといっても競合が少ない(もしくはいない)ところだ。

それが儲からない分野であればあるほど(マネタイズ目的の)ブロガーやアフィリエイターは参入してこない。だからニッチ分野であれば、ミニサイトといえども検索上位を狙うことができる。そもそもの競合がいないから、記事の更新をしなくても検索順位が落ちない。まさにブルーオーシャンだ(そのブルーオーシャンに金脈が埋まっているかは知らない)。

で、マネタイズについてだが、本書記載の方法でミニサイトを作った場合(宝くじよりかは高い確率で)サイトが大化けすることはあり得る。

例えば「サーバルキャット」の専門サイトはどうだろう?

サーバルキャットのコンテンツで稼ぐことなど、2016年以前は誰にも思いつかなかった。ところが2017年に「けものフレンズ」というアニメが大ヒットし、そのメインキャラであるサーバルちゃんが話題となった。今ならば、サーバルキャットの専門サイトはかなりのアクセスを稼ぐことができる。

もしもサーバルキャットのミニサイトを事前に仕込めていたのなら、けものフレンズがヒットしたタイミングで、けもフレ関連記事でも書いてツイッターでPRすれば良い。サイトは一躍有名となる。

サーバルキャット専門サイトの運営者ということで、他のWebメディア媒体からライティングの依頼が来るかもしれない。もしかしたらそれを機に、有名ブロガー並みの著名人となれるかもしれない。

これはもちろん、取らぬ狸の皮算用だ。

けれども、ミニサイトを複数作っていれば、そのうちのひとつが(まぐれ当たりでも)月10万円くらいは軽く稼げるサイトになる可能性は大いにある。

もちろん、自分の興味のない分野には手を出すべきではないし、サイト量産が推奨されるわけではない。

あくまでミニサイト作りは「儲け先行」ではなく「楽しさ先行」で考えたいものなのだ。

もしも本書を読んでミニサイトで稼ごうとする人がいるならば、以下の三つの格言を胸に刻み込んでほしい。

  • わーい!
  • すっごーい!
  • たっのしー!

※けものフレンズの台詞より

もう少し伝わる言葉に訳すると

  1. 喜ぶこと/喜ばせること
  2. 好奇心を持つこと
  3. 楽しむこと/楽しませること

この3つである。この3つが(長期的スパンでの)サイト運営には欠かせない、本当に大切な指標となる。

「ミニサイトをつくって儲ける法」のなかではこのようなことが明言されているわけではないものの、「楽しく作れるサイトを運営しよう」「サイトを作って誰かを喜ばせよう」と読者をポジティブな気持ちにさせてくれる。

そこは本当に、本書の素晴らしいところだと思う。

Q3.本書の役に立つところと役に立たないところを教えて

役に立つところはすでに述べたとおり。

従来の価値観ではミニサイトといっても「DHAサプリメントランキング」だとか「にんにく卵黄の口コミまとめ」だとか、そんなんばかり。

アフィリエイト色が強すぎて(稼げるけれども)あまり楽しくはないサイト作りが、この手のノウハウ本ではよく紹介されていた。

しかし本書では、稼ぐことよりもまず、自分が作っていて喜びを感じるような、そんな楽しいサイト作りを提唱している。

これからの時代に必要な、大切な価値観であると思う。(だからこそ個人的には『ほったらかしでも月10万円!』の扇情的なサブタイトルが残念でならない)

ミニサイトの具体例(実際のサイトのURL)もたくさん載っているし、実物のサイトを見ながら本書を読み進めれば得られる気づきは多いと思う。

逆に役に立たないのは「第3章 〈制作編〉短期間で効率よくつくるには?」の章。この章は本書にはいらないのではないかと思う。

HTMLだとか無料ブログだとかWordPressの使い方だとかが書かれているものの、ちょっと情報が中途半端に浅い。

ライブドアブログの新規登録方法や初期設定の方法なども書かれているのだけれど、蛇足かなという気がする。でも読者がまったくのネット初心者であれば、やはり必要な情報なのだろうか。うーむ……。

いらないとまでは言い過ぎかもしれないが、「第3章 〈制作編〉短期間で効率よくつくるには?」の章にあまり役立つ情報は見いだせなかった。他の章は良いと思う。

本書のなかでは(初心者を想定して)ブログサービスやWordPressでミニサイトを作る方法を紹介している。

しかし完結型のミニサイトであれば「静的サイト」として作った方が立ち上げも管理も楽で、むしろWordPressなんかでミニサイトをつくるのは面倒が多いと思う。

個人的にはミニサイトは「手打ちHTML」で作るのをおすすめしたい

最低限のHTML、CSSの知識があれば作れるし、レスポンシブデザインは難しいと思われるかもしれないけれど、最初からスマホ想定でワンカラムのデザインにしても良いし。レスポンシブも言うほど難しくはない。

JavaScriptができれば凝ったアニメーションの面白いサイトも作れるし、PHPができればいろいろと楽ができる。

HTML,CSS,JavaScript,PHPの4つはミニサイト作りをやるのであれば、知っていて絶対に損はしないので、無理のない範囲で少しずつ勉強していくと良いだろう。

まとめ

「ほったらかしでも月10万円! ミニサイトをつくって儲ける法」は次のような人におすすめです。

  • 雑記ブログで稼げないことに悩んでいるブロガー
  • アフィリエイトが楽しくないことに悩んでいるアフィリエイター

ミニサイトは、ブログほどに自由ではありませんが、アフィ特化サイトをつくるよりは自由度が高く、楽しいです。

ミニサイトは、アフィ特化サイトほどに稼げませんが、雑記ブログよりはずっと稼ぎやすいです。

アフィリエイターにもブロガーにもなりきれない人のために「ミニサイト職人」という第三の選択肢を与えてくれる。そこが本書の最大の魅力といえる。

(終わり)

 

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「簡易書留」は配達完了メールを受け取ることができるという話

僕は「簡易書留」を利用する機会が多く、書留で出すためにしょっちゅう郵便局に足を運ぶ。しかし、簡易書留で配達完了メールが届くサービスを知ったのは、つい先日のことだった。今まで知らなかったことが悔やまれる。これは便利なので簡単にご紹介したい。

郵便局の「郵便追跡サービス」はゆうパック以外でも利用できる

荷物の配達状況をネットで確認できる「郵便追跡サービス」だが、僕はこれまで、ゆうパック専用のサービスだと思い込んでいた。ところが実際は、ゆうパックの他にもさまざまな郵便物で利用可能だ。

配達完了メールも、この郵便追跡サービスから申し込める。

詳しくは

こちらの公式サイトをご覧いただきたい。

郵便追跡サービスは、下記のような郵便物で利用できる。

  • 一般書留・現金書留・簡易書留・特定記録郵便
  • レターパック・レタックス・配達時間帯指定郵便・新特急郵便
  • ゆうパック・ゆうパケット・クリックポスト
  • EMS・国際小包・国際書留

簡易書留だと、郵便窓口で送ったときに「書留・特定記録郵便物等受領証」なるA4サイズの紙、もしくはレシートのようなものを手渡される。

ここに「お問い合わせ番号」(11桁~13桁の数字)が記載されている。

お問い合わせ番号を上記の郵便追跡サービス(個別番号検索)にかければ、配達状況の詳細を見ることができる。

送り相手が不在で配達できなかったときは「ご不在のため持ち戻り」といったステータスが表示されるし、担当の郵便局に書留が到着した際は「配達予定日」も記載される。

そして、郵便追跡サービスの検索結果ページの下部に「配達完了メール通知サービスのお申し込み」なるボタンがあって、ここからメールアドレスを登録すると、配達完了報告メールを受け取れる。もちろん無料で利用できる。

簡易書留の配達完了メール通知サービスはこんなときに便利

簡易書留で出す書類は、とにかく確実に期日までに送り先に到着したことを知って、心理的な安心を得たいものが多い。

高校や大学の願書であったり、履歴書やエントリーシートであったり、あるいは〆切必着の小説原稿であったり。

そんなときはとにかく、簡易書留を出してすぐに、追跡サービスの「配達完了メール通知サービス」に申し込んでおくと良いだろう。申し込むといってもメアド登録だけなので、5分もあれば大丈夫。

さておきこないだ郵便局に行ったら「Webで内容証明郵便が送れますよ」という案内パンフレットが置いてあってびっくりした(e内容証明 - 日本郵便)。

こちらもまた利用する機会があったら、ブログでレビューしてみたい。

(終わり)

時給換算数百円のライティング案件には手を出すべきではない

クラウドソーシングでよく見かける文字単価0.5円のライティング案件。手数料で20%も抜かれるから、時給換算だと数百円にしかならないことも多い。

下記のブログでは『時給にすると96円!』と低単価に嘆くWebライターの話が紹介されていた。

記事中で言及されるWebライターは『1200文字、報酬600円(手数料引きで実質480円)、調べ物に5時間を要するライティング案件』を受注したようだ。

記事品質が問われない低単価案件(サテライトサイト量産問題)

僕の知っている2013年頃は、この手の低単価案件はアフィリエイターがサテライトサイトを大量生産するために発注をかけていた。そして記事の品質はほとんど問われないのが通例だった。

だからおかしいのは報酬額ではなくて『調べ物に5時間を要する』の部分。こんなのは15分くらいでちゃちゃっと1200文字仕上げれば、そこそこ良い時給になるよね? というのが当時の感覚としてある。

逆説的に、クライアント側が文字単価0.5円で発注をかけるのであれば『どんなに低品質な記事が納品されたとしても文句は言えませんよ』の暗黙の了解を受け入れなければならない。

単価0.5円の記事をメインサイトに使うなんて、とんでもない話。安物買いの銭失いとはよく言ったものだ。それでサイト全体の検索順位が伸びなくて頭を抱えているクライアントさんが、たびたび僕のところにSEO相談へ来る。頼むから単価を上げてくださいと毎回言っているのだが……。

低単価で書かれた低品質な記事が、今日のインターネットを使いづらいものにした。ブラックアフィリエイターたちが負の遺産を残していったのは、言うまでもない。サテライトサイト量産のようなブラックハットSEOに、間接的にでもWebライターは加担すべきではない。

記事品質が問われる低単価案件(ゼロがひとつ足りない問題)

もしも『調べ物に5時間を要する』が本当ならば、やはり報酬のゼロの数が足りないと言わざるを得ない。600円は悪いジョークだ。6000円で最低ラインといったところ。

冒頭に挙げたピピピピピ氏のブログ記事では、こんな仕事するくらいならバイトした方がいいよね、みたいなことが書かれているが、たしかにそのとおりである。

僕は、データ入力のアルバイトをしたことがある。一日中、パソコンのテンキーで数字を打つだけのつまらない仕事ではあったが、時給1300円と給与は悪くない。

なんてったって楽な仕事で、マニュアル通りにキーボードをぽちぽちするだけ(といってもそれなりのタイピング速度が求められたが)。あとは職場に流れるFMラジオを聴きながら、とりとめもない妄想に耽っていたら終業のチャイムが鳴る。

真夏でも冷房の効いた涼しい部屋だったし、10分休みもちょくちょくあったし。あれ、僕が今現在置かれている労働環境よりもあのときのバイトの方が恵まれているのでは……、くっ、目から涙が……。

とはいえ、Webライター業をする人には、何らかの特殊な事情がある。(その内容は人それぞれ異なるが)アルバイトのできないそれ相応の理由があるから、やむなくWebライターをする人も多いと思う。僕自身もそうした事情についてはよく理解している。

ただそれでも、時給換算数百円のライティング案件には手を出すべきではない。

すごくリアルなことを言うと、文字単価1円未満の仕事を長く請けていると、将来の厄介ごとが増えてしまうのだ。数年後に好条件の文字単価で働けるようになってからも、かつての文字単価0.x円時代のクライアントさんとの人間的繋がりは残っている。

数年来、1文字0.5円で仕事を貰ってきたクライアントさんに「来月から単価を10倍に上げてください」とはなかなか言えないし、仮にそうなったらクライアントさんの事業が破綻してしまうことが見えている。

「仕事が手一杯でお引き受けできないので、他のライターさんにご依頼ください」とでも言おうものなら「お願いします、あなたがいないと駄目なんです! 他のライターさんだと記事の質が低すぎて!」ってそりゃあ、文字単価低いのが原因だろうと突っ込みを入れたくなるものの、長年懇意にしている相手だと関係を切るのも難しい。

今トレンドになっているアフィリエイト案件を教えたり、SEO都市伝説の誤解を解いたりして、なんとか稼げる(報酬がたくさん出せる)クライアントさんになってほしいと協力するものの、こうなると鶏と卵の関係だ。

低単価で記事を発注するからサイトの収益が上がらないのか、サイトの収益が上がらないから低単価で記事を発注してしまうのか。

愚痴が長くなってしまって申し訳ない。何にせよ、このような厄介な問題に足を踏み入れてしまう危険性もあるし、低単価で仕事を引き受けて得することは皆無である。

なにより、僕たちは命(時間)を削って書いていることを自覚しなければならない。

時給換算100円の仕事で100万円を稼ごうと思えば、1万時間も要する計算だ。1万時間だ。月20日間、8時間業務で、なんと5年もかかる。

5年もひたすら『書く』ことに専念できるのであれば、小説を書いて新人賞に投稿し続けた方がずっと成功率は良さそうに思える。

どうせ命を燃やして書くのであれば、自分が価値を感じることに、自分が楽しいと思えることに、時間を捧げよう。

(終わり)

MFクラウド確定申告を1年間使ってみた所感(具体的な難点・デメリット)

先週の2月22日に確定申告を済ませてきた。

『所得税の青色申告承認申請書』を提出済みで、複式簿記で取引管理していたため、青色申告でやってきた。でもぶっちゃけ、税金を納められるほど稼ぎがないもんで、ふつうに白色申告で良かったですね……。:;(∩´﹏`∩);:

さておき、会計ソフトには『MFクラウド確定申告』を使用した。

おそらく多くのブログやサイトでは、MFクラウドのメリットや利点を詳しく書いていることと思う。なのでこの記事では(逆張りというわけではないが)利用者目線に立ったMFクラウドの使いづらいところとデメリットを中心に書いていきたい。

【解決済み】MFクラウドの難点1:自動仕訳のデータ連携が完全ではない

MFクラウド確定申告の目玉機能として「データ連携」という仕組みがある。例えば僕は、MFクラウドと下記のサービスとを連携させている。

  • 住信SBIネット銀行
  • リクルートカード
  • A8.net
  • もしもアフィリエイト
  • もしもドロップシッピング
  • ランサーズ

で、連携すると何が便利かというと、仕訳を自動でやってくれるのだ。

ネットに晒して良いものか悩ましいが百聞は一見に如かずということで。

※1:A8.netで確定報酬が生じたタイミングで、売上高発生の仕訳をする

※2:DMMからクレジットカード払いが生じたタイミングで、通信費発生の仕訳をする(※通信費は決算処理のときに家事按分します)

※3:ランサーズでプロジェクト完了のタイミングで、報酬・システム手数料・認定ランサー指名料の仕訳をする

上記のような仕訳をデータ連携したMFクラウド側で自動でやってくれる

というわけで、この機能はめちゃくちゃ便利なのだ。

ところが残念なことに、「もしもアフィリエイト」とのデータ連携がうまくいかない。データの取得状態が《正常》と出ているのに、なぜか「もしもアフィリエイト」の報酬確定データが読み取れないみたいだ。

これは1年前からずっとそうで、運営さんには早いところ直してもらいたい不具合といえる。

追記:不具合修正されました!(2017年3月10日追記)

その後、MFクラウドのカスタマーサポートさんの方に不具合の現象を報告し、調査をしていただきました。プログラムを修正したとのことで、現在は「もしもアフィリエイトの明細が取得できない」という不具合は解消されています

カスタマーサポートの方のご対応も非常に丁寧で、好感を持ちました。

あと蛇足だけれども「もしもアフィリエイト」をサービス連携する際に、ひとつだけ注意点。もしもアフィリエイトでは、報酬振込のときに「W報酬制度」というボーナスがつくのだけれど、こちらのボーナスの方は明細に反映されない。(もしも側の仕様です)

なので、このボーナス追加分については、MFクラウドに手動で仕訳入力しなければいけない。もしもの明細と実際の振込額で金額が合わない、というのは「W報酬ボーナス」の分なので、混乱しないようにしてほしい。

MFクラウドの難点2:補助科目の設定に手間がかかる

例えば「売上高」の勘定科目に対して、「アフィリエイト報酬」「原稿料」「講演料」のようにカテゴリを設定できるのが補助科目だ。

補助科目を設定すると、収益分析や費用分析がやりやすくなるメリットがあり、僕も積極的に補助科目を活用している。

ところがMFクラウドは、補助科目を登録するのがやや面倒な仕様となっている。

具体的に「売上高」の補助科目を設定しようと思えば、下記の手順を踏む必要がある。

  1. 《各種設定》タブから《勘定科目》の項目を選択
  2. 《貸借対照表》のページを《損益計算書》のページに切り替える
  3. 《補助科目追加》のボタンから《売上高》を選択
  4. 《補助科目》を登録

この作業がどう考えても煩わしい。

「手動仕訳・簡単入力」の画面や、「仕訳帳」の設定画面から補助科目を追加できるようにするのが親切だし、そこまでいかなくともせめて勘定科目のテーブル表から直接追加できるようにすべきだと思う。

MFクラウドの難点3:簡単入力において『売掛金』の仕訳がやりづらい

付け加えて、手動で売上高を仕訳するときに「手動仕訳・簡単入力」のラジオボタンに『売掛金』の項目がなく、いちいちその他の勘定科目リストから『売掛金』を選択しなければならないのも面倒だ。

『売上高』の相手勘定科目は『売掛金』となるケースが多いのに、簡単入力で売掛金がデフォルト項目にならないのはやはりおかしい。

このあたりは使っていてとくに不便に感じるところなので、運営側に改善提案を出しておきたい。

【解決済】請求書から自動仕訳をした際に、デフォルトの取引日が請求書発行日からずれる

MFクラウドには、請求書や領収書の発行・管理ができるサービス「MFクラウド請求書」というものがあり、僕はこちらも登録している。

《MFクラウド請求書》と《MFクラウド確定申告》は連携することができ、例えば請求書発行のタイミングで、売掛金の仕訳をやってくれる

ただこのときに、仕訳の『取引日』のデフォルト項目が、どういうわけか請求書の発行日と一致しない

なので毎回、手動で『取引日』を設定し直さなければならない。かゆいところに手が届かない感じで、もったいないと思う。(すぐ下の追記参照)

問題の解決方法(追記2017年2月28日)

この件についてMFクラウド様より返信をいただき、問題の解決方法がわかりました。「MFクラウド請求書」側の設定変更で、仕訳時のデフォルト取引日を変更できるようです。

下記に手順を紹介します。

  1. MFクラウド請求書の右上歯車のマークをクリックして「帳票設定」ページを開く
  2. 「帳票詳細デフォルト設定」の項目で、【売上計上日】を《前月末》→《請求書作成日》へと変更する

これで解決です。

大変お騒がせしました。MFクラウドさんありがとうございました。

MFクラウドの難点4:過去に既存ユーザーへの配慮が足りない形で大幅なデザイン変更がおこなわれた

2016年8月に、MFクラウド確定申告の管理画面が大幅にデザイン変更された事案があった。「デザイン変更」といっても可愛らしい仕様変更ではなく、もう本当に管理画面の何もかもが一変してしまった。

もちろん、MFクラウドではユーザーに対して事前告知がされていたが、それにしてもデザインやツールの名称が大きく変わってしまったため、せっかく使い方に慣れてきた既存ユーザーの(悪い意味で)意表を突くリニューアルとなった

僕も仕様変更で大いに戸惑った。今まで見られていたグラフが見られなくなったりと、一部に改悪点もあった。(しかし全体で見ると、リニューアル後の方が使いやすくなったのは確か)

せめてここまで大規模なリニューアルの場合、ユーザーが「旧デザイン版」と「新デザイン版」のどちらかを選択できる移行期間を設けるべきであった。

運営からは「新旧ページ対照表」が公開されたが、既存ユーザーに対するそれ以外のサポートはなく、僕としては少し不信感を抱いた。

まとめ

以上、この記事ではMFクラウドの難点・デメリットを4つ挙げた。

逆説的になるけれど、1年間使ってきて上記の4つのデメリットしか気にならなかったということは、それだけMFクラウド確定申告のシステムが完成されているものだと感ずる。

そもそも確定申告ソフトは「確定申告さえ無事に終わったら目的は達成される」といった性質のもの。その点においては、MFクラウド確定申告は(不満点はゼロではないものの)100点満点中85点くらいはつけたい便利なサービスだと思う。

毎月の仕訳件数が15件以内であればフリープランも使えるし、そうでなくとも30日間の無料お試し登録ができる。

まずは試しで、MFクラウド確定申告(公式サイト)に登録してみても損はない。

ランサーズとのデータ連携(自動仕訳)は完璧にやってくれるので、ランサーズからの収入が多いWebライターの人にはMFクラウドをおすすめしたい。

補足:『自動仕訳』は適切な勘定科目を探してくれる機能ではない

留意点として、最初は勘定科目を手動設定する必要があるため、そこだけ誤解なきよう。

(とりあえず使ってみれば分かると思うけれども)例えばコンビニのATMで事業用口座から引き落としたときに『事業主貸』で手動登録すれば、以降もコンビニATMから引き落とされた際に『事業主貸』で自動仕訳される。

ところが初期登録時に『事業主貸』の勘定科目を間違えて『事業主借』でやってしまうと、以降の自動仕訳も『事業主借』が選択されてしまう。

何が適切な勘定科目かは、ユーザー側で判断しなければならない。これは自動仕訳のできるMFクラウド確定申告でも他の確定申告ソフトでも同じこと。

仮に間違った勘定科目で仕訳をしても、MFクラウド側では注意も警告もしてくれない。それだけはどうか気をつけてほしい。

何を隠そう、僕もじつは、事業主貸(事業用口座から生活費を引き落とす)と事業主借(自分のお金を事業用口座に入金する)を取り違えて仕訳してしまった経験がある。

なお記事中で述べたすべてのデメリット・難点について、MFクラウド確定申告のカスタマーサポートには「改善提案済み」である。なのでもしかしたら、この記事をお読みの頃にはこれらのデメリットは解消されているかもしれない。

以上、MFクラウド確定申告を検討される方のお役に立てれば嬉しく思う。

(終わり)

 

dアニメストアに加入したら私的に満足度がかなり高かったという話

NTTドコモが運営するアニメ見放題サービス(dアニメストア)に、今月から加入している。dアニメストアでは月額400円で全1917作品のアニメが見放題となる。(※2017年2月26日現在)

正直、普段からアニメしか観ない僕としてはAmazonプライムビデオやHuluよりも、dアニメストアの方が満足度が高かった。

dアニメストアのどこが良いのか? それは視聴可能な作品のリストを10も並べれば、分かる人にはすぐに分かると思う。

2017年2月26日現在、dアニメストアで視聴可能な私的おすすめ作品リスト

  1. ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom(2000年)
  2. キノの旅-the Beautiful World-(2003年)/何かをするために -Life goes on-・塔の国 -Free Lance-(2005年)/病気の国 -For You-(2007年)
  3. 灼眼のシャナ(2005年)/Ⅱ/OVA/SP/Ⅲ-FINAL
  4. 輪るピングドラム(2011年)
  5. ユリ熊嵐(2015年)
  6. ローリング☆ガールズ(2015年)
  7. ジョーカー・ゲーム(2016年)
  8. 喰霊-零-(2008年)
  9. planetarian ~ちいさなほしのゆめ~(2016年)
  10. けものフレンズ(2017年)

特筆すべきは「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」だろうか。今から17年も昔のアニメだが、名作中の名作である。原作ファンとしては、よくぞあの上遠野浩平ワールドを映像化したものだと感嘆に尽きない。エピソードも原作とは異なるオリジナル仕立てなので、原作未読の人にも勧められる。

とくに「serial experiments lain」が好きだった人は、必ず本作を気に入るだろうと思う。残念ながらlainの方はdアニメストアに入っていないのだが……。

とにかく、今となってはマイナーかもしれないけれど確実に名作だと断言できる作品がdアニメストアにはたくさんあって、2000年代アニメの懐古に浸りたい人にはほんとおすすめしたい。

もちろん古いのだけではなく、今期放送中のアニメも見ることができる。「けものフレンズ」とかね!

2017年2月26日現在、dアニメストアで観られなくて残念な作品

なお、dアニメストアでは下記の有名作品を視聴することができない。そのうちラインナップに加わるかもしれないが、デメリットとして視聴不可作品を挙げておきたい。

  1. serial experiments lain
  2. 魔法少女まどか☆マギカ
  3. 新世紀エヴァンゲリオン
  4. クズの本懐
  5. ガールズアンドパンツァー

このあたりの有名所が入っていないのはマイナス点といえる。

Amazonプライムビデオも、一時期だけガルパンが配信されたことで話題となったものの、気がついた頃には配信を終了してしまった。dアニメストアも同様に、配信追加もあれば配信終了もある。(ライセンス契約の関係上やむを得ないのだろう)

「地獄少女」なんてせっかく第4期が放送決定したのに、dアニメストアでは今月末で地獄少女1~3期が配信終了してしまう。大人の事情があるにせよ、ちょっと勿体無いなあ……と思う。

ちなみに配信終了される期間限定作品については、『本作は期間限定作品です 2015/12/1 10:00~2017/2/28 18:00』といったように赤字で表記がされている。なので、ある日突然に視聴中の作品が見られなくなった――という心配はしなくても大丈夫。

月額400円だから「元を取らなきゃ」というプレッシャーがない

月額400円(税抜)の価格設定は、「元を取らなきゃ」というプレッシャーがかからなくて良い。1ヶ月で1作品でも見られたら、十分にお得感がある。

ちなみに僕の視聴履歴は上の画像のとおりで、1ヶ月で9作品・56話を見た。といっても数話で切ったのが多いから、実質的には4作品。

具体的には、

  • 今期アニメ→(けものフレンズ/Rewrite 2ndシーズン)
  • 過去アニメ→(ユリ熊嵐/ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom)

といった感じ。

たった4作品の視聴であっても、月額400円だとお得感がかなりある。

価格の安さがdアニメストアのひとつのアドバンテージであることは間違いない。気楽に見られるし。

(3月現在のマイページ。10作品59話に増えた。まったく、けもフレは最高だぜ…!)

まとめ

dアニメストアのメリットを挙げておくと次の通り。

  • 作品数が1,900作品以上と多く、ニッチな名作がたくさんある
  • 今期アニメで「けものフレンズ」が見られる
  • パソコンからHD画質で見られる(対応作品のみ)
  • スマホでも高画質で見られる(Wi-Fi接続推奨)
  • ドコモユーザーでなくてももちろん会員登録できる
  • 月額400円と安く「元を取らなきゃ」感がない

そしてデメリットは次の通り。

  • わりと頻繁にログインを求められる(パスワード入力が面倒)
  • 配信終了される作品もある
  • まどマギ、ガルパン、lainが入っていない

こんなところだろうか。

スマホでパスワード入力するのが面倒なので、ログイン有効期間はもう少し伸ばしてほしいところ。

でも細かいところを除けば、かなり満足している。個人的にはアニメ見放題系サービスのなかではdアニメストアが一番良いと感じた。

とりあえずこの1年間はdアニメストアでいろんなアニメを発掘していきたい。

記事の上段落で挙げた『私的おすすめ作品リスト』は本当にめちゃおすすめなので、加入済みの方はぜひ。1作品に絞るのであれば、『喰霊-零-』を強く推したい。

(終わり)

アフィリエイトの外注記事の品質を上げるための文章チェックマーカー(自作ツール紹介)

去年に、簡単な文章チェックツールを作った。サブブログの方でこれを紹介したのだけれど、想定していた用途とは異なり「小説原稿」のチェックツールということで話題になってしまった(もちろんこれはこれで嬉しい)。

紹介記事としては重複するものの、このブログはアフィリエイターさんやWebライターさんも見てくださっているので、こちらでももう一度ご紹介したい。

1.「リライトマーカー」低品質の外注記事で多用・乱用されがちな表現をマーカーで指摘

文章推敲支援ツール「リライトマーカー」

リライトマーカーは、僕がとあるクライアントさんから「某所で外注した記事の品質がひどいので全50記事リライトしてほしい!」というヤバそうな案件を請けたときに開発したツールだ。

ちなみにクライアントさんは、1文字単価0.2円で発注をかけていた。

クオリティ重視するなら最初から単価を上げてよ!!と、僕は(クラウドソーシングライターの代わりに)悲鳴を上げた。

リライトマーカーは、端的に言えば「低品質な外注記事において多用・乱用されがちな表現」に赤マークを引いてくれる。なお、赤マーカー箇所は決して使ってはいけない表現ではない。

しかし乱用しがちな表現ではあるから、マーク箇所を別の言葉に置き換えてみれば、見かけの文章力がぐっと上昇するはず……(と開発者は期待する)。

具体的に、下記のような言葉がマーカーに引っかかる。

「~というもの」「~というのは」「~ということ」

(例)ジャガイモの皮を向くときは、ピーラーというものを使います。ピーラーというのは、英語のpeelから来ており…(中略)調理の時間を短縮できるということなのです。

原則的に「~という」の表現が出てきたら、それはほとんど省略してしまって差し支えない。

低単価で記事発注をかけると、ライター側はどうしても「文字数をできるだけ稼ごう!!」と頑張ってしまう。だから1記事に「~という」が10カ所以上も出てきてしまう。文字単価を上げよう!

※念のため繰り返すけれども、あくまで乱用するのが問題なのであり、この表現を使うこと自体は何ら問題ない。僕でさえこのツールを使うと大量に赤マークされるので、たくさん赤マーカーを引かれたとしてもどうか気を悪くしないでほしい。

ぶっちゃけ夏目漱石の文章でも太宰治の文章でも、真っ赤っかになります。仕様です。

「など」「たり」

(例)ピーラーはジャガイモやリンゴなどの皮を向いたり、キャベツをみじん切りにするなど、便利な使い方がたくさんあります。

このパターンも多く見受けられる。「~など」はついつい乱用する表現の筆頭であり、「~たり」も使い方を誤りやすい。

「こと」「もの」「それ」「これ」

キャベツはレタスと形が似ていることから、それがキャベツということに気がつかないまま買ってしまうことがあります。

上記はまだマシな例で、一文に「こと」が5個以上出てくるケースも目にした(逆にすごい)。

解説はこのくらいにして、完全無料でテキストを貼り付けるだけで使える簡単なツールなので、もし宜しければぜひご活用ください。

あと、「人工知能を使ってるんですか!? すごいですね!!」といった感じのコメントを頂いたことがあるのですが、誠に申し訳ない。当方の技術不足につき、ごくふつうのJavaScriptで動く本当に簡単なツールです。

しかしこのリライトマーカー、「マーカーが検出されすぎて使いづらい!」というご感想はあると思う。

そこで手前味噌で恐縮だが、当方の開発した残り4つの文章チェックツールを合わせてご紹介したい。

2.「接続詞検出機」テキスト中の接続詞の用法をチェックする

文章推敲支援ツール「接続詞検出機」

テキスト中の接続詞を検出して赤マークしてくれるツール。

「単語が一致しているかどうか」のみで判定するため、誤検出もあります。このツールは窓の社さんでもご紹介をいただきました。

『文章は接続詞で決まる』光文社新書(Amazon)等の文章指南書籍と合わせてご活用いただければと思う。

同じ段落中に「しかし」や「そして」が連続で出てきていないかどうか、サクッとチェックしたいときにもぜひ。

3.「指示語検出機」こそあど言葉は具体的な表現に置き換えよう!

文章推敲支援ツール「指示語検出機」

こちらはテキスト中の指示語を検出して、赤マークするツール。

例えば「これがあれしてそれがこうして、それであれなんですよ……」みたいな指示語オンパレードな文章は大変読みにくい。

本ツールを用いれば、指示語を記事中で乱用していないかどうかを確かめることができる。

もしもお暇なら、青空文庫の小説を全文コピペして当マーカーで遊んでみると、面白いと思う。小説家が指示語をどのくらいの頻度で用いているか、視覚的に眺めることができる。

残り2つのツールは、小説を書く人用に開発したもの。Webライティングで活用する機会はないと思う。でもせっかくの機会なので、下記にリンクのみ掲載したい。

上記のツール、「使い方がよくわからないよー」という方がいらっしゃいましたら、とりあえずどんな文章でも構わないので、お手持ちの長文テキストをボックスにペーストしてみてください。

ボタン等一切クリックすることなく、ただ文章を貼り付けるだけで作動します。

以上、文章を書く人のお役に立てれば嬉しく思う。

もしも「こんなツールあったらライティングの役に立つのに……」みたいなアイデアがあれば、ツイッター:五条ダン (@5jDan)の方へお気軽にメッセージください。

プログラマーでも何でもないのであまり大したものは作れませんが、物書き支援のためのツール開発は今後も続けていきたいなと考えています。

(終わり)

 

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アフィリエイトでCTRが異常に高いのはWordPressのプラグインが原因である可能性

ASPの管理画面レポート(A8.netやもしもアフィリエイト)では、CTRという指標を見ることができる。ご存じの通りCTRは「クリック数/広告表示回数」で算出される。インプレッションに対して、広告がクリックされた割合を示す指標だ。

それで先日「アフィリエイトリンクのCTRが異常に高い」という案件に出くわした。どのくらい異常に高いかというと、CTRが61.9%もあったのだ。

つまり広告を見た人の過半数がアフィリンクをクリックしているわけで、これはあまりにも高すぎる。誰かがイタズラで大量にクリックしているのか…? と訝しんだが、早い話、CTR異常値の原因は「WordPressのプラグイン」にあった。

プラグイン「Broken Link Checker」がリンクをクリックしていた

結論を述べると、ページ内にリンク切れがないかを自動的にチェックしてくれるWordPressのプラグイン「Broken Link Checker」がCTRを高めていた要因だった。

このプラグインを無効にしたところ、翌月からはCTRが1.4%に戻った。(ひ、低い……:;(∩´﹏`∩);:

本来のCTRはこんなもんで、うまくアフィリエイトサイトを作ったとしても50%を超える例は少ないんじゃないだろうか。もしもCTRがあり得ないような数値を出していたら、一度WordPressのプラグインを疑ってみると良いだろう。

Broken Link Checkerでアフィリエイトリンクのチェックを除外する方法

Broken Link Checker自体はリンク切れ発見に役立つプラグインであるから、導入しておいて損はない。

じつは設定で、特定の語句を含むURLをチェックしないようにできる。

WordPress管理画面の「設定」→「リンクチェッカー(Broken Link Checker のオプション)」→「チェックするリンクの種類」の一番下の項目に「除外リスト」がある。

スクショのように『これらの単語を含む URL のリンクをチェックしない (1行にひとつ) :』とあるので、ここに除外したいASPのリンクを記載しておく。

例えば《もしもアフィリエイト》のリンクチェックをさせない場合には「c.af.moshimo.com」と入力しておけば、この語句を含むURLが、リンク切れチェック対象から除外される。

アフィリエイトサイトにBroken Link Checkerを導入するのなら、最初に除外リストの設定をしておくのが吉だろう。(でないとCTRがおかしくなるので)

 

以上、レアな事例かもしれないが、もしかしたら同じ現象で悩んでいる人がいるかもしれない。お役に立てたら幸いです。

(了)

【追記:2017年2月7日】

かなりニッチな内容なのでアクセス数はないだろうと思っていたものの、当記事が予想以上の注目を集めてしまったようで、驚いている。

見出しでは「Broken Link Checkerがリンクをクリックしていた」と書いた。しかしこれは厳密な意味での《クリック》ではなく、Googleタグマネージャーのイベントトラッキングでは(このプラグインによる)クリックは観測できなかった。

おそらくアフィリエイトリンクへのアクセスが、ASP側でクリックとして扱われてしまったのだろう。

現時点では、『Broken Link Checkerの導入期間中にCTRが異常値となり、プラグイン停止以降は正常値に戻った』という状況証拠しかない状態で、Broken Link Checkerに100%原因があるとは断言できない。

正直なところBroken Link Checkerがどのような仕組みで動いているのか分からないところが多く、もしも当該プラグインについて情報をお持ちの方や、当記事の間違いを発見された方は、(匿名でも全然OKなので)下記の連絡先にてお知らせくださいますと助かります。


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