Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

【ポートフォリオ公開】米国株ETF「QQQ」や「HDV」を保有して得る心理的効用について

ボクにはひとつの投資哲学があって、これは小説を書くときのテーマでもあるのだが「未来は分からない」繰り返そう、《未来は分からない》を個人的に信仰している。換言すれば、未来の不確実性に希望を見いだしている。

余談。ギリシア神話における「パンドラの箱」に残された最後の災厄は《予知》である。人類は予知能力を手にすることがなかったからこそ、災禍に荒れるセカイのなかでも生きる希望を捨てなかった。

未来が分からないのは、素晴らしい。ワクワクする。

未来が分からない前提において投資方針に優劣はない

今この文章を読んでいる読者さんでも、投資方針は十人十色だと思う。

  • 国内外の株式・債券・不動産・ゴールドに均等分散投資をする人
  • VT(Vanguard Total World Stock ETF)で世界経済の発展に賭ける人
  • VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)で米国市場の発展に賭ける人
  • AMZN(アマゾン)に全力投資の人
  • 仮想通貨XRP(リップル)に全力投資の人
  • CFDで米国VIのショート戦略を取っている人

未来が不確実である前提において、何に投資するのが最善であるかは、そのときになってみないと分からない。

ただひとつだけ言えるのは、あなたが自分の意思によって決めたその投資対象は、あなたを《幸せな気持ち》にさせるべく選ばれたということだ。

「心の会計」は人間の経済的不合理性を指すときに使われる言葉だけれども、案外「心が幸せになること」は侮れない。ボクは、自身の心理的効用を最大化させるべくポートフォリオを組んでいる。

異端の米国株ETFポートフォリオを公開

昨年からはこんな感じのポートフォリオで資産運用している。

QQQ(インベスコ QQQ トラスト シリーズ ETF)

VHT(バンガード 米国ヘルスケア セクター ETF)

XLP(生活必需品セレクトセクターSPDRファンド)

VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)

HDV(iシェアーズ コア 米国高配当株 ETF)

※各20%ずつ保有

このポートフォリオの意図をひとことで言うならば、

「情報技術セクター・ヘルスケアセクター・生活必需品セクター・高配当株・Google & Amazon が長期的に見てS&P500(米国市場平均)をアウトパフォームするだろう」

とボクが勝手に思い込んで組み上げたものである。

ただ正直なところ分散させ過ぎたなと思っており、もっとシンプルにQQQ(情報技術)・VHT(ヘルスケア)・XLP(生活必需品)で3セクター均等分散させた方が良かったかもしれない。分散させればさせるほど結局は市場平均に近づいてしまい、面白みに欠ける。 

5銘柄を選んだ理由

QQQ、VHT、XLP、VYM、HDVの5銘柄を選んだ理由について、下記に簡単に記しておきたい。

ちなみに「5つのETF」に絞った理由は、ボクが《五条ダン》というペンネームで活動しており、純粋に資産を《五つ》に分けて運用するのが心理的に気持ち良かったからである。じつに馬鹿げた理由だ。

QQQ(情報技術+α)

QQQは「情報技術セクター」に投資がしたくて組み入れた。

VGT( バンガード・米国情報技術セクターETF)の方を選ばなかったのは、ボクが iPhone よりも Android 派であり、Mac よりも Windows 派であり、Safari よりも Chrome 派であり、つまるところAppleよりもGoogleの方が好きだからである。じつにしょうもない理由だ。

(注釈)

VGTはかつてアルファベット(Google)とフェイスブックが上位構成銘柄であったが、この2大企業は2018年のMSCIセクター変更で「コミュニケーション・サービス・セクター」に移されてしまう。つまりVGTの投資対象からは外れ、代わりにアップル(AAPL)の割合が20%近くに上昇することが見込まれている。(記事執筆時点では18.16%)

ついでに、QQQに含まれるAmazon社が世界を掌握する可能性にも賭けている。

VHT(ヘルスケア)

こんなことを言ったら笑われるだろうが、「不老不死の薬」を完成させる夢に賭けている。VHTで投資できる約360社のうちのどれかひとつが、もしもワンチャン不老不死薬の開発に成功したならば、世界中の富を(ほしいまま)にだってできるだろう。

さすがに不老不死は言い過ぎだとしても、ゲノム医療・遺伝子治療・再生医療といった最先端の医学が切り拓く未来の可能性を信じたい。

 

HDV(高配当)

HDVは売買回転率が高く構成銘柄をコロコロ入れ替える異色のETF。とてもユニークで面白い。S&P500を上回る未来はイメージできないけれども、一方で金融恐慌時には鉄壁のディフェンスを見せてくれそう。市場暴落時のHDVの動きをぜひ間近で見てみたい。

下げ相場のときにHDVを持っていたらワクワクしそう!といった、じつに子供じみた発想で組み入れた。

こんな調子で続くので、XLPとVYMについては割愛したい。

プーさんの風船と米国株ETFとではどちらに価値があるか

今回こんな記事を書いたのは、自分の銘柄選定の正しさや優位性を証明したいからではない(むしろ正反対)。ボクがいかに非合理的に、自分の感情を優先させて銘柄を選んだかを知ってほしかったからだ。

前置きが長かった。

そろそろ本題に入ろう。

 

 

 

 

 

現在上映中の『プーと大人になった僕』を観てきた。

 

とても良かった。

 

www.youtube.com

ネタバレはしないがどのくらい良かったかと言うと、見終わった直後にウォルト・ディズニー(DIS)の株を個別で買ってやろうかと思ったほどである。

それで映画を観ながらずっと考えていたのは、プーさんの持っているただの赤い風船と、ボクが持っている米国株ETFとではどちらの価値が高いのだろうということだ。

僕らは投資対象を選ぶとき、それがどれだけの経済的リターンをもたらすかで価値を判断している。

しかしここで見過ごされるのが「時間的損失」と「心理的効用」の2つの存在である。

例えばボクが日本株の信用取引でデイトレードをしていた頃、それなりに儲かっていた(時期もあった……)が、朝から昼までチャートに釘付けになっていなければならなかったし、それによる時間的損失は計り知れない。そして二度と戻ってこない。

仮想通貨投資をしていた頃もやはり結構儲かっていた(時期もあった……)が、1日に10回以上はビットコインの値動きをチェックしていなければ、不安で仕方がなく仕事に集中することもできなかった。

米国株ETFに投資し始めてからは「長期投資に債券は不要なのか」「新興国株は逆張りチャンスなのか」「優先株式とはなんぞや」みたいな情報をネットサーフィンするのでついつい夜更かししてしまい、寝不足の日が続いた。

いずれも失ったものは時間であり、おそらくはその時間で勉強なり読書なりお絵描きなりしていた方が遥かに有意義であった。

※もちろんデイトレードやビットコインをホールドするのが自分にとって楽しい時間であるならば全然構わない。

 

プーさんの風船には素晴らしい利点があって、それは風船を持っているだけで幸せで、楽しい気分になれることだ。

1000万円分の金融商品を持ってソワソワしたりイライラしたりするよりも、100円の風船を手にして楽しく遊んでいる方が心理的効用はずっと高い。

だからボクは、たとえ含み損になってもワクワクして持っていられるかどうかで、銘柄を選んでいる。銘柄紹介時に「気持ち良い・好き・夢がある・面白い」といった感情語句が頻出したのはそのため。

(※本当に含み損でワクワクしていられるかはその時になってみないと分からないが)

これは特別なことでも変わったことでもない。投資家は誰しも多かれ少なかれ、無意識的に投資対象を決めているのかもしれない。

自分の心理的効用を最大化させるべく。

幸せになれる風船を探して――。

 

以上、プーさんの映画良かったよ!というお話でした。

(了)

CFD取引で16連勝して得た利益など簡単に吹き飛ぶという話

2017年に仮想通貨FXを始めてすっかりギャンブル中毒となったボクは、18年のコインチェック流出事件とビットコイン大暴落騒動が起きたあとも熱が冷めずに、投機の新天地を求めて彷徨うがごとくGMOクリック証券のCFD口座を開設していた。

CFD取引では日本、米国、新興国等の株価指数や、原油価格、金価格、面白いところでは恐怖指数(VIX)に対してポジションを建てられる。株と違って夜間もトレードができ、先物と違って期限もない。CFDは「株版のFX」と呼ばれているそうだ。

ちょうどその頃ボクはAmazon Prime Videoで『マネー・ショート華麗なる大逆転』のドキュメンタリー映画を観てしまっており、スーパーマンを夢見る無垢な子どものようにショート(空売り)に憧れていた。


マネー・ショート華麗なる大逆転 (字幕版)/Amazon Prime Video

サブプライム問題の本質をいち早く見抜きリーマンショックでボロ儲けした投資家たちの話。原題の『The Big Short』や原作の『世紀の空売り』の方が聞き覚えがあるかもしれない。

The Big Short という題からてっきり株式を空売りするのかと思いこんでいたのだが、まったく見ず知らずの金融商品が作中で登場して(ふぁっ!?)となり、自分がリーマンショックをまったく理解していなかったことを思い知らされた。恐ろしい恐ろしい。閑話休題。

さておき、CFD取引の結果は順調で、なんと無敗で16連勝もしてしまった。

日経225をショートしたり新興国ブル3倍ETFをショートしたり米国VIをショートしたり、とにかくショートしかしてないがすべて勝った。

ヒャッッハアアアァァァ!!!! ボクは天才トレーダーだぜ、もう何も怖くない!!!!! 今までは様子見で少資金しか入れていなかったが、レバレッジを引き上げて投資金額を増やして100万円の不労所得をゲットしてやるぜイエアアアアアッッッ!!!!!

まずは手始めに日経225をショートだ。自民党総裁選も終わってしまえば材料出尽くし。トランプ大統領が日本との貿易戦争を匂わす発言をすれば今の不自然な吊り上げ相場など瞬く間に崩落。いくで、やるで、日本株全力ショートや!!!!!!

この時のボクはまだ知る由もなかった。

ショートをかけた翌日から日経平均株価は三角持ち合いを上放れし、その後年末に至るまで年初来高値を更新し続けることになろうとは……。※

※これはフィクション(になってほしいと筆者は願っている展開)です。

CFDトレードから学べる人間の本質

冗談はともかく、これが実際のトレードの成績である。

(GMOクリック証券 CFD口座)
  • 利益:平均 + 602 pips 回数 16 回
  • 損失:平均 - 2,970 pips 回数 1 回

上記のデーターから学べることは、大きく分けて3つある。

(1) 16連勝できたのは才能あるいは実力なのか?

競馬でもパチンコでも何でも良いのだけれども、連勝が続くと人間は、それが自分の実力であるかのように錯覚してしまう。ファンダの読みが当たったとか、テクニカル分析が功を奏したとか、(ふっ……計画どおり……)とほくそ笑んでしまうわけである。

今回、CFDで16連勝できたわけだが、これはボクが相場の動きを見抜く鋭い洞察力を有していたからであろうか。いや、運が良かっただけである。

上のキャプチャ画像の集計期間を見ていただければ分かるとおり、2018年5月から同年9月にかけての期間は、日経平均株価がちょうどボックストレンドで推移していた期間である。

ボックストレンド

雑な図解で申し訳ない。ボックストレンドでは株価が一定の範囲内で波のように行ったり来たりするから、上図のオレンジ色の箇所でロングポジションを持とうがショートポジションを持とうが、利益確定のタイミングはやがて訪れる。

もしも単調なボックストレンドが永遠に続くのであれば、トレードで10連勝しようが100連勝しようが何ら不思議はないのである。(もちろんトレンドが永遠に続くことはあり得ない)

2017年のとき、仮想通貨界隈は大盛り上がりしていた。

ビットコインやその他のアルトコインに投資していた人たちの中には「自分には先見の明があった」「我々はアーリーアダプターだ」「法定通貨はこれからどんどん減価してゆくというのに、未だ銀行に金を預けているやつは馬鹿だ」「米国株クラスタはざまあみろ」と声高に叫んでいた過激派もいた。

しかしそれも、たまたまその年の相場環境が良かっただけ。運良く上昇トレンドが続いただけである。

自分の《先見の明》を信じて仮想通貨を手放せなかった人たちはどうなっただろうか。

18年の年初高値から9月にかけて、ビットコイン(BTC)はマイナス65% 、リップル(XRP)はマイナス70% 、ネム(XEM)はマイナス85% 、コムサ(COMSA)はマイナス96%も値下がりすることとなった。

今年に入っても仮想通貨の含み損に耐え続けているホルダーは「これからもビットコインの上昇トレンドは続くはず」「仮想通貨が法定通貨に取って代わる未来が訪れる」と信じている。

仮想通貨に限らず米国株に投資している人だって「米国市場は今後も右肩上がりで成長し続ける」「米国株はこれからも他の先進国・新興国株をアウトパフォームし続ける」「くくく、我らのAmazonがセカイを支配するのだ」と考えているかもしれない。

なんにせよ、自分の持つポジションに対して肯定的な未来予測を信じてしまうのは「肯定的幻想(Positive illusion)」と呼ばれる認知バイアスのひとつであり、ましてやCFD取引での16連勝をおのれの実力と誤認するのは典型的な「自己奉仕バイアス(Self-serving bias)」の事例である。

ともあれ、認知バイアスが存在するからこそ、ギャンブルは楽しいのもひとつの事実だ。

(2) コツコツドカンはどうして発生するか?

長話が過ぎたのであとはさくさく進めたい。

先程のCFDトレード成績で、「利益の1回あたり平均は 602 pips」であるのに対して「損失の1回あたり平均は 2,970 pips」であった点に注目したい。

つまり、小さく細かく利益確定を繰り返す一方で、損切りは損失が大きくなるまで先延ばしにしてしまう。コツコツ稼いでドカンと損する、いわゆるコツコツドカンというやつである。

プロスペクト理論 S字型効用関数

上図はプロスペクト理論におけるS字型効用関数と呼ばれるものだ。(もっとも正確なグラフではなく、あくまで参考イメージとして) 

人間は利得と損失が同じであれば、損失のほうを利得より 2倍も過大評価してしまう。

「株で1万円の利益が出た」喜びよりも、「株で1万円の損失を出した」ショックの方が倍近く大きい。

したがって含み益のときはせっせと利益確定してしまうのに対して、含み損を抱えているときは(損失を確定させることを恐れて)なかなか損切りができない。

人は含み損すなわち「心理的損失」を抱えるとリスク選好型の行動を取り、ポジションを維持したまま株価が元値へと戻る可能性に賭けてしまう。

だが、含み益すなわち「心理的利得」を得ているときはリスク回避型の行動を取り、強気相場が崩れることを恐れて株を売り払ってしまう。

人間であれば程度の差こそあれ、認知の歪みから逃れることはできない。

(3) 自分の意志でどうこうできるのは「賭け金」の決定だけ

結局のところ、我々が未来予知の超能力を持っていない以上、投資で勝つか負けるかは誰にもわからない。見出しのとおり、自分の意志でどうこうできるのは「賭け金をいくらにするか」の決定だけである。

今回、ボクがこんな長ったらしい記事を書く余裕があるのは、CFD口座には「ガチャに課金して失っても後悔しないくらいの」金額しか入れていないからだ。

もしも生活資金をぶっ込んでいれば、16連勝してそのあと大きく1敗したら正気でいられなくなってトレードにのめり込んでいったと思う。

賭け金の設定の時点で、勝負は決している。失っても良い金額以上をCFD口座なんかには突っ込んではいけない(自戒を込めて)。

もっとも去年に仮想通貨FXにハマっていた頃も、最初は1万円から始めて徐々に後に引けなくなってしまい、10万円、50万円……と次第に投入金額が増えていきギャンブル中毒になってしまった反省があり、そもそも下手なギャンブルには最初から近づかない方が身のためなのだ。

おのれの自制心とやらを信用してはいけない。(その時点で心理バイアスがかかっている)

以上、CFD取引で16連勝して得た利益などいとも簡単に吹き飛ぶという話でした。

 

(追記:後日譚を書きました)

「文章が書けない病」と等身大の自分

 執筆スランプがひどくて、趣味のブログや小説まで書けなくなってきている。このブログも下書きリストに100記事近く「書きかけの未完原稿」が溜まっており、たいていは書き始めるも途中で嫌になって投げ出してしまう。

 で、藁にもすがる思いで執筆スランプの脱出法をGoogle先生に聞いてみたら、なんと検索上位2つともボクが書いたブログの記事で、皮肉すぎてさすがに乾いた笑いがこぼれてしまった。

Webライターとして生きる/ときまき! 五条ダン・筆

書けない病とショーペンハウアー

 もっともショウペンハウエルに言わせれば、執筆スランプに喘ぐ物書きなどは、三流の愚か者なのだ。なぜならば、書けなくて悩むのは「考えもなしに書こうとしている」か「書くために考えようとしている」かのどちらかだからだ。

 本物の文筆家であれば、まず自分の頭で考え抜いた思索があり、それを読者に届けようとして、ようやく筆を執り始める。伝えるべき事柄が最初になければならない。

 原稿用紙のマス目を埋めるため、文字数を稼ぐために文章を書くのは、これは紛れもなく読者に対する詐術行為であり、そんなくだらない本はただちに投げ捨てるべきだ。

 ――とまで、ショウペンハウエルは書いている。(きっとショウペンハウエルが現代に生き返ったらインターネットにあふれかえる文章を見て発狂しそうだが)

 ともあれショウペンハウエルの毒舌エッセイに興味のある人は一度彼の著作を読んでみてほしい。上の話は『読書について (光文社古典新訳文庫)/Amazon』の「著作と文体について」の章に書いてある。

 書けないのは、伝えるべきことがないからであり、すなわち書けないときは書いてはいけない。書こうとする前に、徹底的に思索せよ。

 ショウペンハウエルの言うことは厳しくて、本書を読み返すたびにボクなんかはすっかり震え上がってしまう。(というか切実に筆を折りたくなる)

等身大の自分と向き合う

 ところでボクはバーチャルYouTuberになりたくて、なるための勉強をしている。

 個人運営のバーチャルYouTuberさんを見ていると、ほんとすごいなと思う。自分よりも若い人たちが、絵を描いてLive2Dモデルを作って、Blenderで3Dモデリングして動かして、シナリオもやって動画制作もやって、Webサイトを立ち上げてプロモーションもやって、トークもうまいし企画力も並外れている。

 かたやボクはと言えば、絵がうまくなりたいと思ってお絵描き教本を買い集めたは良いも正面顔のところから一向に練習が進まず、子供向けのUnityとC#の入門書を読み始めるも最初の30ページで悲鳴を上げるありさまで、おまけにバーチャル美少女youtuberになるべく「ふわふわり♪ ふわふわる♪」と裏声で歌う練習を深夜にしていたら死にたくなった。

 自分が未熟すぎて落ち込むと同時に、もしこのまま成長しないで歳だけ取っていくことを考えると、やり場のない恐怖と焦燥感がこみ上げてくる。

 けれども他者と自分を比較して得られる劣等感を糧に頑張るのは、経験則上うまくいかなかった。辛くて苦しいからだ。

「すごい自分」になろうと無理をしても、理想と現実のギャップに絶望してしまい長続きしない。

 ボクが執筆スランプでブログが書けなくなったのも、おそらくは「ライターを名乗るからには他者から一目置かれる名文を書きたい!」といった見栄や自意識過剰によって自分を縛っているせいだろう。

《五条ダン》が生まれたばかりの頃、ボクは小説家になろうで『ぼっちの就活日記』というエッセイ風フィクションを連載していた。今読み返してもひどい文章&内容で、こんな黒歴史は葬り去ってしまおうと何度も考えたが、消さずに残している。

 どんなに恥ずかしい黒歴史であったとしても、この頃の文章が最も自由にのびのびと書けていた気がする。等身大の自分で、好きなことを好きなように書いていた。

 なので今はこのくらいのイラストしか描けなくても、等身大の自分に+αを積み重ねつつ、ゆっくりとナメクジのような歩みでも進んでいけたら良いなと思った。

 けものフレンズの「わーい!」「すっごーい!」「たーのしー!」の三原則を創作するときも忘れないように。

 

 バーチャルYouTuberデビューの方はまだ当分先になりそうだが、ニコニコ動画VOICEROID劇場職人(?)の方は一足先に念願のデビューを果たした。

 こちらのマイリストにまとめており、ニコニコは会員登録しなくても動画が見られるように仕様変更されたので、良ければ見てほしい。

 僕たちの戦いはこれからだ!

(了)

男だけど電車で痴漢被害に遭った話

 隠していようと思ったが、痴漢に関する論争がネットでバズるのを見るたびに、僕自身がつらいと云うべきか、つっかえて取り除くことの出来ない心の棘のようなものがあって、この際だから告白してしまおうと思う。

 男だけど電車で痴漢をされたことがある。

 小学5年生のときだった。祖父母の家に遊びに行く途中で、JR京都線の普通列車に乗り込んだところだった。車内は空いていて、人はほとんどいなかったと記憶している。

 椅子は窓を背にして座るロングシート(縦座席)タイプだった。

 僕が座席の一番端っこに腰掛けていると、すぐ後からおじさんが乗り込んできて、僕の隣にぴったりと身体をくっつけて座った。

 他に空いている席がいくらでもあるのに、どうして真横に座るんだろうと不思議に感じていた。

 電車が動き出して少し経ったとき、おじさんが僕の膝の上に手を置いてきた。僕はジャージの長ズボンを穿いていた。

 悪意のあるものだとは思っていなかったので「手を置く場所を間違えていますよ」みたいな言葉をかけるべきか否か迷った。おじさんの上半身は前後に揺れていて、もしかしたら眠っているのかもしれないと思った。

 黙っていると、おじさんはジャージの上から僕の太ももをさすり、それでも抵抗しないのを見て取ると、今度はジャージのポケットの中へと手を差し入れてきた。そしてポケット越しに、内股を撫で始めた。

 この段になってようやく、自分が何か良くないことをされているのに気がついた。しかしそれが具体的に何であるのか、理解できない。

 当時は小学5年生だったが『痴漢』の言葉自体は知っていた。通学路のトンネルに『ちかんに注意』と書かれた看板があって、トンネルに出没する不審者が痴漢なのだと認識していた。まさか人目のあるはずの電車のなかでそのような犯罪行為をする人が存在するとは、そのときは夢にも想像していなかった。

 だから僕は「この人はスリなんだな」と考えた。ポケットの中をまさぐって、何かを盗むつもりなんだなと理解した。

(シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパンや怪人二十面相にハマっていたから、痴漢よりもスリの方がずっと身近に想起される犯罪だった)

 上着のパーカーの方のポケットには、家の鍵や切符や小銭入れが入っていた。これを盗まれては大変だと、空いた方の手でぎゅっと鍵を握りしめていたのを覚えている。

 電車が走っている間、おじさんは動かしているかいないかのゆっくりとした速さで、ズボンのポケット越しに僕の内股やその先を触っていたが、やがて次の停車駅に着きドアから人が乗り込んでくる少し前に、手を引いた。

 今しか逃げるチャンスはないと、慌てて電車から降りた。振り返って、おじさんが追いかけてくる気配がなかったので安心する。各駅停車で、駅の間は5分程度だから、実質的に3分か4分か、短い間のできごとだったのだろう。しかし体感としては、とても長い時間に感じられた。

 電車から降りた直後の僕は少し興奮していて、ショックよりもむしろ「勝ったぜ!」という気持ちの方が大きかった。

 つまり、僕はおじさんのことを痴漢ではなくスリとして認識していたから、「鍵と小銭入れをスリの手から守り通したぜ! くくく、残念だったな。ズボンのポケットには何も入っていなかったんだよ」みたいな心境だった。今にして思うと悔しい話だ。

 結果として盗まれたものがなかった(被害がないと認識していた)こともあり、このことは駅員や警察に話していない。小学生の自分には、事態の深刻さや適切な対処方法が分からなかった。携帯電話も持ち歩く年齢ではなかった。

 家に帰ってから、僕は少し自慢げに「電車でスリに遭ったけど大丈夫だった」と母に報告した。母は話を聞いて「それはきっとスリじゃないよ……」と曖昧に言ったが、そこから先は語らなかった。

 だから精神的なショックを受けることになったのは実際に被害に遭った時期よりもずっと後の話で、たしか高校生くらいになって痴漢が何であるかを知ったとき「あのときのあれは痴漢だったのか……」と驚くと同時に、腑に落ちたのだった。

 

 インターネットで痴漢犯罪に関するニュースや体験談が話題に上がるとき、しばしば――というか必ずと言って良いほど、はてブでは「男性対女性」の対立構造でコメント欄が荒れる。

 悲しく思う。

 男女の対立構造を持ち出して痴漢について語るとき、そこには「男性の痴漢被害者」の存在が無視されている。そもそも存在自体が知られていないのではないか。

 だから声を上げた。

 具体的な解決策を提示できなかったとしても、それでも伝えられることは書いておかなければと思い、書いた。

 争っている場合ではないし、団結して戦わなければいけない。一刻も早く、この忌まわしき犯罪が、社会から無くなることを願っている。

 (了)

国民年金の免除・猶予申請では「青色申告特別控除」が意味を持つ

人生は思うように行かないもので、Webライターを始めて4年が経つも収入は一向に上がらず、昨年は想定外の出費が重なり経済状況はいよいよ厳しくなり、このたび国民年金の免除申請をすべく市役所へ向かったのだった。

さて、国民年金は前年所得が57万円以下の場合に、全額免除または納付猶予が適用される

(※世帯構成や扶養親族数等によって基準が異なる。詳しくは、保険料を納めることが、経済的に難しいとき|日本年金機構 を参照されたし。)

この基準となる所得とは、例えばフリーターの人であれば源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が所得金額となる。給与所得控除は最低でも65万円分は枠があるので、57万+65万=122万の計算となり、つまり年収122万円以下の給与所得者であれば全額免除・納付猶予の対象となり得る

では、ボクのような給与所得控除が使えないフリーランス(個人事業主)の場合はどうなるだろうか。今回はそれを確かめたくて、昨年度の申告書と決算書を持参し、市役所の年金窓口の方に聞いてみた。

 

ボク(確定申告書Bを見せながら)「個人事業主の場合、免除基準となる所得金額はどれになるのでしょうか」

 

市役所の人「確定申告書Bで言うところの【9番 ※所得金額の合計】が所得となりますね」

ボク「つまり、青色申告特別控除後の所得で良いのですね」

市役所の人「はい、そうなります」

 

ボク(決算書を見せながら)「売上から経費を引いた差引金額は57万円を超えているのですが……」

市役所の人「ええ、そこから青色申告特別控除額を差し引いた額が所得金額となりますので、所得57万円以下で申請していただいて大丈夫ですよ」

 

ボク「これって仕組み上、白色申告の個人事業主さんは不利なんですかね……」

市役所の人「まぁ……えぇ……給与所得の方を主に想定している制度となりますので……」

結論

結論として「青色申告のフリーランスであれば、給与所得者と同じく年収122万円以下が国民年金の全額免除・納付猶予の対象となり得る」ことが分かった。

(※青色申告特別控除額65万円+57万円=122万円)

ただしケースバイケースの事例があるため、年収122万円以下だから必ず全額免除が適用されるとは限らず、日本年金機構の審査によって最終的に免除区分が決まるとのこと。

ヤフー知恵袋で調べてみると「青色申告控除前の金額に決まってるやろ!」みたいな回答をしているカテゴリーマスターさんがいて不安だったのだけれど、今回きちんと市役所の窓口で確認できて安心した。

「売上-経費-青色申告控除」が事業所得となる。もし事業所得の他に給与所得や不動産所得、雑所得等がある場合は、その合算が所得金額となる。

申告分離課税(特定口座・源泉徴収あり)で処理している株の配当金がどうなるかは確認しそびれてしまった……。※また次回市役所に行ったときに聞いてみます。

 

全額免除が適用されなくとも、半額免除や4分の1免除が適用されて支払額を減らせるかもしれないので、年金保険料を払うのが厳しくなってきたフリーランスの人は、市役所の年金窓口で相談することをおすすめしたい。

年金免除・納付猶予申請をする場合には「青色申告特別控除」が(制度の善し悪しは別として)プラスに働くのは確かなようだ。

ボクなんかも節税メリットを享受するほど全然稼げてはいないのだけれど、それでも青色申告はしておいて損はないということが分かった。

(了)

ボクはまだ仮想通貨で消耗していたという話

正常な判断をすることは難しい。それはもちろん、判断をするときは自分のことを正常だと信じて疑わないからである。

事件は起こった。

12月のある日、ボクはまだ仮想通貨トレードで大儲けする夢を捨てられず、取引所のチャートに張り付いていた。取引板は赤と緑色にちかちかと点滅し、その横ではチャットの文章がめまぐるしく流れている。

そこでふとした怪情報が目の前をよぎった。

「おい、海外取引所では仮想通貨のXEMが1ドルで売れているぞ」

目を疑った。1ドルといえば当時のXEMレートの2倍の価格だ。実際にその海外取引所へアクセスしてみると、たしかに異常な高価格レートで取引されている。

つまり、日本の取引所でXEMを買って、海外の取引所に送金して売却。ビットコインに交換してから日本の取引所に戻し、今度はビットコイン建てでXEMを購入し、海外取引所に送る。そしてまた売却してビットコインに替える。

なんとこの裁定取引(アービトラージ)を繰り返せば、無限に儲かる理屈だ!!!

ヒーハー、目の前にお金が落っこちているようなもんだぜ!! 楽勝じゃないか!!

と思ったボクはさっそく取引所口座に残っていた日本円でXEMを買い付け、すぐさま海外取引所のウォレットに送付した。

結果、送金ロストした。

海外取引所のXEMウォレットは『Maintenance』にステータスが切り替えられ、その後何週間待っても送ったXEMがウォレットに反映されることはなかった。サポートにメールをしてもまったく音沙汰がない。よくよく見ればその取引所は、運営者情報の一切が隠されているではないか。

英語で検索をかけてみれば、被害者と思われる他の投資家の嘆きの投稿で溢れかえっていた。

改ざん不可能でインターネット上に残り続けるXEMのブロックチェーン(台帳)には、ボクがその取引所の口座にXEMを送金した取引履歴のたしかな証拠が残っている。だがその優れたフィンテック技術も、悪意ある詐欺取引所を前にしてはまったくの無力だった。

またしてもボクは仮想通貨で愚かな失敗をしてしまったのだった。

(※過去記事→  想通貨トレードで投入資金をすべて失ったボクが伝えたいこと

その後XEMは価格が2倍に高騰し、結局は(国内取引所でも)1ドル付近で取引されるようになった。つまり余計なことをせずにそのままホールドしていれば、資金は2倍になったのだ。

悔しくて、絶対にやめると誓っていた仮想通貨トレードに再び手を伸ばしてしまう。夜間も、休日も、仮想通貨相場に休みはない。しかも現物取引であっても、レバレッジ25倍のFX並みに値動きをする恐ろしいジェットコースターである。

資金が30%近く増えたり減ったりする日常茶飯事に、さすがに感覚がおかしくなってしまう。やっていて(あっ……これは典型的なギャンブル依存症だな……)と自覚する。だが自覚があっても取引をやめられないのが依存症の怖いところである。

どのようなギャンブルであっても、勝ち逃げできずにトレードを繰り返した果てに行き着くのは「破産」である。

ついには夢のなかでさえボクは仮想通貨トレードをするようになって、夢の世界では赤色や緑色の数字があたり一面を駆け回っていた。高いビルの電光掲示板に『ビットコイン価格5000万円を突破!!』と表示され、ボクは目をまん丸にして(ついに億り人になるときが来たのか……)と興奮と共に目を覚ます。

飛び起きてスマホで確認してみると、保有通貨は前日比マイナス20%に下落していて、夢から一気に現実に戻った。不毛な生活である。

ミヒャエル・エンデの『モモ』をもう一度読み返さなければと思った。人々は未来のお金を得たいがために《今》というかけがえのない時間を――、命を失ってしまう。

投資は、時間のマジックを使ってお金を働かせる。しかしギャンブルでは我々がお金に弄ばれ、気がつけば時間を盗まれている。本末転倒ここに極まる。

さておき、仮想通貨そのものにお金を投じるよりも、ブロックチェーン技術の勉強をしてアプリやWebサービスの個人開発に取り組んだ方が、はるかに得られるものが多い。

JavaScriptで開発ができる仮想通貨LISKのコミュニティは技術方面でも盛り上がっているし、APIマニュアルが公開されている仮想通貨XEMでもさまざまなWebサービス・アプリを作ろうと試みる学習者が増えてきた。

XEMの投資家たちが「XEMの価格に一喜一憂することはもうやめて、どのようにその技術を使うのか、自分なりにできることからやっていこうよ」と呼びかけているのは、とても良い兆しだと感じる。

たとえバブルが弾けて仮想通貨の価値が今よりずっと低いものになったとしても、そこで培った知識と技術は、決して無駄にはならない。一生の財産と言ったら大げさだろうか、しかし貴重な経験とはなるだろう。

自分の魂を差し出すようなギャンブルは、やめなくてはいけない。

『賭ケグルイ』は漫画の世界だけに留めておきたい。

サンプル数が自分ひとりなので何とも言えないが、ボクのように仮想通貨ギャンブル依存症に陥ってしまう人は今後増えていくだろう。恐ろしいことだ。

言われなくても分かっている。

ビットコインの価格を1000万円にするよりも、自分自身の能力を1mmでも2mmでも高めることの方が大切だ。自己投資こそが、最高のパフォーマンスを誇る投資なのだから――。

(了)

半額の王様

 ダメ出しをされるのには慣れており、おのれの未熟さをよくよく自覚している。しかしそれでもショックを受けるのが人間で、ある日、なにげなくエゴサーチをしたときに見つけてしまった。

『五条ダンというやからはライター失格だ。文章がなっておらず読むに堪えない。聞くところによると《自称ライター》とのことで、ああやっぱりなという感じだ』

 読者から頂いた記事へのコメントは、おおよそそのような内容だった。効果は抜群。豆腐メンタルが儚くも砕け散る。

 ショックだった。だがそれは自分が不当な評価を受けたことへの憤りではなく、不安定なアイデンティティの急所を突かれたことによる揺らぎであった。

 

 ライター、失格。

 

 大学時代、就職活動に失敗したボクは、何者にもなれなかった。何者にもなれないまま、何とかしがみついたのがWebライターの職であった。

「ライター」の肩書きは自信と安心を与えてくれたが、そんなものは誤魔化しだ。ボクには出版社で働いた経験もなければ、本を出した実績も無い。本職のライターの半額以下の報酬を提示して、ようやく仕事を貰えている立場に過ぎない。

 そのような自分が「ライター」を名乗るのは、とてもおこがましいことで、ともすれば反感を買うものかもしれない。

 

 ボクは、何者でもない。

 

 きっと何者にもなれない者には生存戦略が必要である。

 何者かになること、何者かであろうことに苦しむのではなく、頑張るのではなく、何者でもない自分が心の底から何を愛し、何を成し遂げたいのか、正直に、真摯に、真剣に、目を逸らさず、等身大の自己の気持ちと向き合わなければと強く感じた。

 今日、十二月五日は関西でも真冬並みの気温で、駅舎を抜けると街灯の光を浴びた吐く息が白く濁った。

 駅前の百貨店は、地下がスーパーマーケットになっている。夕食もとい夜食を買って帰ることにした。夜の七時を過ぎるとさまざまなお総菜が半額で売り出されるのだ。

 エビフライもお刺身もコロッケも半額価格で買うことができ、懐が寂しい身としては大変ありがたい。両手にスーパーの袋を引っさげ、駐輪場へ向かう。このとき一階に上がって、フロアを通り抜ける必要があった。

 百貨店の一階フロアは、ブランド服や腕時計、宝石を扱う高級店がきらびやかに並ぶ。閉店間際の八時少し前になると、スーツ姿の店員さんがずらりと出てきて「ご来店ありがとうございました」と深々お辞儀をして客を見送るのが慣例となっている。

 そのなかをボクは、半額お総菜の入ったレジ袋を引っさげて歩くわけだ。まるで自分が場違いな世界に紛れ込んでしまったような気がして、そわそわと気恥ずかしくなる。

 一歩進むごとに店員さんからの丁寧なお辞儀を受け、何だか自分が「半額の王様」であるような気持ちになるのだった。

(了)

仮想通貨トレードで投入資金をすべて失ったボクが伝えたいこと

(なんてことだ。仮想通貨トレードで資金をすべて溶かしてしまったぞ……)

 乱高下するビットコイン Air FXの板を眺めながら、ボクは椅子に腰を沈める。セミの抜け殻のように放心していた。ショーターを焼き払った火柱は一瞬で消え、気まぐれな悪魔の笑みを浮かべて今度はロンガーを薙ぎ払いにいった。

 ボクの頭にはさまざまな後悔が過ぎった。

 ネムをナンピンせずにすぐ手放してさえいれば。ビットコインを損切りせず持ち続けていれば。欲をかかずにあのときビットコインキャッシュを利確しておけば。チャットの怪情報に騙されなければ。損を取り返そうとAir FXに手を出したりしなければ――。

 すべてが、後の祭りだった。

 今朝は人身事故が多かったと聞く。株であれ、FXであれ、仮想通貨であれ、ギャンブルと呼ばれるものはすべてそうだけれども、そこでは時として命のやり取りがなされる。自己責任とはいえ、電子データーの数値の上下で人の運命、生き死にが決まるのは、なんともSFチックでディストピアな話かもしれない。

 かのイケダハヤト氏は「まだ仮想通貨持ってないの?」というブログを運営し、あろうことかビットコインFXをオススメするという、恐ろしい事業をやり始めた。ビットコインのイケイケ相場も、そろそろ終わりだろうか。

 仮想通貨トレードを絶対にやめろとまでは言わないが、投入資金を全部失ったボクからは、下記の三点を注意しておきたい。

 1.投機は「失っても良い額」以上は賭けない

 今こうしてボクが、ブログ記事を書くくらいの精神的余力を残しているのは、ひとえに投資金額そのものが少なかったからである。

 大学生のとき2013年~2015年のアベノミクス相場で、ボクは株式投資で多くの資産を失ってしまった苦い経験がある。そのとき、自分が――いや人間の思考というものが――いかに気まぐれで、コントロールが難しく、思い通りにならない代物であるかを思い知った。

 つまり、自分がバカであることを知った。

 当時、卒業論文で行動経済学について研究していた。しかし株で大負けして分かったのは、結局のところ、自分がどれだけ投資家心理やプロスペクト理論に詳しく、冷静な判断に基づいて取引しているつもりであっても、決して自己の認知バイアスから逃れることはできないという残酷な事実であった。

 仮想通貨投資を始めるとき、頭の中の99%は「よっしゃ! これで俺も億り人になってやるぜ!!」という謎の自信に満ちていたが、僅かに残った1%の理性が「全負けの可能性は十分にあり得るな……」と予測をしていた。

 だから万が一、賭けた資金をすべて失ったとしても、精神的に納得はできる金額以上は投入しなかった。実際に「万が一」が起こり、判断は正解だった。

 もし欲をかいて生活資金を使っていたならば、ボクは今ここにいなかったかもしれない。

 ギャンブルは最初の賭け金を決める段階で勝負が決していると言っても過言ではなく、すなわち「負けたら人生が破滅する!」みたいなギャンブルは、実際にはお金ではなく自分の魂を差し出す行為に等しい。

 もし含み損で精神的なダメージを受けているのであれば、それは最初から賭けてはいけないお金だったのだ。

 自分の意思によって100%確実にコントロールできるのは「賭け金をいくらにするか」だけである。とにかくここで間違えてはいけない。

 そのことが痛いほどによくわかった。

2.短期トレードによって失われる最も大きな資産は「時間」である

 賭け金が少なかったので、金銭的ダメージは致命傷を避けられた。しかし考慮していなかったのが「時間」というかけがえのない資産である。

 ボクはこのところ仮想通貨中毒になっていて、睡眠時間を削ってトレードをしたり、相場が気になって仕事が手につかなかったり、暴落の不安で眠れなかったり、むしろそちらの方が大ダメージだった。

 寝不足と緊張がたたり体調を崩し、風邪を引いてしまった。

 株取引をやっていたときは今の50倍以上の資金を動かしていた。だから自分がこれほどまでに消耗するとは思わなかった。

 仮想通貨のボラティリティは株とは比較にならないほど大きく、ジェットコースター並みのスリルがある。

 具体的に言えば、ビットコインキャッシュという仮想通貨はたった1日で価格が2倍に吊り上がり、その日のうちに値が半分に暴落した。ボクはその瞬間を目の当たりにしたが、この世の終わりを見たような気がした。

 仮想通貨取引所のチャットでは、いろんな人が買い煽りや売り煽りのポジショントーク、それから株だったら絶対に逮捕されるレベルの「風説の流布」なんかを好き放題に投稿している。

 仮想通貨は取引所によって値段が違うので、チャットの怪情報なんかでも釣られて買い板が動かされてしまう。チャットによる情報戦と板の読み合いで価格が変動するそれは、リアル人狼ゲームであり、ポーカーであり、ババ抜きであり、チキンレースでもあるのだが、脳内からドーパミンがドバドバと分泌されるのを実感することができる。

 もちろんゲームと割り切ってしまえば面白いのだけれど、なんにせよネトゲ中毒と同等か、それ以上の中毒性が仮想通貨トレードにはある。

 中毒に陥った結果、失われてしまうのは貴重な時間である。「トレードする暇があったら、働いてJPYマイニングした方が儲かる!」のはこの界隈ではよく知られた話だ。

3.取引所のサーバーを信じてはいけない

 株やFXと、仮想通貨トレードとで大きく異なるのは「取引所」を信頼できない点にある。

 相場加熱時には値が吹っ飛んでロンガーもショーターも焼き払われることがあるし、サーバーが落ちて損切りできないことだってある。

 注文ボタンを押しても「現在は一時的に取引ができません」と表示され、注文が通らない。だから負けポジションを抱えたトレーダーは必死にF5キーや注文ボタンを連打して、なんとか逃げ切ろうとする。

 ボクも昨日のあのときにボタンを押して注文が通ってさえいたのなら、30%の損失だけで抑えられていたというのに、まったく悔しい話である。

「相場加熱時に注文が通らない」は、ここ数日はわりと日常茶飯事で起きている。日本の複数の取引所でサーバーエラーがあり、韓国の取引所のサーバーも落ちたと聞く。

 過去のこの記事ではZaifを取り上げたが、Zaifに限った話ではなく、仮想通貨取引所のサーバーを信じてはいけない。

 多分、SBIが仮想通貨取引所を開いたら、少なくないトレーダーがそちらに移動するのではないかと思う。仮想通貨取引所はまだまだ発展途上の段階にある。

終わりに

 ひとつだけアドバイスを。

 ギャンブルに限らないが「損した分を取り返さなきゃ!」という思考になると大抵は負けてしまう。投資は「損したことを忘れて眠る」のが良い戦略で、投機は「損をする前提でトレードする」のが大切である。

 おそらく今後「仮想通貨で○○万円儲かりました!」みたいな記事が、はてなブックマークにも上がってくるだろうと思う。そのときに頭の片隅にでも、この記事のことを思い出してくれたなら幸いである。

 なお、当記事中の文章のいくつかは、ツイッターで呟いたツイートをそのまま抜粋している。

 当記事の筆者に興味のある方はボク(五条ダン (@5jDan) | Twitter)のツイッターアカウントをフォローしていただけたなら嬉しく思う。

 ただ仮想通貨トレーダーは引退、もとい退場させられたので、今後トレードに関するツイートをすることはないです。もしそれっぽいツイートをしていたらたぶん闇堕ちしてしまっているので、どうか全力で止めてほしい。

(了)

ブロガーが書きたがらない仮想通貨取引所「Zaif」のデメリット

仮想通貨ビットコインの価格は2017年の初めから終わりにかけて8倍近くに高騰し、バブルだバブルだと囁かれつつも、順調に市場規模を大きくしている。

「仮想通貨やってる人は今頃大儲けなんでしょ?」と思われるかもしれない。

だが、儲かっているのは主にビットコインを買っている人たちだ。僕みたいに夏頃にアルトコインに手を出してしまった勢は、含み損に頭を抱えつつ、隣のビットコイナーを恨めしく眺めている。

さておき、これから仮想通貨を始めようとする人に、ひとつ注意しておきたい。

それは、仮想通貨界隈はポジショントークの巣窟だということだ。

このブログにたどり着いた人は、おそらく仮想通貨取引所を比較検討しているところだと思う。

気をつけてほしい。多くのブロガーは(取引所の)メリットは饒舌に並べ立てるけれども、デメリットは口を閉ざして語りたがらない。

本題に入ろう。

仮想通貨取引所「Zaif」のデメリット

仮想通貨取引所「Zaif」のデメリットは次の通りである。

  • サーバーが不安定!! ←これが最大の懸念事項
  • 肝心な相場でサーバーダウンして「502 Bad Gateway」でアクセスできなくなる(2017年8月27日のZaifトークン事件)
  • 相場加熱時に「注文は一時的に利用できません」と表示され、注文が通らなくなる(2017年11月2日のビットコイン急騰事件)
  • 相場加熱時に「貸付残高の不足」により、信用取引の注文が通らなくなる
  • チャットの買い煽りや売り煽りがひどい
  • ZaifアカウントからXEM送金した際に、マルチシグトランザクション未対応の海外取引所では送金がウォレットに反映されない
  • (追記)Air FXをユーザーに無告知で新規受付停止にし、現物価格から値を大幅にふっ飛ばした挙句にショートポジションを持っていた人たちを強制ロスカットさせた ※17年12月
  • (追記)APIキーが不正使用され一部顧客の保有コインが盗まれる。緊急の出金制限対応 ※18年1月6~8日
  • 上記のような肝心の情報を公式ツイッターアカウントで呟くだけで、サイト上で分かるような告知をしない

Zaifサーバーが時折不安定なことは、仮想通貨トレーダーにとってはもはや有名である。

にもかかわらず仮想通貨取引所の比較記事なんかを見ても、Zaifのデメリット項目に挙げられているのは「取引画面が使いづらい」みたいな当たり障りのない欠点だけで、肝心のことが書かれていない。

これは記事の書き手がZaifで取引をしたことがないか、意図的にデメリットを隠しているからである。

サーバーダウンや注文エラーは、致命的なデメリットだ。

仮想通貨なんて、ただでさえボラティリティ(価格変動)が大きい。レバレッジをかけて仮想通貨FXをしている人であれば、相場変動時にいかに迅速にロスカットするかに生命線がかかっている。

そんなときに「502 Bad Gateway」が表示されたら顔が引きつるだろうし、「注文は一時的に利用できません」の警告表示で注文が通らないとあらば、キーボードを叩き割りたくなるだろう。

Zaif運営はとにかく、投資家が安心して取引できる環境を整えてほしい。

補足その1:2017年8月27日のZaifトークン事件とは

ブロックチェーンソリューション「COMSA」プロジェクトとZaifトークンの連携期待から、17年8月27日にZaifトークン価格が2.5円付近まで急騰。

しかし直後にZaif公式ツイッターアカウントが

『ZaifトークンとCOMSAプロジェクトは、今のところまだ連携などの予定はありません。是非一度落ち着いてください』

といった内容の、冷水を浴びせるようなツイートをし、投げ売りパニックで0.3円台まで叩き売られた騒動。

高値でZaifトークンを買ってしまった人は、たった一日のうちに資産が5分の1以上溶けるという、悪夢のような惨状に。

もっともそれ自体は「自己責任」だが、アクセスが集中した結果zaifのサーバーがダウンし、「502 Bad Gateway」で一時的に取引できない状態となる。ホルダーは損切りできない恐怖を味わったことだろう。

Zaifのサーバーエラーは、2017年だけでも1月11日、3月24日、5月27日、6月4日、6月20日、8月27日、8月30日、9月29日、10月27日、11月2日、11月8日、11月12日、11月27日、12月2日、12月4日にも発生している。(補足漏れを含めればもっと多くなるはず)

17年11月27日のZaifサーバー障害

公式運営はサーバー増強に努めているようだが、まだまだ不安の域を脱せない。レバレッジ取引なんて、とてもじゃないが怖くてできない。

補足その2:2017年11月2日のビットコイン急騰事件とは

ビットコイン先物が17年内に米CMEで上場されるとの発表を受け、BTCが急騰。11月2日に80万円台の高値を更新する。

ところがZaifではサーバーエラーによる混乱があり(成行買い注文の殺到&空売りロスカットのコンボが決まったのだろう)80万円台どころか、一時的にBTCが99万円をつけるというびっくりな事態になった。

案の定サーバーは不安定で、注文が通らない。

いらすとや「F5アタックのイラスト」

(サーバーが繋がらないとイラストのような「F5アタック」をする人が出てきて、ますますサーバーに繋がりにくくなる)

ちなみにZaifチャットでは「注文ボタンを連打すれば行ける!!!」みたいな謎のアドバイスが流れてきて笑ってしまった。

ブロガーはなぜ仮想通貨取引所のデメリットを記事に書かないのか?

多くのブロガーが、仮想通貨取引所の(こういった生々しい本当の)デメリットを記事に書きたがらないのは、それが自分にとって不都合な事実だからである。

Zaifには、アフィリエイト制度がある。

記事中の紹介リンクを経由してZaifアカウントが開設されたときに、ブロガーには成果報酬が振り込まれる仕組みとなっている。

Zaifのアフィリエイト報酬は、キャンペーン中の17年11月現在では最大で18,000円と非常に高額だ。

こんなに美味しいアフィリエイト案件を逃すのは勿体無い話なので、報酬を目的とする人たちが声高に「仮想通貨は儲かるよ!」と甘言を囁き、仮想通貨取引所のメリットを喧伝する。

僕は別にZaifに恨みがあるわけではないし、むしろメインの取引所としてZaifを愛用している。XEMやMONAなどのアルトコインをトレードするのであれば、国内ではZaifが最も手数料が安いし(安いどころかmakerだと取引手数料がかからない)Zaifを重宝している。

しかしながら、あくまで「仮想通貨取引所のデメリットやリスクを知った上で、利用すること」が大切である。

このあたりの情報がネットには不足している(あまりにも偏っている)ため、走り書きながら記事にした。

以上、Zaif口座開設を検討する人のお役に立てれば幸いである。

(了)

【購入レビュー】DXRACER(フォーミュラ)の使い勝手と所感

DXRACERという4万円くらいする椅子(ゲーミングチェア)を買って、1ヶ月ほど使用した。今日はそのレビューを書きたい。

僕はWebライターを本業としているのだけれど、職業柄、とにかく椅子に座る時間が長い。

これまでは3千円くらいの格安オフィスチェアを使っていて「腰が痛い!」「めっちゃ姿勢が悪くなる!」「高さが合わない!」といった不満を抱えていた。

DXRACER DX-57SV

DXRACER DX-57SV

そこで予算を奮発して買ったのが「DXRACER ゲーミングチェア DX-57SV シルバー」という製品。

お値段なんと39,800円!!

※17年11月現在のAmazonでの価格です。価格変動があるので、詳細は商品ページでご確認ください。

個人的には椅子に4万円もかけるのは大きな出費となる。さらにグレードの高い椅子だと、10万円超えも珍しくないらしいが……。さすがにそこまでは手が出ない。

DXRACERの使い勝手の悪いところ(デメリット)

最初に、一ヶ月使ってみて「これは使い勝手が悪い!!」と思ったデメリットを先に書こうと思う。総括すると良い椅子なのだが、まずは気になる点を挙げてから。

僕が感じた「DXRACER フォーミュラシリーズDX-57SV」のデメリットは次の通り。

  • ランバーサポート(腰のクッション)が使いづらい!←これが一番大きい
  • 組立時にうっかりするとボルト部品が椅子内部に入ってしまう
  • 同価格でも型番で微妙に機能が異なる

ちょっとこれだけでは分からないと思うので、詳しく説明したい。

結論から述べると「腰のクッションが使いづらいこと」以外は大満足している。

1.ランバーサポートの機能性が悪い

ランバーサポートは腰部分を支えるクッションで、写真のように枕みたいな形をしている。程よい弾力性があり、これ自体はモノとして悪くない。

DXRACERのランバーサポート

DXRACERのランバーサポート

着脱はもちろん可能であるし、位置についてもベルト調節で上下に動かせる。

それなら何が駄目なのかと思われるかもしれないが、ここでランバーサポート裏面の写真をご覧いただきたい。

ランバーサポート裏側

ランバーサポート裏側

そう、ベルトとクッションが縫い付けられていて、分離できない構造となっているのだ。

だから一旦ベルトを椅子に固定してしまうと、着脱が面倒だ。

クッションを取り外すためには、ベルトをほどいて座面から引っこ抜いてやらなければいけない。

クッションの上下位置を調整しようにも(クッションがすーっとスライドしてはくれないから)立ち上がって椅子背面に回って、ベルトを調整してやる必要がある。

つまり何が言いたいかというと、

  1. ランバーサポートは着脱できる!(が、着脱が面倒)
  2. ランバーサポートは上下に位置調整できる!(が、調整が面倒)

の2つが、デメリットとしてそれなりに大きい。

DXRACERは「リクライニング」が目玉機能だ。

しかし想像してみれば分かる通り、リクライニング時には腰のクッションが邪魔になる。だからランバーサポートは簡単に着脱できてほしい。なのにこれができず、もどかしい。

正直なところ、DXRACERはランバーサポート以外の部分に大きな不満はない。ここだけどうしても、かゆいところに手が届かない部分となる。

ベルト部とクッション部が、マジックテープか何かで留まっているのだったら良かったのだけれど。

結局、僕はDXRACER付属のランバーサポートは使わず、市販の腰用クッション(紐やベルトがついていないやつ)を使うことにした。

いっそのこと、DXRACERのランバーサポートは、ベルトを切り落としてしまっても差し支えないとさえ思う。

もっとも、ランバーサポートはおまけのようなもの。使いづらいならば、市販品を買い足してカバーできる。ヘッドレストなんかもじつは、百円ショップのダイソーで手に入る。

ランバーサポートについて不満点はあるものの、解消しようと思えば解消できるので、まあ良いかなといった感じ。

2.組立時にボルト部品が椅子内部に入らないよう注意

デメリットというより、組み立ての注意点。

組立自体は簡単で、30分もあれば組み立てられる。とくに難しい工程もない。

ただ一点だけ注意点として「ボルト部品がうっかり椅子内部に入ってしまいやすい」ことが挙げられる。

DXRACERでは組立時に、座面にあらかじめ装填されているボルトを取り外す、という工程がある。

このときに、ボルトにくっついている金属製の輪っか(ワッシャー/平座金)が、取り外すときにポロッと椅子の布地のなかに入り込んでしまうケースがある。と他人事のように書いているけれど、僕がやらかしてしまった。

pixabay.comより(CC0ライセンス)

(写真はイメージサンプル。ボルトについている薄い円盤状の金属が、ワッシャー/平座金)

一度中に入ってしまうと取り出すのは至難の業で、絶望したのだが、幸い予備のボルトが一本ついていてそれで事なきを得た。

実際に見てみないとなんのことやらわからないと思うけれども、とにかくボルトを椅子から取り外す工程だけは、少し慎重に作業しよう。

3.同価格でも「最新モデル」の方が高機能である

僕が買ったのは、DXRACERフォーミュラシリーズの「DX-57SV」という製品で、17年11月現在、Amazonでは39,800円で販売されている。

これは2014年の販売モデルなのだけれども、より新しく販売されたモデルの方が(価格は変わらないのに)高機能になっている。

より具体的に述べると新モデル(DX-11)において、アームレストが1D→3Dに進化している

「DX-57SV シルバー」は、アームレストの高さ調整はできるが、前後左右には動かせない。

ところが同価格(39,800円)で売られている「DXRACER ゲーミングチェア DX-11 フォーミュラシリーズ」(2016年販売モデル)だと、3Dアームレストが搭載されており、アームレストを上下(高さ)・前後(スライド)・左右(首振り)で立体的に動かせる。

ふつうは「値段が同じならば、機能も同じだろう」と考えるので、思わぬ落とし穴(というほど大げさでもないが)だった。

これからご購入される方は、同価格製品でも「3Dアームレスト」の搭載が商品説明欄にちゃんと書いてある製品を選ぶことをおすすめしたい。

僕はこの点でちょっと後悔している。

DXRACERの使い勝手の良いところ(メリット)

いろいろといちゃもんをつけたものの、DXRACERはゲーミングチェア・オフィスチェアとしては素晴らしい製品だと思う。

これまで3千円の格安チェアを使っていただけに、座り心地は抜群に改善された。

DXRACERの良いところは、第一に、座り心地の良さである。これは間違いない。

そもそもがゲームの長時間プレイ用に作られたゲーミングチェアであるので、長時間座っても疲れにくいようにできている。

僕は主に仕事用のPCチェアとして使っているけれど、腰も痛くならないし本当に助かる。

ただ一点だけ誤解のないように。

× DXRACERに座ると姿勢が良くなる(誤り)

○ DXRACERは姿勢を良くして座ることもできる(正しい)

ということだけは伝えたい。

基本的に、ゲーミングチェアはたしかに身体の負担は軽くしてくれるけれども「骨盤補正」「猫背改善」「正しい姿勢を保つ」といった効果までは期待できない。

僕も猫背がひどくて、DXRACERだろうがなんだろうが、気がついたら座る姿勢が崩れてしまっている。こればかりは自分の意識の問題でもある。

DXRACERはあくまで楽に座れるゲーミングチェアであって、姿勢改善を目的とする製品でないことは但し書きしておく。

リクライニング機能は素晴らしい

リクライニングは最大で150度倒すことができる。

ちょっと今日は仕事が長丁場になるなと思ったときに、背もたれを倒して仮眠を取ることができるし、仮眠のつもりだったのに気がつけば夜が明けていた……、みたいな体験もできる。

DXRACERのリクライニング機能

DXRACERのリクライニング機能

ちょうどよい場所にヘッドレストもある。リクライニングは至って快適といえる。

ゆりかごモード」なる座面を揺らせる機能もある。といってもそんなに自由に揺れるわけでもなく、こちらはおまけ程度。

キャスターで楽に動かせるので、寒い日は部屋の窓際に DXRACERを持っていって、窓越しの日光浴をしながらリクライニングで安らげる。背もたれを最大まで倒して、窓の向こうを流れる白い雲を眺めながら、ぼんやりと考えごとをする。

買う前はリクライニング機能なんていらないのでは……と思っていたが、いざ使ってみると、リクライニングできる椅子がこんなに心地よいものだとは知らなかった。

以上、長くなってしまった。この辺で購入レビューを締めくくりとしたい。

僕が買った製品は

で、上記のAmazonページから買える。

ただ先にも述べたとおり、こちらの製品はアームレストの3D機能がついていないので、アームレストにこだわる方は同価格の別モデルである

がおすすめ。

DXRACERフォーミュラシリーズは、型番によって微妙に仕様が異なるところがあって、上記のAmazonページにも書いてあるのだけれど

  • DXR・DXZ・DX-57SV → 1Dアームレスト(高さ調整のみ)
  • DX-11 → 3Dアームレスト(高さ調整&前後スライド&左右首振り)

となる。

僕はよく知らずに買ってしまったので、これから買う人(とくにアームレスト重視の人)はお間違いなく。

以上、DXRACERを購入するときの参考になれば幸いです。

(了)


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