Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

ランサーズの「タスク形式」でライティングをするメリットとデメリット

さっそくだがランサーズには4通りの稼ぎ方がある。

  1. コンペ形式
  2. タスク形式
  3. プロジェクト形式
  4. ストア形式

このうちコンペ形式は、イラストやロゴ、バナー等のデザイン案件が中心だ。したがってWebライターとしてランサーズで活動する場合「タスク」「プロジェクト」「ストア」のいずれかを選択することになる。

ここでは、初心者でも始めやすいタスク形式のWebライティングについて、メリットとデメリットの考察を行いたい。これからランサーズでライティング業務をしてみようという方の一助となれば幸いだ。

ランサーズタスク形式のメリット

タスク形式には(プロジェクト形式の案件と比較して)下記のようなメリットがある。

クライアントとのやり取りがない

タスク形式では原則としてクライアントとのやり取りが発生しない。原稿を駄目出しされて頭を抱えることもなければ、深夜2時にクレームへのメール対応に追われる心配もない。ただ、タスクを終えることだけに集中していればOKだ。

誰ともメッセージを交わす必要はなく、それこそ機械のように坦々とキーボードを売っていれば文字単価に応じた収入が受け取れる。「コミュニケーションコストが発生しない」という一点において、タスク形式は精神的に楽である。

仮に、顧客が容認出来ないほどの低品質な記事を書いてしまっても、怒られることはない。そのような記事の場合は「非承認」として、あくまで事務的に処理される。没原稿&無限リライトの恐怖に怯えなくとも済む。

納期がない

「ゴールデンウィーク明けまでに記事を納品してください!! 計30本!!」みたいな、胃がキリキリと痛むような納期がない。タスク形式の場合は、好きなときに書き始めて、好きなときに筆を置くことができる。

一応、タスクを受注してから作業を完了させるまでの「タイムリミット」が設けられている。しかし、仮に途中でタスクを放棄して時間切れになったとしても、とくにペナルティはない。自分に無理そうなタスクだと思えば、受注後でも簡単にやめられる。

「やめたいのにやめられない仕事」「切りたいのに切れない契約」ほど恐ろしいものはないが、その点タスク形式は一切のしがらみに縛られることなく、ドライに「作業をやめるかどうか」を決定できる。

作業量を調整しやすい

タスク形式であれば一日あたりの作業量を容易に調整できる。納期がトリプルで被ってしまって三日連続でほぼ徹夜の執筆に追われる――などといった寿命を縮める失敗を避けることができる。

そもそも、タスク形式で募集されている案件は100文字~1000文字程度の低負荷な執筆業務が多い。細切れの10分、20分の時間を生かして作業量をコントロールできるため、無理のないペースで執筆作業ができるだろう。

筆速が上がる

タスク形式は「1文字単価0.1円」のような低単価案件が多い。ゆえに時給800円ほどの効率で稼ごうと思えば、1時間で8000文字のスピードで書かなくてはならない。これは、恐るべき筆速である。

時速8000文字でキーボードを打ち続けるのは、腱鞘炎となるリスクが高い。なので、僕は「音声入力」による執筆をおすすめしている。

タスク形式では、高い文章力は求められていない。タイピングゲーム感覚で作業をするのも悪くはないだろう。1文字単価0.1円などといったふざけた価格で発注している以上、どのような記事が納品されてきたとしても文句は言えない。

――というより、発注者側は「そのこと前提で」記事を発注している。後述するが、初めから人間(・・)に読ませるつもりのない記事が文字単価0.1円で募集されているケースが多い。

ランサーズタスク形式のデメリット

タスク形式には、いくつかのデメリットが存在する。以下ではタスク形式の悪い部分についてご紹介したい。

入金確定が遅い

発注者次第だが、一般的に(プロジェクト形式と比べて)タスク形式は入金確定が遅い。プロジェクト形式であれば、記事納品の当日中に(多くの場合)入金確定する。

対して、タスク形式は作業完了後、入金確定するのが1~2週間後(あるいはそれ以上)となるケースが多い。(タスクが応募数いっぱいにまで集まるのを待ち、さらに発注者がそれぞれに承認作業を行うため時間がかかる)

文字単価が低い

「1文字単価0.1円」あるいはそれを下回る案件がたくさんある。ランサーズではシステム手数料20%がさらに差し引かれるため、冗談抜きで厳しい。だんだんと感覚が麻痺してきて「1文字単価0.3円」のタスクを見つけるとラッキー!と思えるくらいに。

すでに述べたとおり、文字単価0.1円では時給換算で500円に達するのも難しい。「ポイントサイトよりかはマシな、お小遣いサイト」としては利用できるが、本業ライターとして食っていくのであればタスク形式はメインにできない。

ただし音声入力などを用いて「時速1万文字!!」レベルで書けるのなら話は別。

非承認の理由が分からない

プロジェクト形式であれば、クライアントとコミュニケーションを取りながら継続的に取引きをしていくので、原稿が却下された場合にその理由を訊くことができる。

タスク形式では、理由は分からないけれど作業非承認にされた、というモヤモヤした自体が発生し得る。けれど僕は今のところ、作業が非承認になったことは一度もない。そうそう非承認に怯える必要はないと思う。

ブラックハットSEOに加担する恐れ

あまり言いたくはないが、クラウドソーシングはブラックハットSEOの温床となっている。文字単価0.1円で安く大量に記事を発注して、サイトを量産する。量産されたサイトはサテライトサイトと呼ばれ、検索上位表示のための被リンク資産として用いられる。

求められているのは「人間に読まれる記事」ではなく「検索エンジンに認識される記事」であり、適度にキーワードが出現していれば、それ以上のクオリティは求められない。(人工無能で自動生成したワードサラダよりマシであれば……)

被リンク対策以外にも、コンテンツボリュームを誤認させたり小規模なアフィリエイトブログを大量作成したりと目的はあろうが、褒められた話ではない。文字単価0.1円の仕事は、間接的にでもブラックハットSEOに加担してしまう恐れがあるのが最大のデメリットだ。

(反面、文字単価1円以上になると「なんとかギリギリで薬事法を回避して効果的に、水素水サプリの宣伝文を書いて下さい!」といった別ベクトルで闇な案件によく出くわす) 

 

なんにせよ、誰にも読まれない記事を書くことほど、Webライターにとって悲しいことはない。自分が何のために書いているのか、何のために生きているのか分からなくなる。

ブラックハットSEOに文章が利用される。これは、書くことに対する冒涜である。日々の生活があり、やむなく仕事を請けなければならないときもある。僕自身、決して立派な人間ではない。ただひたすらに悲しくなる。

どのような形であれ、書いて生きることは難しい。誇りを持って書き続けることは、さらに険しい。自分が何のために今、ペンを手にしているのか、問い続けて生きたい。

(了)

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