Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

文字単価0.1円で発注されるライティングタスク案件の正体

ランサーズやクラウドワークス等では「1文字単価0.1円」を下回るライティングタスク案件が数多く見つかる。

僕の平均筆速は時速1,600文字程度だから、これでは時給160円しか稼げない。小説家トップクラスの速筆を誇る森博嗣さんでさえ、1時間に進める原稿は6,000文字くらいだとインタビューで答えている。*1

すなわち、文字単価0.1円の案件というのは、常人はもちろん神様レベルの速筆家でも最低賃金を上回ることが不可能な案件であると言える。

しかしながら、このような低単価ライティングタスクは思いの外人気が高く、発注者が設定した作業枠がすべて埋まることも珍しくない。

なぜかというと、受注のハードルがとても低く、クライアントとのコミュニケーションコストも発生しないからだ。

提出した記事はクオリティが低くともほとんどの場合で承認される。修正指示が飛んでくる心配もない。

発注者側も文字単価0.1円で募集をかける以上、記事のクオリティは一切求めていない。「一切求めていない」とまで断言してしまうのは、その記事の利用用途ゆえんである。

ゾンビブログはどのようにして生まれるか

にわかに信じられないかもしれないが、古典的なブラックハットSEOは今なお健在である。古典的なブラックハットSEOとはすなわち「被リンクの偽装」だ。

"Content is King" , "SXO"(ユーザー体験最適化)の時代においても、被リンク獲得数は未だ検索順位に影響を与える。たくさんのサイトやブログからリンクを貼られたコンテンツを検索エンジンは「信頼できる」と判断し、検索結果の上位に表示する。

そこでブラック・アフィリエイターたちは

  1. メインサイト(アフィリエイトで稼ぐサイト)
  2. サテライトサイト(メインサイトにリンクを送る用のサイト)
  3. ゾンビブログ(サテライトサイトにリンクを送る用のサイト)

の多段ピラミッド構造にサイトを分け、メインサイトがさも自然な被リンクを獲得しているかのように検索エンジンに誤認させる。

もちろんこれは、Googleの策定する『品質に関するガイドライン』違反である。*2

2013年頃に、僕は『新卒者就職応援プロジェクト』という経済産業省の就職支援制度(インターンシップ)を利用していた。

そこで紹介された実習先企業が、上記のブラックハットSEOをやっていたアフィリエイト事業法人であった。

その企業では5名ほどの実習生を受け入れ、Web制作の練習と称して被リンクスパム用のゾンビブログを大量生産させていた。僕は実習生としてそこで数ヶ月働いていた。

毎日(IPアドレスを変えて)大量のメールアドレスとブログアカウントを取得する。自動ライティングツールやクラウドソーシング経由で入手した記事をブログに貼り付け、ブログがインデックスされたらサテライトサイトへのリンクを送る。

読者に決して読まれることのない、被リンク獲得のためだけの無味乾燥な文章の羅列。ゾンビブログの数は、自分の担当分だけでも1000を軽く超えていた。

国の助成金が結果的にはブラックハットSEOの会社に悪用されていたというわけである。

さておき、冒頭に挙げた「文字単価0.1円のライティングタスク」は往々にして、ゾンビブログ生成のために使われている。だから記事のクオリティなんてどうでも良いし、キーワードの入ったオリジナルの文章でさえあれば何でも良いのだ。

こんな小手先のSEOは、とっくに過去の遺物となったものだと思っていた。

そうであればどんなに良かったか。

2018年12月現在、ライティングタスクの追跡調査を独自に行ったところ「ゾンビブログ案件」は未だ健在であった。

クラウドソーシングの闇はまだまだ深い。

(了)


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