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脱社畜サロンに入ってプロブロガーを目指す前に試したい「バーベル戦略」について

イケダハヤト氏の企画する、3日間で参加費30万円の「脱社畜サロン合宿」なるものが耳目を集めている。

30万円という決して安くはない費用を取ることからして、ターゲット層は安定した給与を得ているサラリーマンになるのだろう。

僕自身、正社員になったことがないからまったく他人のことは言えないのだけれども「会社を辞めてプロブロガーになろう!」「Youtuberになろう!」とするのは大変リスクが高く、かつ期待収益率の低い危険な賭けに思う。

例えるならば「定期預金を解約して仮想通貨に全力投資するぜ!」に似たような行いである。

とはいえ、ブロガーにせよ小説家にせよ文筆業で食っていくのは僕にとっても憧れであるし、Youtuberだってエンターテイナーとして素晴らしい職業だ。夢を追うことは悪くない。

リスクを限定して、すなわち失敗しても死なないようにして、かつハイリスク・ハイリターンな夢を追うためにはどうしたら良いだろうか。

統計学者であり金融トレーダーであったナシム・ニコラス・タレブ氏は、著書『ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質』において《バーベル戦略》と呼ばれる考え方を提唱する。(※リンク先はAmazon)

バーベル戦略とは一般的には両極端な性質を持った金融商品を組み合わせてポートフォリオを構築する戦略で、バリュー株とグロース株だとか債券とレバレッジをかけた株式ETFだとか、さまざまな組み合わせ方がある。

タレブ氏はとくに「運用資金の85~90%をローリスク・ローリターンな安全資産に投資し、残りの10~15%でハイリスク・ハイリターンな賭けに投じる」やり方をバーベル戦略として紹介している。

90%の安全運用と10%のハイリスクな賭け

2017年のビットコインバブルの際は「銀行にお金を預けていてもどんどん価値が減価してゆくから、今のうちに法定通貨を仮想通貨に変えておかないと相対的に大損する!!」みたいな怪説が叫ばれた。

しかしそれこそ、タレブ氏が賭けたリーマンショック以上に起こり得ない異常事態(ブラック・スワン)である。

仮に、法定通貨の価値が大幅に毀損されて、仮想通貨が覇権を取る時代がやってくると想定したとしよう。その《ブラック・スワン》のために投じられる資金としては、やはり投資資金の10%くらいが限度だと思う。

さておき、バーベル戦略は「プロブロガーやYoutuber、小説家や漫画家」を目指す際にも適用し得る考え方である。

ブロガーやクリエイターとして食っていくのは非常に狭き門であり、そのくせ参入者はやたらめったら多い。3年以内にリーマンショック級の金融危機が起こる確率と、僕が小説新人賞デビューして人気作家になる確率とを比較すれば、おそらく悲しいことに後者の方が低いだろう。

なので、リソースの90%は安定した本業に注ぎ込んで、残りの10%で大きな夢を叶えるためのクリエイティブ活動に励む。90%はプログラミングや英語など仕事に直結する資格の勉強に費やして、残りの10%は脚本理論など趣味的な学習に費やす。

90%と10%の比率にこだわる必要はないけれども、なんにせよ優先順位を考えれば、本業第一と言わざるを得ない。

「脱社畜サロン」の危うさは、90%の安全資産を捨てさせハイリスクな賭けに向かわせようとする点にある。

とはいえ、ブラック企業や低賃金労働の闇が広がる現代においては、心身を壊さず十分な賃金が得られる安定職を得ることも大変難しい話で、とかく世渡りが難しい。世知辛い。

最後に、プロブロガーを目指す人のために、僕個人のデーターを開示したい。

僕は20​08​年から11年間にわたってさまざまなブログ・サイトを運営してきたけれども、2019年1月現在、運営中のすべてのサイトを合算したアクセス数は8万PV/月だ。

11年間ブログを続けても、月10万PVに満たない。

もちろんこれは本業の10%のリソースしかブログ運営に割けなかったためであるものの、しかし逆説的に考えれば10%だけだったから11年間もブログを継続することができた、とも言い換えられる。

ともかく、プロになるならないは別として《書きたい》というおのれの衝動に従って自由に書くことのできるブログは素晴らしいものだと思う。

(了)


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