Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

「ステマ依頼」を受けたときの断り方(ケース別文章例)

ブロガーやライターとして活動していると、お問い合わせフォーム経由で「ステルスマーケティング」の依頼が来ることが往々にしてある。

漫画家の人にもこうした依頼はあるようで、Twitterに投稿された「映画 アナと雪の女王2」のレビュー漫画のいくつかがステルスマーケティングの疑惑を持たれ、炎上している。

こうしたステマ炎上事件に対し、クリエイターサイドからは「私だったら絶対に受けない」「断って当然」みたいな反応もちらほら見られるが、これはまさに《言うは易く行うは難し》であり、実際に自分が当事者になったときにステマを断るのはかなり難しい。

  • もし提示された報酬が100万円だったら?
  • 契約締結&入金後に相手がステマの話を持ち出してきたら?
  • 原稿納品後に「PR表記無しでツイッター告知することも含めての依頼です。契約書にも『弊社のマーケティング活動に協力すること』が条件として書かれています。従っていただけない場合には債務不履行に基づく損害賠償を請求します」みたいなことを言われたら?
  • 業界から干しますよ、と脅しをかけられたら?

僕だって正直に言えば、絶対にバレない自信があって30万円くらいの報酬が貰えるならば、もしかしたら心が揺らいでステマ依頼を引き受けてしまうかもしれない。

自分の心が決して強くはないことを自覚し、警戒を怠らないようにしたい。

ステマ依頼の断り方

以下ではステマ依頼の断り方の文章例をいくつかご紹介したい。

そのままコピペ&改変して使っていただいて大丈夫です。

依頼時点でステマを持ちかけられた場合

このたびはご依頼をいただきまして誠にありがとうございます。

ご依頼の件につきまして、大変恐れ入ります。

【PR】や【広告】の表記なしに記事広告を公開することは景品表示法に抵触する恐れがございますため、当方ではお引き受けいたしかねます。

当ブログにて貴社製品を紹介する際には【PR】の表記をおこなうことを何卒ご了承ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

ここでのポイントとしては、クライアントを不用意に「敵」認定しないことだ。

ツイッターでは「こんなひどいクライアントがいた!」と晒し上げにするツイートが拡散されるのを時折見かけるものの、あれはビジネス上はあまり宜しくない。

人間、「怒り」とくに「正義感による義憤」で頭がいっぱいのときは、適切な判断と行動をくだすのが非常に難しくなるので、怒っているときほど冷静になりたい。

依頼時点でステマを持ちかけてくるクライアントは、(無知ではあるが)悪意のないケースは多々あるので、友好的な姿勢は崩さないほうが無難であるといえる。

契約成立&入金後にステマを持ちかけられた場合

大変恐れ入ります。

【PR】や【広告】の表記をせずにレビュー記事を投稿してほしい旨のご相談をいただきましたが、本件はいわゆるステルスマーケティングに該当し、景品表示法に抵触する恐れがございます。

そのため「PR未表記」のご要望につきましては当方ではお受けいたしかねます。

当ブログにて貴社製品を紹介する際には【PR】の表記をおこなうことを何卒ご了承ください。

もし上記をご検討いただき、ご依頼をキャンセルされる場合には返金対応をいたしますのでお申し付けください。

何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

こんなところだろうか。

本来ならばキャンセル料を取りたいところだが、そこで相手と揉めるのも疲弊するだけなので個人的には(この段階ではまだ)穏健に行きたい。

(記事や漫画原稿の)納品後にステマを持ちかけられた場合

このたびはご依頼いただき誠にありがとうございました。

当方といたしましても、今回納品した記事はより多くの人に読んでいただきたいと考えております。また、貴社のマーケティングのお役に立ちたい想いもございます。

しかしながら、ご提案いただきました「【PR】表記をおこなわずに弊ブログに記事広告を掲載すること」は一般的にステルスマーケティングと認識され、貴社ブランドをかえって毀損してしまう炎上事例に繋がります。

本件は景表法にも違反する可能性が極めて高いと思われますので、何卒ご再考いただきますようお願い申し上げます。

記事タイトルに【PR】をつけた状態であれば、当初のお話のとおりSNS上での集客をお手伝いすることは可能です。

ご理解賜りましたら幸いです。

やはりこんな感じの返答が無難といえば無難である。

 相手が「契約書の業務内容には《宣伝》も含まれているはずだ!」と言ってきた場合

記事広告の作成および運用にあたりましては、JIAAの制定するインターネット広告倫理綱領(https://www.jiaa.org/gdl_siryo/gdl/keisaikijun/)ならびにネイティブ広告に関する推奨規定(https://www.jiaa.org/gdl_siryo/gdl/native/)を遵守いたします。

ご提案いただきました宣伝手法は景表法に違反する恐れがあり、お受けできません。

また、契約内容に含まれている業務内容は公序良俗に反しない範囲のものであると解しております。

何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

相手が「金を払わんぞ!」と言ってきた場合

相手が本当に「金は払わんぞ!」と言ってきた場合は、法律上の債務不履行問題になってしまう。

依頼金額にもよるが、弁護士や司法書士など法律の専門家に相談すべき段階に差し掛かっている可能性がある。

こういうときに、フリーランス協会の『報酬トラブル弁護士費用保険「フリーガル」』(https://www.freelance-jp.org/benefits)などに加入しておくと安心かもしれない。

当該保険は年額5,000円から加入でき、報酬の未払いトラブルなどがあった際に、弁護士費用の保険金がおりるというもの。

もちろんステマじゃないです。(ここでステマじゃないです、と一筆入れないと疑われてしまう世界になってしまうのが、ステルスマーケティングの大きすぎる弊害である)

恐れ入りますが、記事の納品時点で当方の業務は完了した認識でおります。

もしお支払いをいただけない場合には弁護士に相談のうえ法的な措置をとることも検討いたします。何卒ご承知おきください。

といったような警告で支払ってくれるのならば問題ないのだが、「金を払わんぞ!」と言ってくるような相手はこんな文章には屈しないと思う。

逆に、相手が債務不履行で訴えてやる!と逆ギレしてくるパターンも無くはない。

このケースもやはり弁護士案件で、フリーランス協会等の賠償責任保険に加入しておけば安心度は大きい。(実際に訴えてくるのは稀だと思うが)

大切なのは契約前に業務内容を明確にすること

ここで見てきて分かったのは、契約前、せめて入金&納品前の初期段階であれば、穏健な断り方ができること。

後になればなるほど断る労力と、断ったときのダメージが大きくなる。

したがって、当たり前といえば当たり前の話ではあるのだが、契約の前に「業務内容・業務範囲を明確にし、疑問点があればその時点で確認を取ること」が非常に大切となってくる。

「記事を書いていただけますか?」

とオファーを受けたときに

「はい、喜んで! 承ります!」

と即答するのではなくて、

「ぜひ詳細を伺いたいです。お見積もりいたします」

とワンクッション置きたい。

安請け合いは身を滅ぼしかねない。

(僕は過去に3回くらいこれで大失敗しました)

以上、ステマ依頼を受けた際の断り方文章例でした。

ツイッター(五条ダン @5jDan)の方ではフリーランスの人に役立つ情報もたまに発信することもあるので、宜しければフォローいただければ嬉しいです。

(了)


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