Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

はてなブログで「連載小説」を書くためのHTML,CSS設定

はてなブログでの小説連載におすすめのテーマ

 サブブログの方で連載小説を書いていて、その際に設定したHTMLとCSSをメモ書きとして書き残しておきたい。(※現在はサブブログを削除)

 まず、おすすめのテーマは"Innocent"。前身の"Blank"の頃から愛用していたが、15年12月にバージョンアップ版が公開された。非常にカスタマイズ性が高く扱いやすい。グローバルナビも簡単に設定することができ、本当に素晴らしい。下のテーマストアからインストールできる。

 Innocent - テーマ ストア

 じつは連載小説を投稿し終えてからこのテーマの存在を知った。くっ、もっと早くに知っていれば……。

HTMLの設定

 小説をブログに投稿するのであれば、あまり凝ったマークアップはやらないと思う。文字を大きくしたり、文字色を変えたりもできるが、小説ではあまりトリッキーなことはしない方が無難。したがって、ぜひとも知っておきたいHTMLはこれだけである。

<ruby>漢字<rp>(</rp><rt>るび</rt><rp>)</rp></ruby>

<!-- 使い方の例 -->
<ruby>匿名日記<rp>(</rp><rt>アノニマスダイアリー</rt><rp>)</rp></ruby>

 匿名日記(アノニマスダイアリー)
 と、上のようにうまい具合に表示される。漢字とカタカナの組み合わせでなくても大丈夫。いろいろ試してみると面白い。異能力バトルものを書く場合には使用頻度も高いと思う。ルビタグは便利なので、辞書登録をしておくと捗る。

 ちなみに以前は、漢字の方に"rb"タグも付けていた。けれど、HTML5からは不要となったらしい。
www.htmq.com

CSSの設定

 僕の場合は、以下のように設定している。デザインは大元のテーマのCSSが継承されるので、若干の見え方は異なる。ここでは冒頭で挙げた"Innocent"を使用。文字サイズ、フォントカラー、行間、段落のマージンなど、果たしてどれが読みやすいのかは悩ましい問題で、絶対的な答えは出ていない。

/*デフォルトの文字色を変える*/
body {color:#222;}

/*記事中の文章設定*/
.entry-content {
  font-size: 15px; /*文字の大きさ*/
  line-height: 1.6; /*行間*/
  letter-spacing:0.5px; /*文字と文字の間隔*/
}

/*段落と段落の余白*/
.entry-content p {
  margin: 0.7em 0 1em 0;
}

/*引用文の文字色*/
.entry-content blockquote{
    color:#555;
}

/*記事下のnext,prevの設定*/
.pager-prev::before,
.pager-next::before {
	color: #555;
}

.pager-prev::before {
	content: "次の話";
}

.pager-next::before {
	content: "前の話";
}

 最後のnextとprevの項目だけ補足しておきたい。

 例えば小説連載の途中であるこの記事↓
(※サブブログ閉鎖に伴いURLを削除)
 をページ下部までスクロールしてみると、このように表示されるのが分かる。

f:id:TokiMaki:20160120232759p:plain
(↑参考画像)

 上の例のように、記事前後のページへのリンクに「次の話」「前の話」という表記が書かれていないと、読者としてはどちらが古い話でどちらが新しい話なのか分からない。1話完結の短篇小説なら無問題なのだが、連載小説をやるとなると困ってしまう。

 そこで、CSSを用いて「次の話」「前の話」をリンクの上に付け加える。これだけでユーザビリティはかなり向上すると思う。惜しむらくは、僕がこの画期的な方法を知ったのが連載終了後だったことだ……。

ランサーズでは実名と匿名のどちらで活動するのが得策なのか

ペンネームで不利になることは一切ない

 例えばランサーズで「フリーランス」として活動するときに、プロフィールに載せる名前を実名にするかペンネームにするかで、迷うことがあるかもしれない。結論から述べると、ペンネーム(ハンドルネーム)でまったく問題ない。ランサーズで稼いでいる上位数パーセントの人たち《認定ランサー》の自己紹介欄を見ても、ペンネーム派が圧倒的多数だ。

ペンネームの一例

「ランサーズ」登録ライター一覧

 上記の登録ライター一覧を見てほしい。ランサーズでWebライターとして活動している人のリストだが、ペンネームどころかアルファベットのユーザー名表記のままの人も多く見受けられる。つまりランサーズでは「ライターの誰々さんが書いた」という自己ブランディングはあまり求められていない。

 ランサーズには、クライアントがランサーを評価できる「評価システム」が整っているので、つまりクライアントとしてはどのようなヘンテコなペンネームで活動していようが、評価の高い人に発注したい。自己紹介欄や経歴資格欄はしっかりと書く必要があるけれど「ペンネーム」は本当に何でもいい。

 ちなみに僕のペンネームは「五条ダン」と言う。まるで"ご冗談"のようなふざけた名前だが、この名前経由でも、仕事のお誘いを頂いたことがある。だから名前は本当に何でも良いのだ。

しかし「私は」実名顔出しで活動している

 ここが起承転結の「転」目玉焼きをひっくり返すパートだ。上の段落で「ペンネームでまったく問題ないよ! 匿名の方が多数派だよ!」と書いた。けれども、僕はランサーズで実名顔出しで活動している。多くの人が取っている方法と逆の手法を選ぶ《逆張り》こそが僕のモットーだからだ。

 フリーランスとしては、ペンネームと実名の双方で活動をしたことがあるので、ここではあえてランサーズで実名顔出しするメリットを語っておく。

他のランサーとの差別化

 割の良い案件には、多くのランサーが応募に殺到する。仕事の奪い合いになる。もしも仕事の単価が決まっている場合には、クライアントは次のようなランサーに発注したいと考えるだろう。

「実績のあるライター=認定ランサー」

 つまり、プロジェクトの争奪戦においては、ランサーズ公式の「認定ランサー」(上位数パーセントの実績者のみに与えられる称号)でなければ、不利に立たされるのだ。実績のあるライターはさらに実績を積み、実績のないライターは実績を積める仕事をなかなか獲得できない。

「人気のあるものがますます人気になる」は、この世を支配する法則のひとつである。

 つまり実績のないライターが認定ランサーに打ち勝つための戦略が「実名顔出し」なのだ。前述のとおり、認定ランサーの多くは匿名で活動している。ランサーズではほとんどの人が実名を出していない。だから、「実名であること」でクライアントの目を少しは引くことができる。

「実名の方が安心感がある」は、まやかしに過ぎない。しかし、クライアントの立場になって考えてみると、実名のライターを選びたくなる理由が見えてくる。まず、クライアントはライターに発注をする際、次のようなことを心配している。

  • 〆切を守れない人だったらどうしよう
  • 途中で音信不通になったらどうしよう
  • 原稿放棄してバックレるライターさんだったらどうしよう
  • コピペで著作権侵害するライターさんだったらどうしよう

 こんなひどいライターは本当にいるのか? と疑問に思われるかもしれないが、いる。本当にいる。世の中は広いもので、クライアントにもひどい人はいるが、それはライター側だって同じである。

 上記のようなリスクをなるべく回避するためには「実名顔出しのライター」に仕事を頼んだ方が安心感がある、というのは納得してもらえるだろう。なぜ安心感があるのか? 相手の身元がはっきりしていれば、いざというときは裁判にできるからだ。(もちろんペンネームだろうが何だろうが債務不履行があれば裁判にできるけれども、気持ちの問題としてそういう安心感がある)

 僕自身も、当初はランサーズで匿名活動をしていた。けれど実名に切り替えてから、プロジェクトの当選率が上がった。実名の恩恵を受けているのを実感する。

実名のもうひとつのメリット

 こちらのメリットの方が大きいかな。例えば筆者を重視するコラム記事の依頼の場合、前提条件として「実名顔写真付きで」記事を書いてください、という仕事がある。他の案件よりも単価が良いことが多いし、記名記事なのでそのまま実績紹介に使える。

 こうした案件は、実名を出す気がなければ受注できない。また、営業活動で会社にポートフォリオを持ち込む際にも、実名での実績があると非常にやりやすい。僕はあのSNSはうまく扱えないのだけれど、人によってはFacebookも大きな武器となるだろう。

 あと、せっかく実名で活動をするのであれば、是非「自分のポートフォリオサイト」を作っておきたい。仕事の受注をランサーズだけに依存するのは危険だ。手数料も20%取られてしまう。

 実名で実績を積めば、クライアントさんに名前を覚えてもらえ、もしかすると次回はポートフォリオサイトの方から直接発注してくれるかもしれない。(ランサーズを使っての直接取引の誘引は規約違反なので注意)

 本業でフリーランスをやるのであれば、実名を晒すデメリットはほとんどない。どーん!と名前を出してしまおう。

まとめ

  • ランサーズはペンネームでOK!ほとんどの人が匿名であるし、認定ランサーだって匿名で活動している。ペンネームで不利になることはない。
  • だがあえて私は実名で活動している。逆張り戦略も大いにあり!

【目次】「楽しく書くためのライティング講座」へ戻る

自己ブランディングの挫折

トピック「メディアクリエイター」について


 僕はWebメディアを使っての自己ブランディングが、ものすごく下手な人間だ。20以上のペンネームを持ち、ブログやWordPressや手打ちHTMLのサイトで活動をしてきたが、どれも零細メディアに終わっている。一貫した「自分」というものを、僕は持てない。何かを書けば書くほどに、自己同一性が拡散してゆき、自分が何者であるのか分からなくなってしまう。そういう類のニンゲンだ。

 きっと何者にもなれない。何者でもない。書かれた文章がそこにあるだけで《私》は実在しないのかもしれない。

「ブロガー」「メディアクリエイター」「アフィリエイター」「Webライター」何だって構わない。自分が何者であるかを知っている、――否、自分が何者であるかを自分で決められる人たちは、すごい。僕は彼らに 憧れている( リスペクト )し、 妬んでもいる( ルサンチマン )。同じ場に、自分では辿りつけないことを知っている。

 自分が何者であるかを決めるのに、優劣はない。ブロガーの人は、自分のことをアフィリエイターだとは名乗らないだろうし、アフィリエイターの人も自身をブロガーとは呼ばない。第三者からは彼らのやっていることが同じに見えたとしても、本人にとっては全然違う。「アフィリエイターとブロガーを一緒にするな」と双方から怒られてしまう。

 この問題は「純文学とライトノベル」を語る問題に似ている。両者の関係に、優劣はない。純文学がライトノベルを馬鹿にすることはないし、ライトノベルが純文学を殺すこともない。けれど、人によってそれぞれの 立ち位置( ポジション )があるわけで、自分の属している場所こそ良いところだと信じたい。

 僕は活字中毒で、お腹の空いた青虫のように、文章であればどのようなものでも読んできたし、書いてきた。純文学、海外文学、ライトノベル、ケータイ小説、児童文学、BL小説に、妹萌えの官能小説。すべてのジャンルを読んで、同じだけを書いた。変に手を広げすぎたせいで、小説のジャンル間にある差異が分からなくなってしまった。

 どのような小説も、主題があり、構成を持ち、描写によって成り立っている。どれだけレトリックや脚本構成を細かく分析しようが、純文学とライトノベルのあいだに差異は見つからなかった。あるのは傾向の差のみである。差異が存在しないことは、アイデンティティを剥奪されることと同義であり、人を不安にさせる。認知的不協和から逃れるためにも、人々は《差異》を見いだすことを余儀なくされる。

 話を戻すと「メディアクリエイター」とは、差異である。ブロガーとの差異を見いだすことにより、自分自身の価値を創造している。これは自己ブランディングのもっとも有効な手法だ。差異があるから価値が生まれる。価値がないのなら、差異を見つけるしか無い。

「ブロガー vs メディアクリエイター」の対立構造は、本当はどこにも存在しない。両者に優劣はなく、争う必要だってない。けれども、私が私であるために、僕たちは差異を求めて他者と戦うのだ。

SEOにおける長文信仰

 クライアントさんから連絡が入った。「SEOの効果を高めたいので、ちょっとリライトして記事の文字数を増やしてもらえませんか?」僕はその場で快諾をする。今月は収入がピンチなのだ。国民年金の引き落としで口座残高がゼロになるくらいのピンチだった。引き受けないわけにはいかない。

 しかしリライト案件か。リライトは文字単価が安い。多分今回も1文字単価0.5円を切るだろう。クライアントの提示した元記事は、およそ3000文字の文量があった。Webコンテンツの記事において、3000文字は十分なボリュームだ。ここからさらに文字数を増やす必要があるのだろうかと、首を傾げる。

「それでですね、五条さんには、この記事の文字数を3000文字から15000文字に増やしてほしいんですよ」顧客はさらりと言ってのけた。僕は目を白黒させて椅子から転げ落ちる。聞き間違えかと思った。「い、いちまんごせんもじ、ですか!?」

 クライアントは一言、競合サイトをチェックしてみてください。とだけ言い残して、スカイプのチャットを切った。僕はさっそく当該記事が狙っている検索キーワードでググり、競合をチェックする。すると上位表示されている、とある記事が目に入った。クリックして中身を見ると、目眩がするほどの文字がぎっしり。計測したところ1万文字を超える文字数だった。正気、なのか……。天を仰ぐ。

 ただの、健康食品の紹介記事に、1万文字なのだ。今回依頼されたのは、健康食品のアフィリエイト用の記事であった。1万文字も語れる内容があるとは思えない。だが現実に、ライバルサイトのひとつは超長文の殴り込みで攻めていた。クライアントさんはその競合に、文字数勝負で打ち勝とうとしていた。

 昨今のSEOにおいては、コンテンツの「量」と「質」が重視される。文字数が多ければ多いほど有利ということでは決して無いが、少なくとも「300文字の記事」と「3000文字の記事」があった場合には、後者の方が検索上位にあがりやすいだろう。

 しかし、である。「3000文字の記事」と「15000文字の記事」のあいだに果たして差異はあるのだろうか。これで後者の方がSEOに強いとされるのであれば、それこそ都市伝説( オカルト )の領域ではないのか。15000文字も書くとなれば、伝えるべく情報をまんべんなく薄めた味気のない記事になってしまう。水を混ぜすぎたカルピスはもはや水と区別がつかない。適切な文量を間違えれば、毒にも薬にもならないのではないか。

 けれども、今後このような文字数水増しのリライト案件が増えてくるのを、僕は歓迎したい。Webライターの収入は執筆文字数で決まる。長文信仰が広まるのは商機だ。何より、たとえ何十万文字であろうと手を抜くつもりはさらさら無かった。

 超長文を読者に読ませる。それは長篇小説を書く際にも必須のスキルだ。小説家を志すワナビとして、ここらでひとつ修行しておこう。

(了)

 

【目次】「楽しく書くためのライティング講座」へ戻る

きっと何者にもなれない僕は

 今週のお題「今の仕事を選んだ理由」


 今日の昼過ぎ、税務署に開業届を出してきた。無表情で無感情のまま、坦々とした道を淡々と歩いて帰った。起業する、といっても特別な感情はない。なぜなら開業届を出すのはこれが二度目なのだから。せめて廃業届だけはもう二度と書くものかと、かたく口を引き結んで空を見上げた。

 僕は就活生の頃、仕事は「選ばれる」ものだと思っていた。会社から、面接官から選ばれるためにエントリーシートを書き、志望動機を話し、OB訪問に回った。けれども失敗した。百通を超えるお祈り手紙を前に、自分が「選ばれない」人間であることを悟った。きっと何者にもなれない僕は、死んでしまった方がよいのだろう。当時、就活自殺を本気で考えた。苦しみから逃れるように、生にしがみつくようにして、僕は何作も小説を書いては主人公たちを皆殺しにした。主人公には自分自身が投影されていた。

 無い内定で大学を卒業したその年に、起業をした。「それしか道がなかったから」としか答えようがない。対人恐怖の症状もひどく、アルバイトの面接さえ何度も落ちる。残されたのは「Webライターとして生きる」という道だった。もしも当時の僕がイケダハヤトさんの存在を知っていれば、ブロガーを志していたかもしれない。社会のレールから外れてしまった自分のような若者には、イケダハヤト氏は生きる希望となり得ただろう。

 ところが、Webライター起業は初年で躓いた。月に十万円も稼げない。結局その年のクリスマスには廃業届を出す羽目になった。普通預金の通帳に刻まれた数字はついに三桁となり、おのれの実力不足と甘さを痛感する。家賃一万八千円のボロアパートだったが、それすら支払うのが厳しかった。薄い壁の向こうでは、たびたび市役所の人が押しかけて、隣室の無職の住人と大喧嘩をしていた。飛び交う罵声を聞きながら、次は自分がこうなる番かと畳の隅で泣いていた。

 あれから二年、僕は短期のアルバイトを転々として食い繋ぎ、一方でWebデザインとWebマーケティングの独学を積んだ。クラウドソーシングでも仕事を受注し、そこそこ大きな案件を任せてもらえるようになった。何とかWebライターとしての独立の目処が立ったのが、去年の十一月だった。そして冒頭の「二度目の開業届」の話へと繋がる。

 自分が成長できたとも変われたとも思わない。まだまだ自分は甘すぎるのだし、おそらく今のままでは未来がない。けれど、生きていて良かった。それだけは良かった。

 きっと何者にもなれない僕は、今ライターとして生きている。この仕事は果たして自分が選んだものだろうか。たとえそうではなかったとしても、神が「生きるために書け」と囁くならば、僕は死の果てまでも言葉を紡ごう。


Copyright (C) 2016-2019 五条ダン All Rights Reserved.