Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

「ステマ依頼」を受けたときの断り方(ケース別文章例)

ブロガーやライターとして活動していると、お問い合わせフォーム経由で「ステルスマーケティング」の依頼が来ることが往々にしてある。

漫画家の人にもこうした依頼はあるようで、Twitterに投稿された「映画 アナと雪の女王2」のレビュー漫画のいくつかがステルスマーケティングの疑惑を持たれ、炎上している。

こうしたステマ炎上事件に対し、クリエイターサイドからは「私だったら絶対に受けない」「断って当然」みたいな反応もちらほら見られるが、これはまさに《言うは易く行うは難し》であり、実際に自分が当事者になったときにステマを断るのはかなり難しい。

  • もし提示された報酬が100万円だったら?
  • 契約締結&入金後に相手がステマの話を持ち出してきたら?
  • 原稿納品後に「PR表記無しでツイッター告知することも含めての依頼です。契約書にも『弊社のマーケティング活動に協力すること』が条件として書かれています。従っていただけない場合には債務不履行に基づく損害賠償を請求します」みたいなことを言われたら?
  • 業界から干しますよ、と脅しをかけられたら?

僕だって正直に言えば、絶対にバレない自信があって30万円くらいの報酬が貰えるならば、もしかしたら心が揺らいでステマ依頼を引き受けてしまうかもしれない。

自分の心が決して強くはないことを自覚し、警戒を怠らないようにしたい。

ステマ依頼の断り方

以下ではステマ依頼の断り方の文章例をいくつかご紹介したい。

そのままコピペ&改変して使っていただいて大丈夫です。

依頼時点でステマを持ちかけられた場合

このたびはご依頼をいただきまして誠にありがとうございます。

ご依頼の件につきまして、大変恐れ入ります。

【PR】や【広告】の表記なしに記事広告を公開することは景品表示法に抵触する恐れがございますため、当方ではお引き受けいたしかねます。

当ブログにて貴社製品を紹介する際には【PR】の表記をおこなうことを何卒ご了承ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

ここでのポイントとしては、クライアントを不用意に「敵」認定しないことだ。

ツイッターでは「こんなひどいクライアントがいた!」と晒し上げにするツイートが拡散されるのを時折見かけるものの、あれはビジネス上はあまり宜しくない。

人間、「怒り」とくに「正義感による義憤」で頭がいっぱいのときは、適切な判断と行動をくだすのが非常に難しくなるので、怒っているときほど冷静になりたい。

依頼時点でステマを持ちかけてくるクライアントは、(無知ではあるが)悪意のないケースは多々あるので、友好的な姿勢は崩さないほうが無難であるといえる。

契約成立&入金後にステマを持ちかけられた場合

大変恐れ入ります。

【PR】や【広告】の表記をせずにレビュー記事を投稿してほしい旨のご相談をいただきましたが、本件はいわゆるステルスマーケティングに該当し、景品表示法に抵触する恐れがございます。

そのため「PR未表記」のご要望につきましては当方ではお受けいたしかねます。

当ブログにて貴社製品を紹介する際には【PR】の表記をおこなうことを何卒ご了承ください。

もし上記をご検討いただき、ご依頼をキャンセルされる場合には返金対応をいたしますのでお申し付けください。

何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

こんなところだろうか。

本来ならばキャンセル料を取りたいところだが、そこで相手と揉めるのも疲弊するだけなので個人的には(この段階ではまだ)穏健に行きたい。

(記事や漫画原稿の)納品後にステマを持ちかけられた場合

このたびはご依頼いただき誠にありがとうございました。

当方といたしましても、今回納品した記事はより多くの人に読んでいただきたいと考えております。また、貴社のマーケティングのお役に立ちたい想いもございます。

しかしながら、ご提案いただきました「【PR】表記をおこなわずに弊ブログに記事広告を掲載すること」は一般的にステルスマーケティングと認識され、貴社ブランドをかえって毀損してしまう炎上事例に繋がります。

本件は景表法にも違反する可能性が極めて高いと思われますので、何卒ご再考いただきますようお願い申し上げます。

記事タイトルに【PR】をつけた状態であれば、当初のお話のとおりSNS上での集客をお手伝いすることは可能です。

ご理解賜りましたら幸いです。

やはりこんな感じの返答が無難といえば無難である。

 相手が「契約書の業務内容には《宣伝》も含まれているはずだ!」と言ってきた場合

記事広告の作成および運用にあたりましては、JIAAの制定するインターネット広告倫理綱領(https://www.jiaa.org/gdl_siryo/gdl/keisaikijun/)ならびにネイティブ広告に関する推奨規定(https://www.jiaa.org/gdl_siryo/gdl/native/)を遵守いたします。

ご提案いただきました宣伝手法は景表法に違反する恐れがあり、お受けできません。

また、契約内容に含まれている業務内容は公序良俗に反しない範囲のものであると解しております。

何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

相手が「金を払わんぞ!」と言ってきた場合

相手が本当に「金は払わんぞ!」と言ってきた場合は、法律上の債務不履行問題になってしまう。

依頼金額にもよるが、弁護士や司法書士など法律の専門家に相談すべき段階に差し掛かっている可能性がある。

こういうときに、フリーランス協会の『報酬トラブル弁護士費用保険「フリーガル」』(https://www.freelance-jp.org/benefits)などに加入しておくと安心かもしれない。

当該保険は年額5,000円から加入でき、報酬の未払いトラブルなどがあった際に、弁護士費用の保険金がおりるというもの。

もちろんステマじゃないです。(ここでステマじゃないです、と一筆入れないと疑われてしまう世界になってしまうのが、ステルスマーケティングの大きすぎる弊害である)

恐れ入りますが、記事の納品時点で当方の業務は完了した認識でおります。

もしお支払いをいただけない場合には弁護士に相談のうえ法的な措置をとることも検討いたします。何卒ご承知おきください。

といったような警告で支払ってくれるのならば問題ないのだが、「金を払わんぞ!」と言ってくるような相手はこんな文章には屈しないと思う。

逆に、相手が債務不履行で訴えてやる!と逆ギレしてくるパターンも無くはない。

このケースもやはり弁護士案件で、フリーランス協会等の賠償責任保険に加入しておけば安心度は大きい。(実際に訴えてくるのは稀だと思うが)

大切なのは契約前に業務内容を明確にすること

ここで見てきて分かったのは、契約前、せめて入金&納品前の初期段階であれば、穏健な断り方ができること。

後になればなるほど断る労力と、断ったときのダメージが大きくなる。

したがって、当たり前といえば当たり前の話ではあるのだが、契約の前に「業務内容・業務範囲を明確にし、疑問点があればその時点で確認を取ること」が非常に大切となってくる。

「記事を書いていただけますか?」

とオファーを受けたときに

「はい、喜んで! 承ります!」

と即答するのではなくて、

「ぜひ詳細を伺いたいです。お見積もりいたします」

とワンクッション置きたい。

安請け合いは身を滅ぼしかねない。

(僕は過去に3回くらいこれで大失敗しました)

以上、ステマ依頼を受けた際の断り方文章例でした。

ツイッター(五条ダン @5jDan)の方ではフリーランスの人に役立つ情報もたまに発信することもあるので、宜しければフォローいただければ嬉しいです。

(了)

Lancersで時給換算いくら稼げるのか試してみた結果

お察しのとおりクラウドソーシングは「フリーランスを買い叩くための場」として機能しており、時給換算すると500円も稼げない案件で溢れかえっている。

しかしそこが自由市場である以上、工夫次第でクラウドソーシングも良い副業探しの場になるのではないか。そのような思惑で今月はLancersで積極的に仕事を受注し、検証してみることにした。

なお、Lancersは報酬のうち20%がシステム手数料として差し引かれる。下記に記載するのはすべて手数料差し引き後の報酬である。

案件その1「メールの問い合わせ業務代行」

獲得報酬額:880円

総作業時間:10時間

時給換算 :88円/h

「コピペしてメールを送信するだけの簡単なお仕事です!」といった謳い文句に惹かれて応募したら時給換算88円というあまりに悲惨な結果となってしまった案件。

マクロを組んで自動化したら30分以内で終わるやろ (◜◡‾)

と楽観していた作業はしかし、実際には自動化できるものでなく、案件説明には記載されていなかった《調査》の時間を含めて10時間もかかってしまった。

案件その2「スマホアプリのデザインとコーディング」

獲得報酬額:17,600円

総作業時間:17時間

時給換算 :1,035円/h

デザインとコーディング込みで報酬額が2万円を切るのだから、破格の安値ではある。

しかしながら規模の小さなプロジェクトで手を付けやすそうだったので引き受けたところ、何とか時給1000円のラインは確保することができた。

デザイン業務はゼロからイチを作らなければいけない『生みの苦しみ』があるものの、その分のやりがいと楽しさはあり、単価は低くとも副業としては悪くないと感じた。

手掛けたアプリ制作案件は『実績』として今後のアピール材料にはなる。ポートフォリオの実績が欲しい場合は、低単価でも積極的に請けてみる価値はあるかもしれない。

案件その3「エクセルのデータ入力」

獲得報酬額:8,800円

総作業時間:14時間

時給換算 :628円/h

こちらも「マクロを組んで自動化したら楽勝やろ (◜◡‾) 」と思って引き受けたら、想定以上に骨の折れる作業で割に合わなくなってしまったデータ入力案件。

少し考えてみればわかる。簡単に自動化できる作業であるならば、誰も外注で頼もうだなんて思わないのだ。

ただ、この案件は作業の90%近くを自動化すること自体には成功したので、そこからはYouTubeで音楽を聞きながらたまにポチポチPCを操作するだけの、非常に『楽』な仕事にはなった。

(もし自動化に失敗していたら地獄 of 地獄だった)

キーボード&マウスの操作を自動化するマクロツールなら、上の「KeyToKey」が高機能かつフリーなのでおすすめ。

案件その4「Photoshopを使った画像加工」

獲得報酬額:3,520円

総作業時間:3時間

時給換算 :1,173円/h

Photoshopを使った写真加工の依頼。

作業内容としてはウェブ制作の専門学校で習う程度のスキル(人物の切り抜きや風景合成ができるレベル)で十分対応可能なもの。

結果として割の良い仕事にはなった。

案件その5「セールスライティング」

獲得報酬額:1,056円

総作業時間:1時間

時給換算 :1,056円/h

約1,000文字のセールスライティング。文字単価1円。

案件その6「小説の執筆」

獲得報酬額:5,500円

総作業時間:10時間

時給換算 :550円/h

5千文字程度の小説執筆で報酬額は5,500円と、文字単価だけ見ると他のライティング案件と同等レベルである。

しかし小説を書いたことのある人ならばわかるとおり、小説は執筆そのものよりも、ネタ出しや構成を考えるのに圧倒的な時間がかかる。

したがって時給換算すると割りに合わない案件となってしまった。

とはいえ小説執筆の仕事自体レア度が高く、このようなユニークで面白い案件を受注できるチャンスのあるのが、クラウドソーシングの魅力といえるかもしれない。

案件その7「WordPressサイトのデザイン不具合修正」

獲得報酬額:1,760円

総作業時間:1時間

時給換算 :1,760円/h

案件その8「WordPressサイトのフロントメニューコーディング」

獲得報酬額:2,000円

総作業時間:1.5時間

時給換算 :1,333円/h

WordPressサイトの不具合修正系の案件は、個人的には狙い目であると感じる。

不具合修正は、分からない人にとってはどれだけ頭を悩ませても分からないが、分かる人にとっては5秒で解決方法を見つけ出すことができる。

労力に対する報酬のパフォーマンスが非常に高いジャンルであると言える。

まとめ

総作業件数:8件

合計報酬額:41,116円

総作業時間:57.5時間

時給換算 :715円/h

今回の検証で気づいたことをまとめてみようと思う。

Lancersでデータ入力からコーディングまでさまざまな案件を請けてみたところ、時給換算で平均715円となった。このことからも、Lancers等のクラウドソーシングでは全体として相場が安い(買い叩き状態にある)ことが分かる。

しかしながら、デザインやコーディングなど専門性がある程度高い業務であれば、時給換算1,000円の確保は可能だった。

一方で、誰でもできる系のデータ入力案件は(マクロで完全自動化できない場合は)骨折り損で地獄の作業と化してしまう。

労力に対して最も割の良いのが「WordPressの不具合修正」案件だった。

もし副業に役立つスキルを身につけるのであれば、定番ながらもHTML・CSS・JavaScript・PHPの習得をおすすめしたい。

本職がWebデザイナー等でAdobe CCを持っている人であれば、画像加工案件はもちろんのこと、最近クラウドソーシング界隈ではホットトレンドにある「動画編集」あたりのスキルを身につけるのも面白そうだ。

僕もつい先日から After Effects の勉強を始めた。

Lancersや他のクラウドソーシングで仕事を受注する際は、時給換算で物事を考えるとあとあと落ち込むことになるかもしれない。

だからこそ、クラウドソーシングで案件を選ぶときは、それが「スキルアップに繋がるか」「自己のブランディングに役立つか」「実績として今後アピールできるものであるか」を総合的に見極めたうえで判断した方が良いだろう。

(了)

VTuberに学ぶ「楽しそう」の圧倒的すごさ

かれこれ2年前からVTuberにハマっていて、最近だと本間ひまわりと椎名唯華と笹木咲と夢月ロアとリゼ・ヘルエスタとアンジュ・カトリーナとアルス・アルマルとそれからバーチャルおばあちゃんと甲賀流忍者ぽんぽことおめがシスターズが好きだ。

仕事から帰ると真っ先にYoutubeを立ち上げてVTuberのアーカイブを漁り、すり減ったメンタルを回復している。今期は日常萌えアニメの『まちカドまぞく』とVtuberコンテンツにだいぶ精神を救われている。

推しのVTuberは笹木咲(ささきさく)だ。

彼女の魅力は何と言っても「楽しそうに」ゲームをするところで、もっとも他のVTuberに共通する魅力であるのだが、笹木咲はとりわけ感情の起伏が豊かで、視聴していて心地の良いゲームプレイをする。

ここでの「視聴していて心地の良いゲームプレイ」はゲームスキルそのものの巧拙さではなく、感情表現の巧拙さを指す。

ゲームといえども楽しいことばかりではない。何度も同じ場所でプレイミスをして先に進めない、理不尽な運要素で相手に敗北する、イライラを募らせたリスナーが「下手くそ」みたいなコメントを容赦なく投げてくる。

リアルタイムで何千人もの聴衆に取り囲まれて、言いたい放題なコメントの濁流を身に受けて、かつトークを絶やすことなく、楽しそうにゲームプレイをする。

僕だったら緊張に耐えられない。キリキリと痛む胃を押さえ、もがき苦しみながらその場でぶっ倒れるだろう。ゲーム実況は一見簡単そうに見えて、常人には真似のできないプロの感情コントロール技術が要求される。

笹木咲をよく知る人ならば「彼女はたびたびゲーム実況中にブチ切れるじゃないか」「めっちゃ情緒不安定じゃないか」とツッコミを入れるかもしれない。

しかし笹木咲をよく知る人ならば、彼女の「ブチ切れ芸」や「情緒不安定芸」が高度に洗練されたエンターテインメントの極致であることはもはや言うまでもないだろう。

日常萌えアニメを観ているときの感覚に近い。楽しそうにゲームをする姿を眺めているだけで、幸せな気持ちになる。

そしてクリエイターの立場から述べると「楽しそうであり続けること」は想像する以上にとても、難しい技術である。


【みんなのリズム天国】寝起きのリズム体操やよ~。【笹木咲/にじさんじ】

(一番好きな笹木咲の動画を置いておくのでぜひ観てほしい。Welcome to にじさんじ沼)

 

さておき、感情のコントロールは文章媒体でさえ難しい。それはツイッター地獄やはてブ地獄、ヤフコメ地獄を見ていてもよくわかる。

インターネットの世界では「怒り」の感情が最も伝播しやすく、人の心を動かす武器として(良くも悪くも)猛威を振るう。感情を「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」の4つにカテゴライズしたときに、怒りの伝播性が突出して高いことは北京航空航天大学の研究でも明らかにされている。(ソース:Scientists prove the existence of the Internet Hate Machine | TechHive

ネガティブな感情が常にどこかで表出される環境下でクリエイター活動を続けるのには、タフなメンタルが要求される。

無名な弱小ブロガー&小説書きである僕のもとにも、

「小学生の書いた作文ですかね^^ よくそんなのでライター名乗れますねwww」

みたいなメッセージが時折寄せられてくる。

(◜◡‾)? てめぇ喧嘩売ってんのかぶっ飛ばすぞ!と思う。

まだこのようなコメントは可愛らしいもので、本当はもっとガチでヤバいやつが送られてきてメンタルをフルボッコにされるのだが、あまりにヤバすぎて公開するのも憚られる。

ましてや何十万人ものファンを抱える有名配信者のもとに、どれほどの数の誹謗中傷コメントが送りつけられるのか、想像に難くない。実際にそれで配信中に泣いてしまった人もいれば、「コメントを見るのが怖い」と告白して動画投稿を辞めてしまった人もいる。いたたまれない気持ちになる。

ネット上に発信する時点で、僕だってクリエイターとしての覚悟を持って書いている。しかし覚悟があったとしても、折れる心は折れるのだ。理性では処理しきれない感情がある。

炎上を目論む悪意あるコメント群をリアルタイムで受け流し、不安や恐怖を声に乗せないよう、今この瞬間の楽しさに集中をする。アンチに足をすくわれることなく、自分を応援してくれるファンに真摯に向き合う。

すごいことだ、すごいことだぞと思いながら、いつもVtuberの生配信を見ている。尊敬する。

僕も、彼女らのようなエンターテイナーになりたいと憧れる一方でしかし、世界がもっと他者に対して優しくなることを切に願うばかりだ。

楽しくブログを書く。小説を書く。絵を描く。ゲームをする。動画を作る……etc

楽しく活動し続けることはそれだけでとっても尊いことなので、是非とも自信を持って楽しくあり続けたい。

(了)

フリーランスからサラリーマンになった僕が語る双方のメリット・デメリット雑感

サラリーマンからフリーランスになるブロガーが多いなかで、僕は珍しく(?)フリーランスからサラリーマンへの転身を果たした。派遣社員だけど。

元よりフリーランスになるつもりはなく、大学時代から就職活動に励んでいたものの、百社近くから不採用通知を受けやむなく独立したタイプの人間だ。

そのあたり詳しくは拙作『ぼっちの就活日記』を読んでくれたら嬉しく思う。嬉しく思うと言っておきながら実際に他者に読まれたら恥ずかしくてベッドの上をのたうちまわる黒歴史である。

人間関係

今の勤務先は人間関係は決して悪くはない。IT企業でプロジェクトとしては炎上しているものの、上司はフレンドリーで先輩も優しく、和気あいあいとまではいかなくとも時折、談笑の声が聞こえてくるくらいには空気が良い。

しかしながら、もともと対人恐怖症でバスにも乗れなかった身とすると、誰かと同じ空間で働くというのはやはり精神的負担の大きいところがある。

毎朝の通勤列車など、富士急ハイランドで一番怖い絶叫マシンに乗り込む覚悟で乗っている。満員電車と比べれば、富士急ハイランドの絶叫マシンの方がよっぽど安全だし安心できる。

対してフリーランスであることの大きなメリットは「ひとりぼっちの環境で働ける」ということだ。あのクレイジーで狂気的な満員電車に乗らなくて済むだけでもこの利点はでかい。

精神的事情でどうしても他者と共に働くのが難しい場合、人間のたくさんいる場所に行けない場合(かつての僕がそうであったように)は、フリーランスで働けるのはある種の救済的な選択肢であり希望となり得る。

同僚も上司もいないフリーランスでは、主に『顧客(クライアント)』とのやりとりが人間関係の多くを占める。

上司と相性が合わなくてもチェンジするわけにはいかないが、クライアントとの関係であれば今後の取引をお断りするといった形で関係を切ることができる。

スキルアップ

サラリーマンとフリーランスのどちらがスキルアップできるかは一概に比較できないところがある。

IT企業で働く場合、個人ではとても請け負うことのできない大規模なシステムの開発にも関わることができ、勉強にはなる。デザイナー、プログラマー、エンジニアの方々と日頃からやりとりすることで、自分が今まで興味のなかった分野の知識も自然と身につけられる。

仕事ができなかったら周りにかける迷惑が計り知れないので、職務に関連する技術は(追い立てられるようにして)爆速で身につく。

一方で、技術的負債が積み重なって、たくさんの呪いと混沌を生み出し始めた怪物とも向き合わなければならず、そうした案件に立ち向かって得られるものは(スキルよりも)徒労の方が大きい。

プロジェクトリーダーを含め、もはや誰ひとりとしてプロダクトの全容を把握できる人間がいない。大きくなりすぎて制御の効かなくなったクジラを個々人が各々の方向に引っ張って、なんとか導こうとしている。でもそのたびにクジラはさらに巨大になり暴れ出すのだ。

帰宅時にはヘトヘトに疲れ果てていて、勉強どころではない。

フリーランスであれば、ヤバそうな案件にはそもそも近寄らないし引き受けない。万が一に抱え込んでしまっても、早々に逃げ出すことができる。

しかし一方、個人事業主は自由を手にする代償にすべての責任が自分に返ってくる。

「自分にできない仕事は引き受けない」はフリーランスとしてうまくやるための処世術ではあるものの、これだけだとスキルの幅を狭めてしまう。

収入

フリーランスだった頃は「毎月安定して給与が貰える会社員はいいな」と思っていたし、サラリーマンの今は「このレベルの労力を費やすのであればフリーランスの方が稼げるのに」と思う。いつだって隣の芝生は青いのだ。

フリーランスは自己管理が圧倒的に難しい。

夏休みの宿題を計画通りにできず、8月31日の夜になって泣く泣く取りかかる僕のような人間がフリーランスになってしまうと、自己管理が甘々になりすぎて、それはイソップ寓話に出てくるアリとキリギリスのキリギリスみたいに、あとあと生活に困窮することになる(実体験)。

たとえキリギリスでなくとも、大口の顧客から突然に契約を切られてしまったり、報酬を踏み倒されてしまったり、クライアントが音信不通になってしまったり、そういったトラブルは個人で事業をやっているとままあることだ。

仕事だってコンスタントに得られるわけではない。忙しいときに限って死ぬほど案件が舞い込んでくるのに、台風が過ぎ去るとパタリと仕事がなくなり、将来への漠然とした不安に襲われながら次の案件を探し出さなくてはいけない。

その意味で、強制的に労働をさせてくれる会社の存在はありがたい。ありがたくはないけれどありがたい。毎月一定額の給与が貰えるというのは本当に。

総括

正直なところ、毎朝6時に起きて満員電車に乗って8時間(残業も含めれば10時間)も勤務しての生活を何年も続けられるサラリーマンすごすぎるだろうと思うし、一方でフリーランスで生計を立てるのもそれと同じくらいに大変ですごいことだと思う。

僕はそのどちらもが中途半端で、未だに生きる道を定められずに揺れ動いている。

中学生の頃に漠然と頭のなかに思い浮かべていた《はたらくおとな》になるのがこれほどまでに自分にとって難しいとは、想像ができなかった。

それでも人は生きてゆくしかないのである。

(了)

WebライターからWebコーダーへの職種変更はありなのか(お金と戦略の話)

弊ブログ「Webライターとして生きる」を開設してから3年が経つ。Webライターとしても6年目のキャリアとなるが、悔しいことにWebライティング1本で生計を立てていくことに限界を感じ、先月より「Webコーダー」へとジョブチェンジした。(Webライターの仕事を完全に辞めたわけではないです)

また、それと同時にフリーランス → サラリーマン(派遣社員)への転身を果たした。フリーランスからサラリーマンになることのメリット・デメリットはまた別の機会に語るとして、今回は「WebライターからWebコーダーへの職種変更はありなのか?」という話をしていきたい。

ちなみにここで述べる《Webコーダー》とは、HTMLやCSSやJavaScriptを使ってウェブサイト制作をおこなう人のことを指す。

意外と高い「派遣Webコーダー」の時給

僕の住む大阪(梅田周辺)だと、Webコーダーのアルバイトは時給980円~1100円くらいの求人をよく見かける。

しかし派遣だと時給1600円~1800円くらいのレンジとなり、意外と時給が悪くない。

時給1700円で、1日8時間、月20日働くとすると月収換算で272,000円。

年間労働日数を240日とすると、年収換算で3,264,000円。

加えて派遣社員の場合は残業代が確実に出る。IT企業ではそれなりに残業をするケースが多いので、実際にはもっと収入が多くなるだろう。

ボーナスが出ないことや交通費が自腹であることを加味しても、派遣Webコーダーの職はそんなに悪いものではないと感ずる。

未経験歓迎のSES企業の面接に行ったとき、提示された月収は18万円だった。みなし残業もある。であれば派遣の方が条件が良いなと感じて、僕は派遣登録をするに至った。

そして後述するとおり、WebライターからWebコーダーになるのは決して難しくない。むしろWebコーダーとして採用されるのに、Webライターはけっこう有利な職業だ。

悪くはない「フリーランスWebライター」の報酬

一方で、時給1700円レベルであれば、フリーランスのWebライターとして達成するのも難易度が高いわけではない。

文字単価3円の案件なら、1記事2000文字 × 3本をこなせば日給は18,000円(6,000円 × 3)となる。

さまざまな経費や社会保険料を自分で支払わなければいけないことを加味しても、派遣Webコーダーと比較して決して収入面で劣っていない。

したがって、派遣が良いだとかフリーランスが良いだとか、あるいはWebコーダーが良いだとかWebライターが良いだとか、そういう話ではなくて「どちらの雇用形態&職種が自分にとって向いているか。苦しみを最小限に持続してゆけるか」で進路を決めるのが一番だと思う。

もちろんどちらかに絞り込む必要もなく、WebコーダーとWebライターの二足わらじでやっていくのも戦略として悪くない。

他にもWebエンジニア、Webマーケター、Webデザイナー、Web漫画家……etc

これらWeb◯◯系の職種はどれもスキルの掛け合わせの相性が抜群に良い。

WebライターからWebコーダーに職種変更するには

すでにフリーランスWebライターとして活動されている人であれば、Webコーダーになるのは難しくない。

なぜかというと「実務経験を積みやすい」からだ。

IT企業に就職活動する上でよくあるのが

  1. 実務経験がないので採用されない
  2. 採用されないので実務経験が積めない

の負のループで、これを抜け出すには完成度の高いポートフォリオを作成するか、アルバイト等で経験を積むか、未経験歓迎の求人に応募するか、いろいろと方法を模索する必要がある。

「クラウドソーシングでランディングページ制作の案件をいくつか引き受けて実務経験を作っていけば良いのでは」と思われるかもしれない。

しかしながら、簡単なWeb制作やLP制作の案件は競争率が高く、なかなか案件を取るのが難しい。例えばランサーズだとデザインを含まないコーディングのお仕事は、応募倍率が8~30倍となっている。

  1. 実務経験がないので採用されない
  2. 採用されないので実務経験が積めない

 の負のループは、クラウドソーシングの世界であっても作用してしまう。

ところがWebライターならコーディング実務のお仕事をすぐにでも獲得できる。

なぜなら、クライアントからすでに信頼を得ているからである。

Webライターにとってのクライアントは、「Web制作会社(ホームページ制作代行業者)」か「Web運営会社(オウンドメディア運営企業やアフィリエイター、Webメディア等)」の2つにわけられる。

いずれにせよWeb制作・運営にあたってライティングとコーディングは地続きの業務であり、ライティングを引き受けているのであればその「オプション」としてコーディングは引き受けやすい。

例えば「マークアップ・WordPress入稿込みでのライティング案件」はその典型といえる。HTMLしか使わないとはいえ、SEOを意識した適切なマークアップができることは、Webコーダーの実務経験としてもある程度の評価を受け得る。

クライアントとの信頼関係が築けていれば、

「LPのライティングと合わせてコーディングもお引き受けいたしますよ」

「サイトのデザインが崩れているようですので、宜しければデザイン修正いたしますよ」

「新規サイトを立ち上げる際はぜひお声掛けください」

といった営業がかけられるし、実際に成約しやすい。

僕は5年間、Webライターとしての活動をメインとしつつも、サブでこういったマークアップ入稿案件・デザイン修正等の依頼を請けつつ、新規サイト制作にも30件ほど関わった。

SEOの知識があり、Webマーケターとしての視点を持ち、アクセス解析もできるWebコーダーというのはそれなりに市場価値があるのではないかと自負している。

現在は趣味としてやっているプログラミングやイラストや動画制作も、将来的には仕事のスキルとして掛け合わせて《ハイパーWebなんでもマン!!》みたいな生き方をフリーでやってみたい。

飽きっぽくてなんでもかんでも手を広げて(収拾がつかなくなって)しまう自分には向いている働き方だと思う。

結論を述べると、「Webライター」から「Webコーダー」へのジョブチェンジは思ったより難しくなかった。

いろいろなWeb関連職種を体験しつつ、自分に合った働き方、天職を見つけていきたい。

(了)

えんどろ~!最終話はわりと深い意味があるのかもしれないという話

今期アニメは

  • 私に天使が舞い降りた!
  • かぐや様は告らせたい
  • えんどろ〜!

の3つを観ていて、どれも素晴らしかった。

一応、この記事はえんどろ~!最終話の感想なのでネタバレが含まれてしまうのだけれど(といってもネタバレというほどのものではないが)結論から述べると、えんどろ~!とは「エンドロール」の物語なのだと感じた。

エンド‐ロール
(和製語 end roll)映画やテレビドラマなどの終りに、出演者やスタッフを紹介する字幕。

※広辞苑 第七版

本来の「エンドロール」の意味は上記のとおり。

しかしここで言いたいのは「End-Roll」ではなくて「End-Role」なのではないか、ということ。

ハッピーエンドのために「Role(役割)をEnd(終わらせる)」のが、この物語の一貫したテーマだったと思う。

ユーシャは「勇者」を捨て、マオは「魔王」を捨てる。

ローナ姫は「勇者」としてではないユーシャを好きになり、マオの名もない「従者」はメイゴという名を手に入れマオの家族となる。

役割や運命から開放され、おのおのが自由で真っ白な未来を手に入れる。

えんどろ~!12話はニコニコ動画で見ると、『デウス・エクス・マキナだ(ご都合主義的ハッピーエンドだ)』といった趣旨のコメントがいくつか散見された。

でもボクはむしろ正反対に、当作品は『デウス・エクス・マキナ(舞台装置)からの解放』だと捉えている。

物語の主人公は、必ず、自分が何者かであらねばならない。宿命を背負い、目的を持ち、大きな意志を持って困難を乗り越えなければならない。

だって物語なのだから。勇者なのだから。

本作は、キャラクターが本来であれば背負うべき、ある種苦しみの呪縛とも呼べる「役割」を、あのちっちゃなドラゴンがパクリと呑み込んで消し去ってくれた。

シリアスキラーなちびドラゴンちゃんのおかげで、とても心安らかに観られるアニメだった。

一転して暗い話になるけれども、

ボクは学生時代、就職活動で失敗したとき、自殺を考えるほどに精神的に追い詰められた。

《正社員》あるいは《社会人》といった役割概念(ロール)によって、苦しめられていたのである。

しかしよくよく考えてみれば、そのようなくだらない《概念》によって死に追い込まれるだなんて、馬鹿馬鹿しい話ではないか。

結局、就活で失敗してフリーランスになって、そこでもやっぱり大失敗した。

フリーランスになっても、新しいアルバイトを始めても、何者にもなれない自分、劣等感、自虐、自己肯定感の欠如、アイデンティティの喪失、そういったあれこれの苦しみからは自由になれなかった。

今はまた正社員を目指して就職活動中の身であるが、自分の精神を蝕む《概念》からはものの考え方次第で案外簡単に脱却できるのかもしれない。

えんどろ~!最終話は決して、ご都合主義的にハッピーエンドになったのではない。

ただほんのちょっと、セカイの見方を変えて幸せを手にしたのである。

エンドロールのその先は……、すなわちロールとしての生き方に終止符を打ったその先にあるものが、何者にもなれなかったボクらが幸福に生きられる世界なのかもしれない。

(了)

サイト運営は「ちょっと赤字」を常に目指すのが良い成長戦略かもしれない

昨年からYouTuberの動画を観るのにハマっていて、YouTuberの上位層はとにかくお金を稼ぎまくっている。国内ランク70位にも入れば月収100万円クラスで、10位内だと月収1000万円を超えるすごい世界だ。

しかしここで着目したいのは、トップクラスYouTuberは売上も然る事ながら、動画を撮るためにかけている経費も半端じゃないということだ。

遊園地を貸し切ってドッキリを仕掛けたり、サイエンティストと共同で実験企画を行ったり、大学と共同で気球を打ち上げたり、プロスポーツ選手と試合をしたり、無人島に行ったり南極に行ったりと、とにかくやることが豪勢である。

  1. お金や時間をかけるから面白い動画が撮れる
  2. 面白い動画だから人気が出て収入が上がる
  3. 収入が上がるから動画企画のためにもっとお金をかけられる

というプラスの連鎖が働いている。

動画企画にお金をかけられることは、それがそのまま他者との差別化、競争優位性に繋がる。

YouTuber自身の企画力やトーク力が大切である点に間違いはないが、それと同じくらいにどれだけ金が使えるかも重要なのだ。

もっとも、当事者たる人気YouTuberは、稼いでいない初期の頃から

「面白い動画を撮るためならば赤字でも構わない。俺たちは面白い動画を作るために人生を懸けているんだ!!」

という覚悟を持った人たちで、そうでなければ今の地位はなかっただろう。

かたや、Webメディア・アフィリエイト業界はひどいものである。

「いかにして金をかけずに記事を量産してPVを増やすか」で頭がいっぱいの運営者であふれている。

守秘義務があるためどことは言えないが、かつて取引先であった某大手書評メディアでは、文字単価0.4円でクラウドソーシングに外注し「おすすめ○○小説10選」「漫画○○最新刊ネタバレ」といった記事を量産していた。

ライター報酬には本の購入費が含まれておらず、納期には本を読む時間が加味されていない。

したがって多くのWebライターは「自分が読んでもいない本」のあらすじをネットで適当に情報収集して、こたつ記事を書くしかない。一部の良心的なWebライターは図書館を活用して対象書籍を読んでいたが、文字単価0.4円であることを思えばまったく割に合わない仕事である。

また、ボロが出るのを懸念してか記事制作マニュアルにおいて「主観的な感想を書くこと」が禁じられており、結果として表面的なあらすじをなぞって当たり障りのないコメントを書き添えるような、無味乾燥な書評記事をライターは納品することとなる。

「愛読家のための情報メディア」を謳う某法人運営の書評メディアは、実態として読んでもいない本の書評・ネタバレ記事をWebライターに大量生産させる、読書家を愚弄するようなメディアだった。

さておき、一般的な傾向として個人・法人を問わずブロガー&アフィリエイターはお金をかけなさすぎる傾向にある。

ここで言う「お金をかける」とは記事を外注するとかそういうのではなくて、取材のための費用を捻出できているか否かである。

サイト運営で稼ごうとするとき、多くの人は上図のように、費用を最低限で固定化し、売上を伸ばすことによって利益を最大化させようとする。

差別化のためには、この発想を変える必要がある。

そう、売上に合わせて費用も増大させてゆき「ちょっと赤字かプラマイゼロ」あたりの利益を常に目指すのだ。

矛盾するようだが、稼ぐメディアを作るには《稼がない》ことが最短経路となる。

サイト運営によって得られた広告収入等をすべて「面白い記事を書くための経費」に再投資しよう。コンテンツとしてはそれだけで十分に差別化できる。

ちゃんと製品を買ってからレビューする、ちゃんと料理を作ってからレシピ記事を書く、ちゃんと現地に滞在してから旅行記事を書く。そんな当たり前のことをしているWebメディアが本当に少ないからだ。

実体験に基づく主観的な感想を交えた記事が書ければ、それだけで大手Webメディアに負けないオリジナルコンテンツとなる。

たとえば僕はリクガメを飼育しており、リクガメの情報サイトを運営しているけれども

  1. サイトから広告収入を得る
  2. 収益のすべてをエサ・床材・その他飼育用品・飼育書籍等の購入に充て、そのレビュー記事を書く
  3. 読者が増え、さらに広告収入を得る

の《正のループ》を実現している。

基本的に、すべてのサイトの運営戦略はこれである。

ブログで収益が入ったらそれ以上の費用を「新しい体験」をするために投じる。その新しい体験をコンテンツに変え、より良いサイトにしてゆく。

トータルは赤字でまったく構わない。なぜならば、サイト自体の資産価値は間違いなく上がっているからだ。

かのアマゾン社は売上のほとんどすべてを再投資してしまう。そのため最終利益はいつもプラマイゼロ付近を彷徨っているが、その再投資によって得られたのは圧倒的な事業成長である。

同じように、サイト運営は「ちょっと赤字」を常に目指すのが良い成長戦略かもしれない。

人気YouTuberたちの動画作りに懸ける熱い想いを僕も見習いたい。

(了)

『ぼっち・ざ・ろっく!』は素晴らしいぞ!!!(第1巻感想)

アニメ化したら覇権は間違いなしと期待を集める今話題のきらら作品『ぼっち・ざ・ろっく!』(まんがタイムKRコミックス/はまじあき・著)が本日単行本の発売日で、さっそく買ってきた。

『ぼっち・ざ・ろっく!』を知らないという方は下のニコニコ静画のリンクから第1話を試し読みできるのでぜひ読んでほしい。

本作は4人の女子高生がバンドを組んで活動する話で、一見「けいおん!」のような青春日常モノを連想させる。しかし主人公は極め付きの《ぼっち》であり、陰キャである。《青春》の言葉の対極にあり、青春の眩しさに耐えられず身体がナメクジのように溶けてしまう超ぼっち主人公が、対人恐怖に苦しみつつそれでも仲間と一緒に頑張ってバンドをやっていくのが、本作の大きな魅力だ。また、主人公の存在そのものがロックである。

さておき、この記事を書いている僕自身も「友達いない歴=年齢」のぼっち人間だ。小説家になろうでは「ぼっちの就活日記」という自虐小説を連載していた。

だから、本作の主人公(ぼっちちゃん)には非常に共感できるし、自己投影できるし、それどころか"ぼっちちゃん"は実質的に僕自身なのでは。僕がまんがタイムきららの世界に転生したらそのままぼっちちゃんになるのでは。というくらいに、ぼっち・ざ・ろっく!は我々ぼっち特有の思考パターン・性格を見事に描いている。デフォルメ化こそされているものの、僕と同じ本当のぼっち人間がこの漫画を読めば「この主人公は私だ!!」と叫びだしてしまうことは確実だ。

ぼっちちゃんは豆腐メンタルで、自己肯定感がとても低い。ネガティブ思考で、不器用だ。何かあったらすぐにゴミ箱に入ってしまう。一生懸命に立ち振る舞おうとしても、他者からは変人奇人に見られてしまう。

そんな主人公がバンドをやるからこそ、やはりロックであるし、心を打たれるところがある。

元からスーパーマンの人間が努力をしたり葛藤したり、そういう物語はもちろん素晴らしいのだが、一方で(どうせ僕なんかが頑張ったところでこの主人公のようにはなれないんだろうな……)と卑屈になって絶望している自分がいる。

しかし本作のぼっちちゃんは、本当に自分の映し鏡ではないかと錯覚するほどに、生きるのが下手そうなキャラクターで、社会不適合者で、良く言えば等身大の主人公なのだ。それゆえに、励まされる。

ぼっちちゃんが頑張っているのなら、僕も頑張らなきゃいけないな、と。そういう前向きな気持ちにさせてくれる。

なんにせよ、ギャグ漫画としても面白く、もう今から2巻の発売が待ち遠しい。これは本当にアニメ化してほしい。アニメ化を切に願う。みんな単行本を買おう!!

以上、ぼっち・ざ・ろっく!は素晴らしいぞ!!!という感想でした。

ぼっち・ざ・ろっく! (1) (まんがタイムKRコミックス)

ぼっち・ざ・ろっく! (1) (まんがタイムKRコミックス)

 

〆切を守れないWebライターが「〆切を守らずに」仕事する方法

 「夏休みの宿題に最終日になって取り掛かるようなやつはライターに向いていない。ライターにとって最も大切なのは文章力ではなくて、納期を守ること。〆切を守れない人にはライターの適性がない」

といった意見は間違ってないし、そのとおりだとしか言いようがない。しかしそんな正論によって〆切破り魔が更正するのであれば誰も苦労しないのである。

およそ仕事の苦しみを分類するならば

  1. 厳しい納期
  2. 責任の重い業務
  3. 人間関係の不和

の3つに分かれる。

僕自身も〆切に追われるのがかなりの精神的苦痛で、胃を悪くしたことがある。スケジュール通りに物事を進めるのが本当に苦手で、その意味では僕もライターとしての適性がない。

安易に仕事を引き受けて納期に苦しむのが嫌すぎて、当ブログのメールフォームページにも

『※現在、お仕事のご依頼につきましては特別な事情のあるものを除き受付を停止しております。何卒ご容赦ください。』

と明記している。SNSで『お仕事募集中』もやったことがない。〆切を守れずクライアントさんに迷惑をかける未来が見えているからである。

そんなんでよく専業Webライターを6年も続けて来られたな、と思われるかもしれない。じつはそこにカラクリがあって、当ブログ100記事記念としてご紹介したい。

〆切を守れないWebライターが「〆切を守らずに」仕事する方法

〆切に振り回されずに仕事をするためには、まず因果律を逆転させ、〆切の存在そのものを消滅させることである。

図のようにクライアントから依頼を受け、成果物を完成させるまでの期限が〆切となる。

であれば「クライアントから依頼を受ける」から「成果物を完成させる」までの距離をゼロにしてしまえば、そもそも納期や〆切は発生し得ない。

そう、依頼を受けてから原稿を書くのではなく、原稿を書いてから依頼を受ければ良いのだ。

依頼される時点で、原稿は出来上がっている。〆切を守れるだとか守れないだとか関係なしに、すでに仕事は終了しているのである。

具体的な手順としては

  1. Webライターを募集・外注しているWebサイトをリサーチし、そのサイトが欲しがるであろう記事を書く
  2. サイト運営者に「記事を買いませんか?」と営業をかける
  3. 価格交渉後、納品

で完了となる。

この方法のWebライター側のメリットは

  • 完成記事の売り切り方式のため、納期に追われるストレスがない
  • 自分のペースで自分の書きたいものを書ける
  • 記事クオリティに自信が持てるのであれば価格交渉を有利に進められる(交渉決裂すれば競合サイトに記事を売りに行くこともできるため)
  • コミュニケーションコストを最小限にできる
  • 「思っていたのと違う記事を納品された」みたいなミスマッチを事前に防げる
  • 仮に買い手がつかなくとも、自己運営メディアに用いることでマネタイズできる

そしてクライアント(サイト運営者)側のメリットは

  • すぐに記事が手に入る
  • 記事を読んだうえで、それを買うか買わないかを判断できる
  • すでに成果物ができあがっており、ハズレライター(〆切が来ても納品せず音信不通になるようなWebライター)を引く心配がない
  • うまくやれば値切りできる
  • コミュニケーションコストを最小限にできる
  • 「思っていたのと違う記事を納品された」みたいなミスマッチを事前に防げる

ライター側のメリットがそのままクライアント側のメリットとなり、まさに双方良しの関係となる。

もちろんこれは上級者向けの仕事術であり、「需要のある記事」を書くことができなければ、買い手を見つけるのに難儀するだろう。

しかし〆切も予算上限もないのだから、たっぷり時間をかけてハイクオリティかつ高く売れる記事を完成させれば大丈夫。

なお上記の営業でうまくいくと、十中八九クライアントさんから

「素晴らしい記事をありがとうございます。良ければうちのメディアのライターとして定期的に記事を書いていただけませんか?」

と継続発注の提案を受けることと思う。

ここでとても重要なのは、〆切を守れない自覚のある人は、この提案を絶対に断らなくてはいけない。

ここで下手に安請け合いしてしまうと、結局また〆切に追われて苦労するし、最終的にクライアントさんに迷惑をかけてしまうことになる。

なので正直に、自分は納期を守るのが苦手で引き受けられない旨を伝える。

そのうえで「また記事が書けたら優先的にお声掛けしますので、そのときにもし宜しければ買っていただけたら嬉しく思います(もちろん買っていただけなくとも全然構いません)」といった双方が負担とならない《ゆるい協力関係》を相手方と結ぶのが得策だ。

自分が〆切守れないダメ人間であることを自覚したうえで、そこを強みに変えよう。

「私は〆切の発生するライティング依頼は絶対にやらないんだ!」という強い覚悟を持ったうえで、〆切を発生させずにWin-Winで仕事ができる環境を模索するのがポイントだ。

他者には簡単にできるのに、自分には当たり前にはできないことが、世の中にはたくさんある。決められた時間に起きることであったり、人と目を合わせて会話することであったり、〆切を守ることであったり。

他者と自分とを比べて劣等感を抱くかもしれないが『できない』は武器へと変えられる。より正確に述べるならば、『できない』をベースに生存戦略を考えてゆくわけである。

ちなみに上記のやり方を発展させれば、さらに大規模なビジネスとなる。

Webライターの一般的な収益安定化戦略は、記事を継続発注してくれるクライアントを見つけることである。Webライターは単に指示通りに記事を書くのではなく「クライアントと共にWebメディアを育てていく」という意識を強く持つ必要がある。

しかしすでに述べたとおり、長期継続案件は〆切守れない人間にはつらい。

そこで発想を逆転させると「Webメディアを自分で作ったうえで、そのメディアを丸ごと売っぱらってお金を得る」方法に行き着く。

いわゆるサイト売買である。

小規模なサイトでも10万円くらいで売れるし、大規模なWebメディアであれば数百万、うまくやれば数千万円で売却できるのがサイトM&Aの世界だ。

話が長くなったのでこれについては別の機会に紹介したい。

まとめると、

「クライアントから依頼を受けて納期までに記事を納品すること」が苦手で苦手で仕方のない人は、発想を転換し「記事やサイトを完成させてから、買い手を探す」戦略を試してみると良いと思う。

自分のできないことをベースに戦略を立て、できることで戦っていこう。

(了)

自治会の「弔慰金」支給規定で誰も幸せになれなかった話

かつて自治会長として自治会の運営業務に携わっていたとき、とりわけ闇を感じたのが「弔慰金」の支給システムだった。

弔慰金(ちょういきん)とは『死者をとむらい、遺族を慰める――気持をこめて遺族に贈るお金 ※広辞苑第七版』のこと。

私のところの自治会にも

自治会の住人が死亡した時は弔慰金として金5,000円を供える。

といった規約がある。

しかし、多くの住人はこの規約の存在を知らない。私も自治会長になって初めて知ったくらいだ。

たとえこうした弔慰金支給の仕組みを知っていたとしても「家族が亡くなったので弔慰金もらえますか?」と自治会に申請する気にはなれないし、そもそも誰が自治会役員なのかさえ知らない人がほとんどだ。

なので弔慰金制度はきっと、規約にはあるものの形骸化しているんだろうなと思っていた。

ところがこれがきちんと機能していた。

機能していたがために、取り返しのつかないトラブルが発生した。

自治会の弔慰金規定と個人情報保護の問題

あるとき、役員さんが私のところへ来て「Aさんのところに弔慰金を持っていかないとね」と言った。

Aさんは最近に、事故によりご家族を若くして亡くされたそうだった。

Aさん自身はそっとしておいて欲しいと周りに伝えていたものの、訃報はご近所ネットワークの輪を通じて広がり、自治会役員の耳に入るに至った。

その役員さんが持ってきた噂にどう対応するかで、自治会の役員会では揉めることとなった。

『そもそも情報の入手経路が風の噂であるし、遺族のAさん自身が「そっとしておいて欲しい」と言っているのであれば、役員が弔慰金を渡しに伺うのはやめたほうが良いだろう』

という意見。

反対に、

『自治会規約に定められているとおり、会員には弔慰金を受け取る権利がある。毎年自治会費を徴収している以上、弔慰金を渡しにいかないのは役員の義務に反する』

という意見に分かれた。

どちらの意見も正論ではあるし、自治会長として非常に頭を抱えた一件だった。

私個人は「弔慰金を手渡しに行くのはやめた方が良い」という考えだったが、多数決で負けてしまい、結局弔慰金を渡しに行くことが決まった。

結果として、この行為はAさんを深く傷つけてしまう。

「周りに知られたくなかった訃報が自治会役員にまで知れ渡ってしまった事実」にAさんは大きなショックを受け、弔慰金は当然ながら受け取ってもらえなかった。門前払いを受ける形となり、役員たちの間にも何とも言えない気まずい空気が流れた。

役員さんはみんな良い人であったし、善意の心を持っていた。

しかし『地獄への道は善意で舗装されている』の格言のように、その善意の行く先は間違っていた。私もこの一件は今でも非常に後悔している。

翌年、同じ過ちを繰り返さないよう、総会にて「自治会規約を改定し、弔慰金制度を申請方式に変更する」議案を出した。ところが反対意見がいくつか出て、改正規約案は否決となってしまった。

私は自治会長の任期を終えた。

肩の荷は下りたが、同時になにも改革をなし得なかった無力感が残った。

とてもセンシティブな問題である。

他の自治会ではどのような運用がされているか分からないが、弔慰金制度には不本意な形でトラブルを生んでしまうリスクがあり、役員にとっても大きな負担となる。(以前は自治会役員が葬式に参列する慣例もあった)

誰もが幸せになれない制度を無くしていかなければいけないものの、現実はとかく難しい。

(了)


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