Webライターとして生きる

五条ダンのブログ。「楽しく書く」ための実践的方法論を研究する。

中古カメラなどの買取価格を比較検索できる「ヒカカク!」はどのように活用すべきなのか?

【PR記事】

「不要品を販売したい」と考えるとき、僕たちには2通りの選択がある。つまり、オークションに売りに出す(C to C/個人間取引)か、買取業者に売りに出す(B to C/企業・個人間取引)かの2択だ。

前者を支援するWebサービスだと、ヤフオクなどの相場検索ができるオークファン(http://aucfan.com/)が有名だが、後者を手助けするWebサービスは今までなかった。そのため買取業者ごとの買取価格・口コミ・評判を比較検討するということが難しかった。

「○○ 買取業者 比較」などの検索キーワードで探しても、露骨なアフィリエイトサイトが見つかるばかり。掲載されている業者の口コミや評判も、ライターが《作文》したものである場合が多い。これでは、お話にならない。

そんな買取業者選びの悩みを解決するために登場したのが「ヒカカク!」(http://hikakaku.com/)だ。2014年10月にオープンしたWebサービスで、1年半経過した現在では登録商品件数が40万件、買取業者口コミ件数が12,000件を超え、なかなかの賑わいを見せている。

この記事では「ヒカカク!」の紹介レビュー、および具体的な活用方法についてご紹介したい。

ヒカカク!で中古カメラの上限買取価格を比較検索する

例えば僕の手持ちのデジタル一眼レフカメラ「Nikon D5000」を中古カメラ買取業者に売ることになったとする。カメラの中古市場は規模が大きい分、売却先の選択肢も幅広い。買い取り価格の差もけっこうな開きがあるのではなかろうか。

(Nikon D5000/2009年モデルだが今も現役で使っている。さすがに売るには機種が古すぎるか……)

ヒカカクでは「スマホ」「ゲーム機」「カメラ」「腕時計」のようにジャンルごとに買取業者を探すこともできるし、検索窓に直接商品名を打ち込んで製品の買取相場を調べることもできる。

ちなみに面白いジャンルだと「万年筆」「スニーカー」「ウイスキー」などがある。中古買取市場で何かビジネスをお探しの方は一度サイトを覗いてみると良いかもしれない。万年筆の中古市場があることを僕はヒカカク!で初めて知った。

実際に「Nikon D5000」と入力して検索をかけてみる。

検索結果画面。いくつかの製品候補が表示される。おお……、やはり1万円台にまで落ちてしまうか……。「レンズキット」と「ボディのみ」の差額が340円しかないので、もしかしたらレンズと本体を別々に売ったほうが良いかもしれないな。……と、ヒカカクで検索をかけることにより、中古品の販売戦略も広がってくる。

(注:一般的には、本体+レンズのセットで売った方が買取価格は上がる。あくまで仮定としての話)

製品別の比較画面。ここでは「Nikon D5000 ボディ」の結果を表示している。このように、買取業者ごとの最高買取価格を高値順に並べて表示することができる。「価格.com」の逆バージョンと考えると分かりやすいだろう。

「無料見積もり!」のボタンを押下すると、その場で査定申込みをすることができる。「買取業者の比較・口コミ分析~査定申込みまでをひとつのサイトで完結できる」というのがヒカカクの売りのひとつである。たしかに、利便性が高い。

(ただし、その場での査定申込みはすべてのショップに対応しているわけでなく、ショップによっては公式サイトの方から見積もりをする必要がある)

当然ながら、上限買取価格が非公開で「要見積もり」としているショップも多い。とくに一眼レフカメラは保管状態によって、かなり価格が変動する。箱や説明書が無いだとか、レンズやボディに細かいキズがあるだとか、そういった要因で数千円は簡単に落ちる。

あくまで上限買取価格は「参考として」考える程度に留めておこう。期待し過ぎるとあとでガッカリしてしまう。また「上限買取価格でも低いな」と感じる場合にはオークションでの販売も選択肢にあがってくる。

仮にオークションでの売却を考える場合でも、一般買取業者の買取価格を知っているかどうかで戦略は変わってくる。その意味でもヒカカクは買取相場検索ツールとして役立つだろう。

ヒカカク!で買取業者の口コミ評価をチェックする

「最高買取価格」はあくまで参考値に過ぎないし、結局のところカメラの状態次第で変わってくる。だから僕としては、カメラ売却の際には価格よりも口コミの方が気になるかな、というのが正直なところ。

ヒカカク!では口コミ収集にも力を入れており、2016年現在で12,000件以上の口コミレビューが集まっているそうだ。価格.comの累計口コミ件数が1500万件を超えていることを考えると、もう少し数が欲しいところ。

けれど、まだできたばかりのサービスだ。今後も口コミが集まっていけば、相当に使いやすくなる(大化け間違いないだろう)と私的には考えている。

例えばヒカカクで「カメラのキタムラ」を検索すると144件の口コミを見ることができる。(けっこう集まっている!)口コミ自体は玉石混交だが、高評価から低評価まで、リアルな声を聞くことができる。

例えば「富士フィルムのFinePix F31fdが4000円で売れた」といった具体的な情報も満載で(へぇ…2006年発売のコンデジでも値がつくのか……売ってみるもんだな……)と読んでいてなかなか興味深い。

もちろん、口コミを投稿することもできる。ヒカカク!で今後最も充実させて欲しいのが、この「口コミ機能」だ。口コミを投稿できる場こそが、買取業者を探すうえでは一番重要となるサービスだと思う。(そしてこれまで、口コミがまともに機能している買取業者比較サイトは本当に少なかった)

ヒカカク!で地域別に買取業者を探す

郵送可&送料無料な買取業者も存在するが、デジタル一眼レフカメラなどの精密機器を郵送で送るのには少し抵抗がある。梱包を厳重にしても、万が一を考えると心配だ。

僕個人としても、カメラは近場で買ってくれるショップを探したい。また、ピアノや自転車などを売るときも、やはり近場で引き取りに来てくれる業者を見つけたいところ。

ヒカカク!ではそうした需要にも応えるため、地域別に買取業者を探すことができる。

例えば僕は兵庫県神戸市に住んでいるので、その近くでカメラを買い取ってくれる業者を探すことにする。

すると中古買取業者の一覧が出てくるのだが、困ったことにカメラ専門店ではない。(うーん、売りたいのは中古車やゴルフクラブではなくカメラなんだけど……)と悩んでいたら、サイドバーで絞り込みができることに気がついた。

下のほうに「カメラ・レンズ」のカテゴリが! さっそくクリックする。

f:id:TokiMaki:20160508150407p:plain

するとカメラを扱っているショップで絞り込むことができた。地域一覧のメニューから検索をしてしまったためひと手間がかかったが、じつはもっと簡単に買取業者を探すことができた。

「買取業者一覧」のページのサイドバーに、上のような検索ボックスがある。ここで地域や商品ジャンルなど一括で指定して業者を絞り込むことができる。(もしくはトップページからでも地域と商品ジャンルを指定して検索できる)

ページによってサイドバーのメニューがころころ変わってしまい、上記の検索ボックスもページによっては出てこない。そのあたり若干の不便さを感じるが、ユーザビリティの向上については今後に期待していきたい。

ヒカカクゼミ!で商品売却の際に役立つコラム記事を読む

ヒカカク!では役立つ情報コンテンツとして、ヒカカクゼミ!というコラム記事を掲載している。記事では買取相場の情報からオークションの出品ノウハウ、携帯電話の運用術に至るまで幅広く情報を集めることができる。

例えばカメラであれば

上記のようなコラム記事がある。売却を考える人だけでなく、購入を考える人もターゲットにしたコンテンツ戦略を取っている。

個人的に便利だなと思ったのは、商品の検索がうまく行かなかったときに「参考コラム」を提示してくれるところ。ここでは電動自転車の買取価格は分からなかったが、代わりに「中古電動自転車の買取価格アップ情報」を見つけることができた。

また商品検索をする際も、サイドバーで関連コラムを提示してくれ、なかなか配慮が行き届いている。

会員登録でさらに便利に

ここまでご紹介したサービスは、すべて会員登録なしで利用できる。(口コミの投稿も含めて)しかし、ヒカカク!には会員サービスもあるようで、無料会員登録をすることでさらに充実したサービスを受けられる。

会員登録をすると上のように、お気に入り商品(自分が所有している製品)を登録して、相場情報をいつでもチェックできる機能が使える。

お気に入り機能の他にも、おすすめコラムの情報配信や、買取相場の情報配信などさまざまなサービスを受けられるらしい。

「らしい」と書いたのは、まだ会員サービスが正式に開始していないようだからだ。僕もメールアドレスを登録してみたのだけれど、まだヒカカク!からメールを1通も受け取っていない。会員登録の案内ページもまだ出来上がっていないようだし、少々登録を急ぎ過ぎたかもしれない。

お気に入り登録した商品の「売り時」情報も教えてくれるそうなので、今後の会員サービス拡充にはぜひとも期待したい。

ヒカカク!は今後伸びていくサービスなのか?

今のところ競合らしき競合も見当たらないため、買取業者の比較サービスではヒカカク!が最も使えるサービスとなる。今後も利用ユーザーが増えていき口コミ件数が十分に集まれば、この上なく便利なWebサービスとなるのは間違いない

正直なところ、使いづらいと感じる点も多々ある。しかしまだ出来たばかりのサービスであるし、真価を発揮するのはこれからだと思う。今後どんどん使いやすくなっていくのだろうと期待している。

最近では「ミニマリスト」や「メルカリ」ブームもあり、人々が気軽に「モノを売ろう」と行動できる時代になった。一眼レフカメラのような高級品は捨ててしまうのは忍びないし、やはり良い買い手を見つけたい。

「近いうちに不要品を売ろう」と考えている人は、是非ヒカカク!を有効活用して、買取ショップを探してみよう。

薬事法違反を回避するレトリック(修辞技法)の実例と分析

薬でないものを薬であるかのように誤認させ、宣伝・販売を行うことは薬事法で禁じられている。例えば健康サプリメントを「10kg確実に痩せるサプリメント!」「背が伸びる栄養ドリンク!」のように効果効能を掲げて売るのはアウト。薬事法に抵触し、場合によっては逮捕される。

「背が伸びる」サプリ販売で社長逮捕――捜査員のネットパトロールで摘発 - 通販新聞
※追記・古い記事のため、リンク先のページが消えてしまった。内容については見出しからお察しの通り……。

上のニュース記事のとおり、冗談抜きでお縄となる。

さて「身長が伸びるサプリメントです!」と効果を謳っての販売はできないわけだが、世の中には「身長に悩みを持つ人」をターゲットとしたサプリメントが多数出回っている。

これらのサプリメントはいかにして、薬事法に抵触する「身長が伸びる!」などの表現を使わずに、「身長を伸ばしたい!」と考えるターゲット層に訴求しているのだろうか。

以下では実例をもとに、薬事法を回避するために用いられているレトリック(修辞技法)の分析を行いたい。

シネクドキ(提喩)による「ぼかし」の技法

さっそくだが以下の実例を見てほしい。

飲み続けるうちにびっくりするくらい自分が成長しているのがわかりました。

引用:Dr.Senobiru(成長期応援サプリメント―セノビル)

上記引用元サイトでは、アルギニンを配合したサプリメントを販売している。リンク先のランディングページを見てもらえれば分かるとおり「身長が伸びる」の表現は一切用いられていない。(「セノビル」という商品名はド直球だが……)

「身長が伸びる」は一貫して「成長する」という表現に置き換えられている。「成長する」はより広い概念を包括する表現だ。身長が伸びることはもちろん、勉学に励むことや友だちを作ることも「成長」の範囲に含まれる。

つまり「成長する」と一言に述べるだけでは、必ずしも「身長が伸びること」示しているとは言い切れない。子どもが苦手なピーマンを食べられるようになった出来事ひとつをとっても「成長した」と表現できるからだ。

このように「あえて表現をぼかすことによって、あるひとつの対象(ここでは「身長が伸びる」こと)を婉曲的に示すレトリックをシネクドキ(提喩)という。

シネクドキは、下記のような図式が成り立つときに、使用が可能となる。

シネクドキの図解

(シネクドキでは「身長が伸びる」→「成長する」と言葉を置き換える)

「成長すること」は「身長が伸びること」とイコールではない。しかし「身長が伸びること」は「成長すること」の一種である。このとき両者は包含関係にあり、「成長する」という上位概念を用いて、「背が伸びる」という下位概念を暗に指し示すことができる。

これが、シネクドキ(提喩)の使い方である。

シネクドキの一例

分かりにくいのでシネクドキの例を少し挙げてみよう。

・花見に行こう。(意:桜の花を見に行こう)

上位概念「花」/下位概念「桜」

「花」という語を用いて、花の一種である「桜」を見に行くことを指し示している。

・息子はお人形を集めるのにハマってまして……(意:息子はアニメのフィギュアオタクである)

「アニメのフィギュア」はたしかに「お人形」の一種ではある。あえてボカして表現することで、皮肉的な効果を狙っている。

メトニミー(換喩)による「ほのめかし」の技法

メトニミーは小説を書くときに多用するレトリックで、非常に応用の幅が広い。健康サプリメントのコピーライティングでも、積極的にメトニミーが用いられている。

以下、実例をいくつか挙げてみたい。

同じサッカー部の仲がいい友達が中学2年生あたりから急にぐんぐん伸びだして、あっという間に抜かれてしまいました。(中略)

そして、この スムージーを飲み始めてから、以前に比べて伸びていく感じがあります。学生服をもうワンサイズ大きいものにしておけばよかったという感じです。

(引用:伸び盛りの成長期をしっかりとサポートする「のびのびスムージー」

「学生服をワンサイズ大きいものにする」は、直接「背が伸びる」ことを指し示すわけではないが、両者には密接な隣接性がある。ある表現を用いて、それと隣接した概念を伝えるためのレトリックがメトニミー(換喩)である。

上記の文章は、「原因」と「結果」の隣接性によって機能するメトニミーの一例だ。

つまり「背が伸びる(原因)→学生服を大きくする(結果)」といった図式が成り立つ。メトニミーでは「原因」で「結果」を匂わすこともできるし、その逆に「結果」で「原因」をほのめかすこともできる。

例文を読めば「背が伸びたから学生服のサイズを大きくするのでしょ」としか類推のしようがない。

メトニミーの図解

主辞内顕による省略法

さきほどの例文の「ぐんぐん伸びだして~」「伸びていく感じ」という表現は、主辞内顕(しゅじないけん)と呼ばれる高等レトリックである。主辞内顕は、主語をあえて省略することにより主張をほのめかす修辞技法だ。

主語をはっきりとさせずに物事を匂わすのは、日本語独特のレトリックであるといえる。

ここでは「背がぐんぐん伸び出して~」「背が伸びていく感じ」とはひとことも言っていない。読解次第では「サッカーの技量がぐんぐん伸び出した友だち」に「試合で抜かれてしまった」のかもしれないし、「サッカーの実力が伸びていく感じ」がしたのかもしれない。

周りの子供に比べてうちの子だけが低いのが気になり、(中略)のびのびスムージーを飲み始めてから息子はぐんぐん成長していき1年後には背の順でならんだときにいまでは後ろから数えたほうがはやいぐらいになり、息子もすっかり自信をもってくれているので本当に続けてよかったです。

引用:伸び盛りの成長期をしっかりとサポートする「のびのびスムージー」

上の例でも、うちの子だけ「背が」低い、とは言っていない。(主辞内顕)低いのは学校の成績かもしれないし、運動能力かもしれない。

「ぐんぐん成長していき」の表現はすでに述べたとおりシネクドキ(提喩)のレトリック。

「背の順でならんだときにいまでは後ろから数えたほうがはやい」はメトニミー(換喩)で、後ろから数えた方がはやい(結果)→背が伸びた(原因)と、隣接性を利用して婉曲的な言い回しを実現している。

主辞内顕の図解

(主語を省略することで明言を避けつつも、「身長が伸びた」とほのめかしている)

レトリックの応用事例

朝礼で、どんどん後ろになるのが嬉しい

大きくなると、段違いに活躍できる!

引用:成長期を応援する!フィジカルB

「朝礼でどんどん後ろになる」これもメトニミーのうまい例。朝礼は背の順で並ぶので、後ろになるということは即ち「身長が伸びた」ということである。

「大きくなると」は、シネクドキと主辞内顕の複合技。「背が大きくなる」の省略形とも解釈できるし、「身長が伸びる(下位概念)→大きくなる(上位概念)」の言い換えとも解釈できる。

レトリック図解

周りの子がスラリとスタイル良くなっていってカッコイイ表現ができている中、自分だけ全然伸びなくて大好きなダンスをやめるか悩みました。(中略)フィジカルBを飲んで自信がついたから、発表会でも目立ててめっちゃ楽しいです。

引用:成長期を応援する!フィジカルB

これを最後の実例紹介としたい。やはり、シネクドキ・メトニミー・主辞内顕の3つがメインであることがわかる。

「自分だけ身長が伸びなくて」とは言っていないため、主語は「ダンスの技量が」とも解釈できる。しかし文脈は「背が伸びた」という結果を暗にほのめかしている。

背が伸びなくても発表会で目立つことはできようが、「発表会で目立てた」という結果は「背が伸びたから」という原因を暗示するものである。

まとめ

ここでは薬事法を回避する文章実例を元に「シネクドキ・メトニミー・主辞内顕」の3つのレトリックをご紹介した。健康サプリメントのコピーライティングには、他にもさまざまな修辞技法が用いられており、ライターの苦労の跡が垣間見える。

誤解しないでほしいのは、当記事はこのようなレトリックを積極的に用いることを推奨はしていない、という点だ。いかに薬事法の抵触を避ける文彩に優れようとも、消費者を誤認させるような宣伝は行うべきではない。

レトリックは正義を実現するための武器ともなれば、詐欺をはたらくための小道具ともなり得る。大切なのは、使い手の良心だ。くれぐれもレトリックに溺れてしまうのは避けたい。

そのうえで、レトリックを深く知ることは、ライターとして生き抜くためにも役立つ。知識はときとして相手と戦うための剣となり、ときとして自分を守るための盾となる。

健康サプリメントの宣伝文を読むときは、ぜひレトリックに注意して読み進めてみてほしい。きっと得られる技術は多いだろう。

(終わり)

追記(2016/05/06)

当記事では「薬事法」と表記しておりますが、薬事法は2013年の改正時に「薬機法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」へと名称変更がされました。

よって正しい表記は「薬機法」(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)となります。ご指摘ありがとうございました。

また、当記事は「このレトリックを使えば薬機法に抵触しない!」といったことを推奨・保証・主張するものではありません。

まとめ補足

今回ご紹介したレトリック

シネクドキ(synecdoche)/提喩(ていゆ)

上位概念で下位概念を言い表す。あるいは逆に、下位概念で上位概念を言い表す。

例:アメリカ国防総省の本庁舎 → ペンタゴン(五角形)/鶏肉と卵 → 親子丼

「メトニミー(metonymy)/換喩(かんゆ)」

隣接性にもとづいて、ある概念を別の言葉で言い換える。

例:働く → 汗水をたらす/書き終える → 筆を置く /人間失格を読んだ → 太宰治を読んだ(※「原因―結果」の他にも「全体―部分」「入れ物―中身」「産地―産物」などさまざまな隣接性にもとづくメトニミーが成り立つ)

「主辞内顕(しゅじないけん)」

主語を省略することによって主張をほのめかす。

例:「洋館は完全な密室状態。つまり、このなかに……いるんですよ」(犯人が)

(追記終わり)

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ランサーズの「タスク形式」でライティングをするメリットとデメリット

さっそくだがランサーズには4通りの稼ぎ方がある。

  1. コンペ形式
  2. タスク形式
  3. プロジェクト形式
  4. ストア形式

このうちコンペ形式は、イラストやロゴ、バナー等のデザイン案件が中心だ。したがってWebライターとしてランサーズで活動する場合「タスク」「プロジェクト」「ストア」のいずれかを選択することになる。

ここでは、初心者でも始めやすいタスク形式のWebライティングについて、メリットとデメリットの考察を行いたい。これからランサーズでライティング業務をしてみようという方の一助となれば幸いだ。

ランサーズタスク形式のメリット

タスク形式には(プロジェクト形式の案件と比較して)下記のようなメリットがある。

クライアントとのやり取りがない

タスク形式では原則としてクライアントとのやり取りが発生しない。原稿を駄目出しされて頭を抱えることもなければ、深夜2時にクレームへのメール対応に追われる心配もない。ただ、タスクを終えることだけに集中していればOKだ。

誰ともメッセージを交わす必要はなく、それこそ機械のように坦々とキーボードを売っていれば文字単価に応じた収入が受け取れる。「コミュニケーションコストが発生しない」という一点において、タスク形式は精神的に楽である。

仮に、顧客が容認出来ないほどの低品質な記事を書いてしまっても、怒られることはない。そのような記事の場合は「非承認」として、あくまで事務的に処理される。没原稿&無限リライトの恐怖に怯えなくとも済む。

納期がない

「ゴールデンウィーク明けまでに記事を納品してください!! 計30本!!」みたいな、胃がキリキリと痛むような納期がない。タスク形式の場合は、好きなときに書き始めて、好きなときに筆を置くことができる。

一応、タスクを受注してから作業を完了させるまでの「タイムリミット」が設けられている。しかし、仮に途中でタスクを放棄して時間切れになったとしても、とくにペナルティはない。自分に無理そうなタスクだと思えば、受注後でも簡単にやめられる。

「やめたいのにやめられない仕事」「切りたいのに切れない契約」ほど恐ろしいものはないが、その点タスク形式は一切のしがらみに縛られることなく、ドライに「作業をやめるかどうか」を決定できる。

作業量を調整しやすい

タスク形式であれば一日あたりの作業量を容易に調整できる。納期がトリプルで被ってしまって三日連続でほぼ徹夜の執筆に追われる――などといった寿命を縮める失敗を避けることができる。

そもそも、タスク形式で募集されている案件は100文字~1000文字程度の低負荷な執筆業務が多い。細切れの10分、20分の時間を生かして作業量をコントロールできるため、無理のないペースで執筆作業ができるだろう。

筆速が上がる

タスク形式は「1文字単価0.1円」のような低単価案件が多い。ゆえに時給800円ほどの効率で稼ごうと思えば、1時間で8000文字のスピードで書かなくてはならない。これは、恐るべき筆速である。

時速8000文字でキーボードを打ち続けるのは、腱鞘炎となるリスクが高い。なので、僕は「音声入力」による執筆をおすすめしている。

タスク形式では、高い文章力は求められていない。タイピングゲーム感覚で作業をするのも悪くはないだろう。1文字単価0.1円などといったふざけた価格で発注している以上、どのような記事が納品されてきたとしても文句は言えない。

――というより、発注者側は「そのこと前提で」記事を発注している。後述するが、初めから人間(・・)に読ませるつもりのない記事が文字単価0.1円で募集されているケースが多い。

ランサーズタスク形式のデメリット

タスク形式には、いくつかのデメリットが存在する。以下ではタスク形式の悪い部分についてご紹介したい。

入金確定が遅い

発注者次第だが、一般的に(プロジェクト形式と比べて)タスク形式は入金確定が遅い。プロジェクト形式であれば、記事納品の当日中に(多くの場合)入金確定する。

対して、タスク形式は作業完了後、入金確定するのが1~2週間後(あるいはそれ以上)となるケースが多い。(タスクが応募数いっぱいにまで集まるのを待ち、さらに発注者がそれぞれに承認作業を行うため時間がかかる)

文字単価が低い

「1文字単価0.1円」あるいはそれを下回る案件がたくさんある。ランサーズではシステム手数料20%がさらに差し引かれるため、冗談抜きで厳しい。だんだんと感覚が麻痺してきて「1文字単価0.3円」のタスクを見つけるとラッキー!と思えるくらいに。

すでに述べたとおり、文字単価0.1円では時給換算で500円に達するのも難しい。「ポイントサイトよりかはマシな、お小遣いサイト」としては利用できるが、本業ライターとして食っていくのであればタスク形式はメインにできない。

ただし音声入力などを用いて「時速1万文字!!」レベルで書けるのなら話は別。

非承認の理由が分からない

プロジェクト形式であれば、クライアントとコミュニケーションを取りながら継続的に取引きをしていくので、原稿が却下された場合にその理由を訊くことができる。

タスク形式では、理由は分からないけれど作業非承認にされた、というモヤモヤした自体が発生し得る。けれど僕は今のところ、作業が非承認になったことは一度もない。そうそう非承認に怯える必要はないと思う。

ブラックハットSEOに加担する恐れ

あまり言いたくはないが、クラウドソーシングはブラックハットSEOの温床となっている。文字単価0.1円で安く大量に記事を発注して、サイトを量産する。量産されたサイトはサテライトサイトと呼ばれ、検索上位表示のための被リンク資産として用いられる。

求められているのは「人間に読まれる記事」ではなく「検索エンジンに認識される記事」であり、適度にキーワードが出現していれば、それ以上のクオリティは求められない。(人工無能で自動生成したワードサラダよりマシであれば……)

被リンク対策以外にも、コンテンツボリュームを誤認させたり小規模なアフィリエイトブログを大量作成したりと目的はあろうが、褒められた話ではない。文字単価0.1円の仕事は、間接的にでもブラックハットSEOに加担してしまう恐れがあるのが最大のデメリットだ。

(反面、文字単価1円以上になると「なんとかギリギリで薬事法を回避して効果的に、水素水サプリの宣伝文を書いて下さい!」といった別ベクトルで闇な案件によく出くわす) 

 

なんにせよ、誰にも読まれない記事を書くことほど、Webライターにとって悲しいことはない。自分が何のために書いているのか、何のために生きているのか分からなくなる。

ブラックハットSEOに文章が利用される。これは、書くことに対する冒涜である。日々の生活があり、やむなく仕事を請けなければならないときもある。僕自身、決して立派な人間ではない。ただひたすらに悲しくなる。

どのような形であれ、書いて生きることは難しい。誇りを持って書き続けることは、さらに険しい。自分が何のために今、ペンを手にしているのか、問い続けて生きたい。

(了)

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WEBライティング技能検定を実際に受講してみた所感

僕は今、怒りに震えている。

しかし感情のままに書き殴るようではライター失格だ。

この記事では怒りのボルテージを最大限に抑えて(具体的には「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム」→「おこ」くらいに)、冷静に『WEBライティング技能検定』を受講したレビューを書いていきたい。

WEBライティング技能検定とは?

WEBライティング技能検定は、2015年に新設された検定試験で、その名の通り「ウェブライターとしての技能」を測るための検定である。一般社団法人日本クラウドソーシング検定協会が実施している。

試験を受けるためにはヒューマンアカデミーの通信講座「WEBライティング技能検定講座」を受講する必要がある。これが受講料32,000円 (税込)と奥様もびっくりのお値段なので、資格商法ではないかとの批判もあった。

上のブログでも書かれているとおり、この検定に合格して「WEBライティング技能士」となるためには、総額41,000円が必要となる。

(内訳)
  • 講座受講料:32,000円
  • 本試験料:6,000円
  • 合格証発行料:3,000円

※ちなみに、2年おきに更新料がかかるのは、一般社団法人日本WEBライティング協会が実施している『Webライティング能力検定』の方なので、本検定とは無関係である。混同無きよう。

これだけで、ボッタクリだ! 資格商法だ! と決めつけるのは、まだ早計かもしれない。受講講座および検定試験に本当に価値があるならば、4万円くらいの金額はすぐに元が取れるからだ。

そこで以下では、実際に当該講座を受講してみた僕の、実直なレビューを書いていきたい。

32,000円するWEBライティング技能検定講座の内容

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どんな教材が送られてくるの?

テキスト(基礎編1冊、実践編1冊)、問題集(基礎編1冊、実践編1冊)の計4冊である。写真を見ると「薄っぺらそうな冊子だな……」と思われるかもしれないが、実際に薄い冊子である。

教材のページ数は下記のとおり。

  • 『WEBライティング技能検定講座 基礎編』 70ページ
  • 『WEBライティング技能検定講座 実践編』 117ページ
  • 『基礎編 問題集』 32ページ
  • 『実践編 問題集』 44ページ

以上、上記4点で32,000円。薄っぺらいと見るか否かは、読者に委ねたい。

ちなみに、今なら『付録資料 ISV練習法―発想力・語彙力―』と『タイピング教本』が特別教材としてゲットできる。僕が申し込んだときにはこれらの特典は無かったので、早期に受講した人は貰える教材でやや損をしている

教材の内容はどうなの?

ページ数が少ないのは、まだ許そう。もしかしたら重要なエッセンスが1ページに濃縮されているのかもしれない。量より、質だ。

僕は期待を込めて、問題集の表紙をめくり、――絶句した。

はっきりと言おう。

『基礎編 問題集』『実践編 問題集』両方含めて、まったくのノー勉強で、僕は満点を取った。1問たりとも落とさなかった。(問題集の制作ミスにより元々の解答が間違っているものを除く)

僕の能力が高いだとか、そんな自慢をしたいのではない。Webライターをしているのであれば、問題集のたった1問でも間違えたら恥ずかしくて布団の上をのたうち回るような、それほどに簡単過ぎる問題が続いているのである。

 

試しに、読者の皆さんに1問出題してみよう。

【問い】情報における一次Source(ソース)という語について適切なものを選びなさい。

  1. 源、情報源のこと
  2. つけ汁のこと
  3. 情報の濃厚さについてのこと

[引用:実践編問題集 p.3 問6 /一部選択肢を省略/追記参照]

おいてめえふざけてるのか!! 焼きそばソースじゃねえんだよ!!と思われたかもしれない。まさに問題集を開けたときの僕の気持ちである。

実際には問題は4択で構成されているが、こんなもん何択だろうが難易度は変わらない。間違えようがない。決して冗談ではなく、このようなレベルの出題が『実践編の問題集』に並んでいる

ちなみに『基礎編の問題集』では、コンピューターウイルス対策として不適切なものを選ぶ問題が登場する。そして選択肢には《アルコール消毒》の文字が……。(基礎編問題集 p.16 問55)

※追記とお詫び(2016/04/19)

記事公開当初は引用の形を取っていなかったため、上記の「つけ汁のこと」の選択肢を「焼きそばなどにかけるつけ汁のこと」と紹介しておりました。しかし「焼きそばにつけ汁をかける」という表現の不味さに関して多くのご指摘を頂き、このままでは意図せざる部分で当該検定の価値を毀損してしまうため、引用の形式に改めました。

この部分について一切の責は僕にあります。訂正と共に深くお詫び申し上げます。

文法問題

他にも、文法問題が出題される。小学校、よくて中学校レベルの国語の問題である。

これも例題を出してみよう。

(問い)下記の文章の傍線部は文の成分の何にあたるか、1つ選びなさい。

 きれいな花がたくさん咲いた

  1. 主語
  2. 述語
  3. 修飾語
  4. 接続詞

[引用:実践編問題集 p.24 問46]

(追記2016/04/19:当初類似例題を載せておりましたが、問題集からの引用である、と誤解を与えてしまう恐れがあるため、実際の引用に修正しました)

繰り返すけれども、これで「実践編レベル」の出題なので、基礎編の問題集はさらに容易い。

小学校で習う国語はもちろん重要、だが……

誤解のないように言っておくと、こういった小学校・中学校で習う「文法の基礎」を馬鹿にしたいわけではない。基礎レベルの文法は非常に重要で、決して疎かにはできない

小学生や中学生向けの問題集を買ってきて文法を再学習することは、ライターを目指すうえでも意義のあることだと思う。

ただし、そういうのは書店で売られている800円前後の問題集に求められる役割だ。32,000円もするプロライター育成向けの教材に求められる役割ではない

その他、教材の問題点

問題集のなかに「誤字脱字が14箇所もある」(現在は訂正済み)というのも、突貫工事感が否めない。Wordの校正機能でも簡単に見つかるはずの誤字脱字が目立つ。

問題集の「解答・解説」もよろしくない。解答には『◯◯は◯◯です。詳しくは実践編 PART◯ CHAPTER◯を参考にしましょう』としか書かれておらず、肝心の解説を教本に丸投げしている部分がある。(とくに文法問題)詳しくは~と書かれているにもかかわらず、教本の解説はそこまで詳しいとは言いがたい。(とくに、文法問題)

ライティング実技問題の「模範解答」だが、これも危うい。模範解答であるのに「常体(だ・である)」と「敬体(です・ます)」の混在がある。(実践編問題集、p.33)他にも「~ですが」といった逆説の接続詞の多用も見られる。模範解答を添削してやりたくさえなる。

問題集では、模範解答と並んで「悪文」の例も提示されている。しかしこの「悪文」もあまりにも酷すぎて、唖然とする。えっ、悪文の例なのだから酷くて当たり前では? と思われる方は以下の文章を読んでいただきたい。

つゅはサイテー(´・ω・`)寒ぃし濡れるし、オシャレしても台無しになっちゃう!!<`へ´> つゅだいっきらい(´・ω・`)でもつゅ超えたら夏だから大好きwww(*´ω`*)

[引用:実践編問題集 p.27 悪文3/原文ママ]

悪文にも程があるだろ!!! むしろこれが悪文でないのなら何が悪文なのかを問い詰めたいくらいだ。

以上、ここまでは問題集の批判をしてきた。次は参考書について目を向けていきたい。

 

『基礎編』の参考書は70ページの文量で、WEBライティングをする上での基礎的な知識が書かれてある。「PDCAで自己管理しようね!」とか「Ctrlキー+S、で保存ができるよ!」とか「ウイルス対策のためにマカフィーなどのセキュリティソフトを入れようね!」といったことが書かれてある。

『実践編』の参考書は117ページの文量からなり、WEBライティングをする上での実践的なノウハウが書かれてある。こちらの教材は「相対的に」質が高いので、書店で1000円くらいで売られていても違和感はない。

修飾語や句読点、敬語の使い方から、重複表現の注意、体言止めの文彩、SEOとは何か、に至るまで、幅広く解説されてある。こちらの教本が『基礎編』であれば、まだ許せるのではないかと思う。

例えば実践編のCHAPTER06では「一文の終わりには句点『。』を忘れずに打とう! 読点『、』は意味で区切ろう!」といったことが親切に書かれてある。僕も参考書の教えに従って、この記事の一文の最後にはしっかり句点を打ってある。(役に立った!)

本試験は難しい?

WEBライティング技能検定の本試験は、択一式の問題とライティングの実技問題から成る。実技の方も、Wikipediaからコピペするだとか、文法が滅茶苦茶だとか、関係のないテーマで書いているだとか、そんな愚かなことをしない限りは大丈夫。

基礎さえできていれば無勉強でも『WEBライティング技能検定』に落ちることはまずあり得ない。その点は安心(?)されたし。

(ライティング実技の過去問は、公式サイトで公開されている。試験レベルについては上記サイトを確認してほしい)

この試験に落ちるようであれば、WEBライターとして生きていくのは絶望的に厳しい。

付け加えるならば、『基礎編・実践編』の問題集をたったの1問でも間違えたならば、ライターとして猛省しなければならないレベルである。

そしてこのような『誰でも受かる検定』に本当に価値があるのかどうか、甚だ疑問と言わざるを得ない。一次ソースの意味や、中学生レベルの文法を知っている方であれば、無理をして受ける必要はないだろう。

それよりも『ITパスポート』や『ビジネス実務法務検定』のような定番の検定試験をおすすめしたい。

ITパスポートもビジネス実務法務検定も、WEBで仕事をするのであれば、それなりに役立つ知識が得られる。もちろん、3万円の教材は不必要で、市販の参考書で勉強をすれば十分に合格できる。

WEBライティング技能検定は資格商法なのか?

検定を全否定するつもりはない。

試験に合格すれば、Webライターに必要な最低限の知識を身につけたことにはなる。逆説的に、この試験に受からない段階でWebライターを目指すのは「極めて危険」だとも言える。

だから、その意味では……、たしかに「WEBライティング技能検定」の社会的意義がまったく無い……とまでは言わない。けれども、これはあまりにも……、……教材がお粗末と言うより他ない。

資格商法だと揶揄されても、擁護はできない。

僕自身、クラウドソーシングで生計を立てているウェブライターであるし、クラウドソーシング市場の発展を心から願っている。だからこそ、悲しい。

1文字単価0.1円や0.2円の低賃金ライターを量産するのではなく、1文字単価1円や10円を超える質の高い記事が書けるライターを増やさなければならない。

そのためにも、WEBライティング技能検定は、今のままではいけない。教材の質を上げること、問題のレベルを上げること。

この2点を日本クラウドソーシング検定協会に強く望む。

(了)

2016年6月16日 追記

本検定に合格すると「WEBライティング技能士」の称号が得られる。ところが「◯◯技能士」というのは、職業能力開発促進法第50条に規定される名称独占資格であり、勝手に名乗ることが法令で禁止されている。

この点は日本クラウドソーシング検定協会の方にも各所からツッコミが入ったようで、2016年7月1日に名称変更されることが決まった。

「WEBライティング技能士」から新名称「WEBライティング実務士」へと変わるようだ。名称変更を良いきっかけとし、教材や試験の方も実務に耐え得るものへと変わることを切に願う。

また、この件についてメールフォームにて教えてくださった方々に深く感謝申し上げます。

(終わり)

ブログを1000記事書くのはどのレベルの労力なのか

 僕がアフィリエイト法人に勤めていた頃は、50記事もあればコンテンツ量の多いサイトだなぁ……なんて先輩と言い合っていた。1000記事となるとあまりにも膨大で、ちょっとイメージができない。

「ブログ飯」すなわちブログで月に10万円以上を稼いで生計を立てている人のサイトを見ると、1000記事超えは決して珍しくない。1000記事を書くためには、果たしてどの程度のレベルの労力が必要なのだろうか。

Webライターに1000記事を依頼した場合の金額

 僕は本業がWebライターだ。ただしライターはライターでもピラミッドの底辺に位置する物書きなので、文字単価はすっごく安い。ブログ記事であれば、1文字単価0.8円から請けることにしている。

(これでも、ランサーズ報酬獲得金額上位20%の認定ランサーに選ばれている。クラウドソーシングには1文字単価0.1円などといった恐ろしい仕事が溢れかえっている)

 で、クリック広告型の収益で食っていくとなると、ボリューム的には1記事2,500文字前後が理想かな、と思う。このブログも毎回そのくらいの文量になっている。

 なので1記事あたりの受け取り金額は2,500×0.8=2,000円。つまり1記事あたりの費用は2,000円と考えれば良い。

 1000記事すべてをWebライターに依頼した場合にかかる総費用はだから2,000×1000=2,000,000円。つまり、200万円!!!

 まぁこんなもんだよね、と思う。Webライター的感覚としては、破格の安さだ。ブログ1000記事をすべて外注した場合には、(よほど搾取しない限りは)当然にこの程度の費用はかかる。

1000記事に必要な文字数、執筆時間、日数

 これも先ほど書いたとおり、1記事2,500文字だとすれば、1000記事だと計250万文字。長編小説25冊分くらいのボリュームだ。速筆な小説家でも25冊の長編原稿を上げるとなれば2年はかかる。1000記事、というのはそのくらいに恐ろしい。

 ただしブログ記事であれば、小説のように「キャラ、世界観、プロット設定」や「推敲、改稿」などの作業がない(もしくは小説ほどには時間がかからない)ため、2年よりかは短縮できる。

 本業でライターをやるとして、無理をしない範囲だと1日に1万文字(1日4記事)は書ける。なので250日(8~9ヶ月)あれば1000記事は達成できる計算となる。あくまで専業ブロガーとなった場合の皮算用であるため、兼業でやるとなるとやはり3年くらいはかかるだろう。

記事数や文字数にこだわる必要性はあるか

 このブログ「Webライターとして生きる」は1000記事を目指してはいなくて、(まぁ100記事くらいは続けばいいな、でも僕いつも三日坊主だからな……)なんて考えている。ブログなのだからマイペースにやったらいいのではないかと思う。

 たしかに「目標1000記事!」「目標100万文字!」みたいに具体的な数値で目標を立てたほうが、モチベーションは上がるかもしれない。ランニングやウォーキングでも、何キロメートル走ったとか何万歩あるいたとか、そういった目に見える数字があった方が習慣の続く人は多いだろう。

 僕は悲観主義者ではないのだけど、自分はいつ死ぬのだろうかと毎晩考えてしまって、まるで未来の視えなくなった予知能力者のように目の前が真っ暗に感じることがある。

 1000記事を達成するまで自分が生きている、というイメージがまったくできない。だからその日その日で、書けるものを書くように心がけている。

書くことは命がけである

 書くことに限らず、僕たちは刻一刻と命を削り、新しい自分を刻み続けている。1000記事を書くのには、それこそ膨大な時間を費やす。果たして自分が今書いているものは、自分の命を懸けるのにふさわしいものか否か、よく考えなければならない。

 仮に収益目的でブログをやるにしても、お金というのは本質的に虚無であり、泡沫のような存在である。お金はとても大切なものであるが、それそのものを目的とした場合に、人々の生活は脅かされる。

 僕はミヒャエル・エンデの『モモ』を愛読していて、もう5回は再読している。読むたびに自分のなかでホラー味が増してゆく。決して資本主義や拝金主義を否定するわけではないし、僕自身もお金は欲しいしジャブジャブ稼ぎたいさ。(というより生活が……)

 とにかく、文章のひとつひとつには、生身の人間の血が流れている。文章は血で書かれなければいけない*1。書き手が自覚的であるか否かに関わらず、文章を書くのは命がけの行為だ。1000記事を本気で目指すのには、相応の覚悟がいる。

所有サイトを分散させるという選択肢

 ブログで1000記事を書くのは、一極集中型の考え方だ。僕は「卵をひとつの皿に盛るな」という分散投資の格言が好きなので、どちらかと言えば所有サイトは分散させる方が好みである。

 つまり1ブログ1000記事ではなくて、10ブログ100記事、というのも戦略としてはありだろうと感じる。分散させた分ひとつのブログの戦力は落ちるが「くくく、ブログAがやられたか……だが奴は四天王のなかでも最弱」「ブログBの自己ブランディングが失敗しても、まだ代わりはあるぜ」みたいな分散運営の安心感はある。

 じつは僕は筆名(ペンネーム)も分散型で、現在活動中のものだけでも10のペンネームを使い分けている。(将来は怪人二十面相になりたい)

 運営しているブログやサイトも、合わせると20程ある。(まったく稼げていないけれども)

 もしも1000記事にハードルを感じるのであれば、僕のように50記事~100記事くらいのブログをちょこちょこ作ってみるのも面白いと思う。自分のタイプに合ったブログ運営を楽しもう。

(了)

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*1:ニーチェ『ツァラトゥストラかく語りき』血でもって書け!

ランサーズでの「直接取引の誘い」には絶対に応じてはならない

 ランサーズを長らくやっていると、クライアントからたびたび「直接取引」の誘いを受けることがある。ランサーズではシステム利用手数料が20%も取られるため、ランサーズを介さずに出来る直接取引は大変魅力的に見える。

 例えば1万円の仕事を受けたとしても、システム利用手数料を差し引けば8000円しか(ふところ)に入ってこない。これが直接取引ならば1万円まるまるが貰える計算だ。

 だからランサーズ上でクライアントから直接取引を持ちかけられたら、ついつい誘惑に負けてしまいそうになる。しかし「ランサーズを介さない直接取引の誘い」には絶対に応じてはならない。仮にランサーズ運営にバレなかったとしても、やるべきではない。

 これからその理由を説明する。

大前提「ランサーズを介さない直接取引」は規約違反である

 言うまでもないことだが、ランサーズ上で「ランサーズを介さない直接取引」の誘引をすることは、ランサーズ利用規約に反する行為である。

 直接取引の誘引とはつまり、ランサーズのメッセージ欄に自分のメールアドレスや電話番号、スカイプIDなどを書き込んで「ランサーズではなくこちらに連絡ください。直接取引がしたいので」と持ちかけることだ。

 規約では、誘引だけでなく誘引に応じることも禁止されている。話を持ちかけたクライアントだけでなく、要求に応えたランサー側もアウトということだ。

ランサーズ利用規約 第33条 違約金及び損害賠償等

2.会員が第24条第1項第12号に違反し、本サービスを介さずに直接取引(直接取引を誘引した場合、または直接取引の誘因に応じた場合を含む)をした場合には、会員は前項に定める損害賠償金とは別に、違約金として、当該行為がなければ支払われていたと推定される第10条で定める弊社手数料の2倍に相当する金額(その額が100万円に満たない場合は100万円)を支払うものとします。

(引用:利用規約 | ランサーズ) 

参考:クライアントと直接取引をしてもいいですか? | ヘルプ | クラウドソーシング「ランサーズ」

 

 上記のとおり、直接取引の誘引に応じてしまうとアカウントを停止されることはもちろんだが、最低でも100万円の違約金を請求される恐れがある。もっとも「最低100万円」の部分は法律上妥当とは言えない金額であると感ずるし、実際に100万円を請求されたという話は聞かない。

 しかし、いずれにせよこのようなリスクを冒してまでクライアントの直接取引の誘いに乗っかるのは、愚策である。

 ちなみに、ランサーズのサイト文章の「引用」は、利用規約の第24条で禁止されている。ただしこの引用禁止の規定は「著作権法上認められている引用」までをも制限するものではない。揚げ足を取られる可能性があるので、念のため事前に弁解しておく。

 ランサーズを使って稼ごうとしているのであれば利用規約に違反してはいけないのは当然のことだし、クライアントとの直接取引がやりたいのであれば初めからランサーズを利用すべきではない。

もしも直接取引に応じた場合、受注者側が損をする

 ランサーズを介さない直接取引ができれば、クライアントは節約になるし、受注者側はシステム手数料で取られていた分が報酬として入ってくる。

 一見すると、Win-Winの関係だが、ここに大きな罠が存在する。大抵の場合、直接取引に応じてしまうと受注者側がトラブルに巻き込まれて手痛い損害を受けてしまうのだ。その理由は、簡単に説明できる。

クライアントが悪意の場合

 クライアント側が「ランサーズ利用規約に抵触するのを知っていて」直接取引を持ちかけてきた場合を想定してみよう。

 果たして、利用規約さえ守らない相手が、直接取引で締結した契約を守ってくれるだろうか? よくよく考えてみれば、このような相手と直接取引をすること自体が大変なリスクであることが分かるだろう。

 そう。だからクライアント側が利用規約に関して悪意である場合、このような誘いに乗ってしまうことそのものが失策も良いところなのだ。のちのちにトラブルに巻き込まれるのが恐ければ、決して直接取引の誘いには応じてはならない。

 僕も知り合いにランサーズ仲間が何人かいて、彼らのなかには直接取引に応じた人たちもいる。はっきり言って、良い話はひとつも聞かない。どうしてかトラブるのである。みんな、直接取引の誘惑に負けてしまったことを激しく悔いている。

クライアントが善意の場合

 ランサーズを初めて使う人や、クラウドソーシングに慣れていない人などで、このパターンは多い。ランサーズで発注をかける際にいちいち利用規約になんぞ目を通さないので「発注前にメールアドレスや電話番号の交換ができて当然でしょ?」と考えている。

 つまり、利用規約を知らない(法律用語ではこれを善意という)クライアントが直接取引を持ちかけてくる場合だ。これは一概に相手を責められない。ランサーズのチャット画面はお世辞にも使いやすいとは言えないし、ランサーズ上の取引の「ナビゲーションガイド」には、不親切なところもある。

 だからこそ、このようなクライアントと出会ったときには「ランサーズの正しい使い方」を教えてあげるのも、ランサーの役割のひとつだと思う。

『直接取引は利用規約に反しますので、連絡のやり取りはランサーズのメッセージ機能にてお願い致します。』といったことを素直に伝えたら大丈夫。

 ちなみに、メールアドレスの交換そのものが禁じられているわけではない。例えば「サイト制作」「SEO」などの仕事を請ける際に、Googleウェブマスターツールや、WordPressの権限設定をしなければならない。このときに相手方にメールアドレスを知らせる必要性が出てくる。

 その場合には連絡先公開申請という正規の手続きを経て、メールアドレスや電話番号を交換することができる。

参考:連絡先公開申請ってなんですか? | ヘルプ | クラウドソーシング「ランサーズ」

クライアントから直接取引を持ちかけられたらどうしたらいい?

 相手が明らかに悪意の場合には、無視しても構わない。メッセージを返すのであれば、(相手が善意であることもあるので)クライアントの気を害してしまう文面とならないように配慮しておきたい。

 下記に返信メッセージの例文を載せるので、コピー・改変するなりして、ご自由に使っていただけたら嬉しい。


○○様

ご連絡誠にありがとうございます。

お誘いいただいた直接取引の件ですが、大変申し訳ございません。ランサーズ利用規約にて直接取引は禁止されておりますので、当方ではお受けいたしかねます。

ぜひランサーズを通してご依頼をいただけましたら幸いです。

メールアドレスや電話番号の交換は、まずランサーズでご発注をいただき、仮入金(エスクロー)後であれば可能となります。詳しくはこちらのページ(連絡先公開申請ってなんですか? | ヘルプ | クラウドソーシング「ランサーズ」 http://www.lancers.jp/faq/A1014/401 )をご確認ください。

その他、ランサーズの使い方等でご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

どうぞよろしくお願い申し上げます。


 以上、ランサーズでクライアントから直接取引を誘われても「きっちり断ろう」ということをひたすら書いてきた。

 ランサーズで仕事を受注している方、発注している方のお役に立てたのなら幸いです。

(了)

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「認定ランサー指名料」は実質的な手数料値上げなのか?

 クラウドソーシングの『ランサーズ』で、新たに補償付き認定ランサーなる制度が開始された。例えば、著作権侵害や納期遅延などでクライアント側に損害が発生した場合に、ランサーズから損害賠償金の補償がされるという制度だ。

 名も知らぬ相手に仕事の外部委託するというのは、不安を伴う。だから「補償付き認定ランサー」は、たしかにクライアントにとって、とても安心できる仕組みだと思う。

 これでクラウドソーシングへの発注が活性化すれば良いのだが、この制度にはいくつかの批判もある。ここでは「補償付き認定ランサー」の懸念される点を包み隠さず書いていきたい。

補償付き認定ランサーの問題点

 ランサーズの認定ランサー制度には、次のような疑問の声があがっている。

1.認定ランサー指名料は、実質的な手数料値上げではないのか

 認定ランサーにプロジェクトを依頼する場合、クライアント側は「認定ランサー指名料」として依頼金額の2%を負担しなければならない

 2%なら、1万円の依頼で200円なので、大したことはないと思われるかもしれない。しかし、ランサーズではこれとは別に「システム利用手数料」で20%が取られる。

 さらに消費税の8%も考えると、依頼金額のじつに30%も費用が発生することとなる。クライアント側としては、できるだけコストを抑えたい。ならば「認定ランサーよりもむしろ非認定ランサーに依頼した方が得じゃないの?」と考えるだろう。

1-a.手数料はクライアントとランサーのどちらが負担するのか?

 ランサーズのサイトによれば、次のようになっている。

  • 認定ランサー指名料(2%)→クライアントが負担
  • システム手数料(20%)→ランサーが負担

 つまり、プロジェクトを発注してもらうときに「ランサーズシステム手数料込みで○○円で承ります。消費税、認定ランサー指名料はご負担をよろしくお願い申し上げます」と了承を得ておく必要がある。

 けれども、クライアント側としては「いやいや、初めから税込み・認定ランサー指名料込み込みで提案してよ」となるだろう。

 つまり、何が言いたいのか。

 認定ランサー指名料の2%は、現実的には「ランサー側負担」となってしまうこともあり得る。=認定ランサーになると1.7%の収入減となる可能性がある。(※認定ランサー指名料のうち、0.3%はランサー側にバックされる)ということ。

2.認定ランサーよりも、非認定ランサーの方に補償制度が必要なのではないか?

 そもそも、認定ランサーは「補償制度が必要になるようなトラブルが、極めて起こりづらいランサー」である。ランサーズから認定ランサーに選ばれるためには、以下のような条件を満たす必要がある。

  1. 報酬の獲得額が上位20%に入っている
  2. クライアントからの評価が4.8以上ある
  3. 仕事完了率が90%以上ある
  4. メッセージの24時間以内の返信率が80%以上である
  5. 機密保持確認、本人確認、電話確認などのプロフィール設定項目が済んでいる

 ゆえに、認定ランサーが著作権侵害や情報漏洩、納期遅延などのトラブルを起こす確率は、かなり低い。(そのための認定ランサーなのだから!!)

 だとすると、万が一のトラブル時の補償制度が必要なのは「認定ランサーよりも、非認定ランサー」の方である。補償制度をつける対象が逆ではないのか、という疑問は拭えない。

 クライアントとしても「この人は信頼できるランサーさんだから、継続的にプロジェクトを発注しよう」とランサーズで継続案件をかけているケースが多い。

 ある日突然、「このたび認定ランサーになったので、申し訳ないのですが指名料の2%をご負担いただけませんか」と言われたら、複雑な心境になるだろう。

 わざわざ信頼のできる人を選んで発注しているのに、どうして補償制度の費用まで負担しなければならないの?と思うはずだ。信頼のできる「非認定ランサー」を探した方が得だと思われては元も子もない。せっかく認定ランサーになったのに、報酬や受注が減ってしまうのであれば本末転倒だ。

提案「補償制度は、オプションにすべきである」

 僕は、認定ランサーの補償制度そのものを批判したいわけではない。クラウドソーシングでの取引の安全性を担保するためにも、このような補償制度があることは素晴らしいと思う。いちランサーとしても、ランサーズの取り組みを応援している。

 ただし、補償制度の必要性を感じていないクライアントにまで、負担させるのはおかしいとこれだけは主張しておきたい。クライアント側の自由を制限しては、クラウドソーシングのメリットが薄れてしまう。

 補償制度は(認定・非認定の制限なく)クライアントがオプションで選択できるようにするのが理想だと思う。そうでないのなら「認定ランサー指名料は、実質的な手数料値上げではないの?」と言われても仕方あるまい。

 ランサーズには大変お世話になっているので「ランサー側のシステム手数料を下げろ」みたいなことは僕は決して言わない。システム手数料の20%を負担してでも、ランサーズを使うメリットは大きいからだ。

 けれども、クライアント側に不便を感じさせるような制度はやめて欲しい。補償制度そのものは素晴らしい試みだと思うので、お願いだからオプション制にしてほしい。

 クライアントがクラウドソーシングに求めるものは、もちろん「安心して取引ができること」もある。しかし、それ以上に「コスト削減」というのが最も重要だ。(これこそが本音だろう)

 クラウドソーシングの発注者は、法人とは限らない。個人の方もたくさんいらっしゃる。たった2%の指名料でも、節約したいと考える人は多いだろう。何度も言うけれど、認定ランサー指名料はオプション制にしてほしい。

最後に

 ランサーズを利用されるクライアントの方、ランサーの方、それからランサーズの運営に携わっている方々が、この記事を読んでくださっているのだと思う。

 もしもこの記事内容に共感してくださったのであれば、ぜひランサーズの方へその声を届けてほしい。ランサーズ運営も、サービス改善のために尽力している。

 上のお問い合わせフォームや公式Twitterアカウントの方に、改善してほしいことを伝えるのが一番良い方法だろう。改善案は、できるだけ多くの人の要望が集まったほうが良い。

 ランサーズも一企業として、利潤を追求しなければならない。認定ランサー指名料の件は、クライアント側からの改善要望が強ければ、見直しに繋がるかもしれない。

 ランサーズ、そしてクラウドソーシングの発展を心から願っている。僕自身も、ランサーとしてこれからも頑張っていきたい。

(了)

 

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音声入力で原稿を書くメリットとデメリット

唐突だが、この文章は音声入力によって書かれている。使用ソフトは AmiVoice SP2。まだ音声入力を始めて三日目だが、音声入力ソフトの優秀さには驚かされる。

「めっちゃすごいよね! 音声入力!!」

「うん、すごいすごい! 中の人はこんなに滑舌が悪いのに……」

( ↑ みたいな文章をリアルタイムで、ひとり話しながら入力している姿を想像してみて欲しい。シュールだ)

誤変換・誤認識よりも、思考が追いつかないのが問題

もちろん漢字の誤変換はある。そのつどキーボードで修正してやらなければならない。スマホでの音声検索が普及したこんにちでも、音声入力ソフトはまだ完璧ではない。けれど、実用には耐え得るレベルだ

ただ、僕としては音声入力は難しいと感じる。悪いのは音声入力ではない。僕なんか滑舌がものすごく悪くカミカミなのに、AmiVoiceさんはよく頑張ってくれている。

問題なのは、自分自身なのだ。自分の思考が、音声入力に追いつかない。音声入力中は、頭が真っ白になってしまう。

例えば、講演会場でいきなり司会にマイクを手渡されて「今から30分間アドリブで何かしゃべってください」と無茶ぶりされたときのように。

これは音声入力に慣れていないのが原因だと思う。僕はキーボード入力に慣れすぎていて、思考も《頭》ではなく《指先》でやっている感覚がある。だから指先のダンスなくして、文章を入力するのがすごくもどかしい。

音声入力のメリットとは何なのか

音声入力のメリットは、執筆速度が《速い》ことだとされている。だいたい目安としては、1分間に200文字は入力できるらしい。これは圧倒的なスピードだ。もしも60分間しゃべり続けることができたなら、12,000文字も書けてしまう。

1時間で12,000文字!! 尋常でなく、恐ろしいことだ。もしも本当に時速12,000文字出かけたで書けた(←音声入力特有の誤変換の例)なら、3日もあれば長編小説が書けてしまうではないか。

ところが、音声入力に切り替えてから執筆スピードが上がったかと問われれば、必ずしもそうではない。いや、多分いまのところはキーボードの方が速い。キーボード入力の方に、思考が最適化されてしまっているからだ。

慣れないうちは「音声入力はぜんぜん遅いじゃないか!」と絶望するかもしれない。それは音声入力が悪いのではない。音声入力の本来のスピードに、思考が追いつかないのが原因だ。

この文章も、音声入力で書いている。実際に思考しながら入力した場合に、分速何文字ぐらいになるのか、最後に紹介できればと思う。実際のところ、話しながら思考をしていると、しどろもどろになってしまう。なので、多分大したスピードは出ていないと思う。

ブラインドタッチができる人であれば、そちらのほうが速いだろう。現在では「Google日本語入力」などの入力ツールが非常に便利で、キーボード入力を後押ししている。

例えば「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。」と入力しようとするときに、音声入力であれば「アリガトウゴザイマス、ドウゾヨロシクオネガイイタシマス」と発声しなければならない。ところがGoogle日本語入力を使えば「あり/どうぞ」とキーを打つだけで、上記の文章が予測変換で入力できる。

だから、場合によってはキーボードの方がスピード面でも優れている。(音声入力だと、あとで誤変換・誤認識箇所を修正するのにも時間が取られるし)

音声入力の本当の利点は《速さ》ではなくて《楽さ》

僕もWebライターをしているだけあり、ブラインドタッチはそれなりにできる。目が疲れたときなんかは、まぶたを閉じて手だけを動かしている。しかし最近は、職業病である腱鞘炎に悩まされていて、調子が出ない。

そう、だから音声入力の最も大きなメリットは、キーボード入力と比べて「楽だ」ということ。1日に1時間や2時間程度の作業では、あまり音声入力のありがたみは感じられない。けれど1日の作業時間が5時間を超えるようになってくると、もう本当に、音声入力サマサマである。

原稿書き終えたあとの、疲労感が全然違う。音声入力は、楽だ。カラオケで5時間熱唱大会したことのある人もいるだろう。声を出す、というのは、意外と長時間やっても疲れない。学校の先生だって、日に6時間も講義をしているではないか。

ヘッドセットマイクを使っているので、大きな声である必要はまったくなく、ぼそぼそとしゃべる感じで大丈夫。喉への負担も少ないはずだ。あと、ナレーターのように文章に抑揚をつけて読み上げる必要はない。(むしろ棒読みが推奨されている)

対して、5時間ぶっ通しで指を動かし続けるのは、疲れる。個人的には原稿用紙を前に手を動かすのも、ピアノを弾くような陶酔感があり気に入っている。しかし、毎日書かなければならないのであれば、できるだけ楽をするに越したことはない。

その意味で、音声入力では、《速さ》を追い求めるよりも《楽さ》を追い求めた方が良いのかもしれない。

音声入力と、小説を書くこと

少し話は変わるが、僕は業務上使っているこの音声入力を「小説の執筆に活かせないだろうか」と考えている。もちろん今のところは、この試みはうまくいっていない。《語り》で書くことに慣れていないからだ。

僕は指先で思考する。手を動かさないことには、どういうわけか文章にキレが出ない。普段は凝っているはずのレトリックに、生命が宿らない。次に書くべき描写もポンポンとは浮かんで来ない。

けれども、小説の口頭筆記には憧れがある。

物語は本来、口から口へと語り継がれるものだった。今のように小説家がキーボードをカタカタと鳴らす時代になったのは、ごく最近だ。人類の歴史で見れば、小説が《語られた》時代も、それなりに長かった。

子供に読み聞かせをするように、小説が書けたなら、素敵だなと思う。

音声入力のデメリット

誤認識は無くせない。漢字の変換にも弱い。(「司会」と「視界」など、日本語には同音異義語が多い。一応、文脈から判断はしてくれるものの……)

あとから修正すれば構わないのだけれど、意外とその間違いに気がつかないことが多い。

だから音声入力で書いた原稿は、誤字脱字チェックを念入りにする必要がある。僕は原稿の校正作業には、音声読み上げソフト(VOICEROID)を使っている。音声入力ならば長文でも楽々執筆できるものの、それに比例して誤認識文字の修正作業も増えるのはデメリットといって良いだろう。

音声入力執筆のポイント

それから、音声入力で原稿を書くときには、プロット(簡単な筋書き)あるいは台本のようなものを用意しておいた方が望ましい。せめて、何を書くのかの箇条書きメモは欲しい。

というのもプロットや台本がないのは「アドリブでしゃべり続けること」と同じなのだから、ものすっごく難易度が高い。この記事はじつはアドリブで書いている(話している)のだけれど、もう頭のなかがグルグルで、構成をきちんと考えてから書き始めれば良かった、と後悔している。

もう一つ。音声入力の際には「言葉の重複」に気をつけたい。会話のような感覚で原稿を書いていると、《口癖》が出やすい。「だから」「なので」「そして」「けれども」のような接続詞を多用してしまって、文章がくどくなったりする。

 言葉の重複は、できれば少ない方が望ましい。キーボード入力だと言葉の重複に気をつける癖がついている。ところが、音声入力だとどうしても気が緩んでしまう。

そこらへんはやはり、慣れなのだろう。

さて、ここまで文章を入力してざっと30分かかった。現在の文字数は1,942文字。分速64.7文字で書けている計算となる。

 

あれ、遅い……。遅いぞ……。なんということだ……。

目安の分速200文字には程遠いぞ……。くっ、これが現実……。

 

なんとか音声入力に慣れて、分速100文字を出せるようになれれば、AmiVoiceを買った元が取れる。頑張っていきたい。

 ※この文章は、初稿:音声入力30分/修正&改稿:キーボード入力20分によって書かれました。(総文字数:3420文字)

(追記)

AmiVoice SP2を使って半年が経過したので、詳細なレビュー記事を書いてみた。購入を検討中の方はぜひ参考にされたし。

音声認識ソフト『AmiVoice SP2』を半年間使ってみた所感(辛口レビュー)

※2016年12月1日更新

 

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「Adsenseの代替を考える」は発想の順序が逆である

『Google Adsense 代替』『アドセンス 代わり』このような検索キーワードで私の運営ブログに訪れる人が多い。たいていこのようなキーワードで検索をすると、上位表示される記事ではアドセンスの代わりとして忍者アドマックスやnendを勧めていたりする。この件について、クライアントのアフィリエイターの方と話していた。「むしろ逆だよなぁ……」という見解で一致した。

 アフィリエイターとしては、むしろアドセンスの方が『収益の代替手段』であり、メインはASP(A8.netなど)から得る成果報酬なのだ。まず前提条件として、アドセンスでは『1PVあたり0.1円の収益が発生する』と仮定して考えていきたい。この数字に関しては、ポジ熊さんのブログ飯は難しくないよ!ブログで飯を食うまでにかかる年月 - ポジ熊の人生記の記事を参考にした。上記記事を読めば、ブログ飯の難易度についておおよその見当がつくだろう。

月5000PVのブログの例

 私がメインでやっている「はてなブログ」は、1日に160PVほどあり、月平均で5,000PV、年換算で60,000PVある。アドセンスが1PV=0.1円だとすると、1年あたりの期待収益は6,000円だ。残念ながら、はてなPro(ブログの有料プラン)の料金さえ賄えておらず、赤字となっている。

 では、今後もPV数が変わらないとして、年間6,000円以上を稼ぐことはできるだろうか。もしもできるのであれば、その手法はGoogleAdsenseのパフォーマンスを上回っているといえる。

 例えば、A8.netにある成果報酬額6,000円のアフィリエイトリンクをブログに貼り付けるのはどうだろう。具体的商品名を出すのは規約違反なのでぼかすけれども「転職サイト/健康食品/クレジットカード/お絵描きソフト/ネット開設/引っ越し」などなど、さまざまな分野から成果報酬額が6,000円を超える案件を見つけることができる。

 年収益が6,000円以上であればアドセンスに勝てるのだから、つまりは上記の成果報酬案件が1年にたったの1回さえ成約すれば、目的は達成されたことになる。確率を計算してみよう。1PVあたりの案件成約率が1/60,000PV=0.0016%しかなかったとしても(換言すると6万PVでたったの1回しかアフィリエイトが成約しなかったとしても)アドセンスより効率が良い。

 1PVあたりの成約率が0.1%を超えるのであれば、アドセンスの100倍の収益が得られる計算となる。期待収益を考えると、このようなブログには「アドセンスを貼った方が損になる」(広告主がA8とGoogleの双方に出稿していた場合、喰い合う可能性があるため)

 じつはアフィリエイトで稼ぐためにPV数はさして重要ではなくて、狙うキーワードと運さえ良ければ、月100PVでも1万円は稼げる。

 もしもここまで読んでA8.netに興味を持った方がいたら、是非下のリンクから会員登録をして、アフィリエイターとしてバリバリ稼ごう!

アドセンスが代替として有効な例

 私は目玉焼きは片面焼きよりも両面焼きの方が好きだ。なのでここで結論をひっくり返しておく。純粋な収益目的では、アドセンスよりもA8.netなどの成果報酬案件を取り扱った方が稼げる。(というより効率が良い)

 しかし「好きなことを書きたい」「自分の趣味を生かしたサイトを作りたい」といった場合には、A8.netの代替収益手段としてGoogleAdSenseでのマネタイズを考えるのが有効だ。

 例えば私はリクガメを育てているので「リクガメの飼育情報サイト」を運営している。ところがマイナー過ぎる題材のために、A8.netなどを探してもリクガメ関連の広告案件がひとつも見つからない。リクガメ飼育情報サイトに「クレジットカードのアフィリエイト」のバナーを貼ったところで、まったく成果に繋がらないのは目に見えている。このようなときに、代替の収益化手段としてアドセンスが強力な武器となる。

 アドセンスの広告は、閲覧ユーザーの属性に最適化されたものが自動で配信される。ゆえに「ASPのまったく関係ないカテゴリのアフィを貼る」よりかはアドセンスの方が収益可能性が高い。これはリクガメ飼育サイトに限らず、雑記系ブログでも同じことがいえる。

 リクガメであれば飼育グッズが売れるため、Amazonアソシエイトや楽天のアフィプログラムも貼れる。けれども料率を考えると、とてもそれメインでマネタイズするのは難しい。やはりアドセンス一択となる。

(訂正)しばらくサイト運営をしていて分かったのだけれど、「Amazonアソシエイトと楽天アフィリエイト」の組み合わせで、アドセンス収入を上回る月がそれなりにあった。

 Amazonと楽天の収益を合算して管理するなら「もしもアフィリエイト」経由で2つをやるのが圧倒的に便利である。報酬の振込手数料ゼロだし、住信SBIネット銀行の口座を持っている人であれば毎月1円から振り込んでくれる。

雑記系ブログでアドセンスが止められた場合にはどうするか

 例えば地球に隕石が落ちたり、ムラムラしてエッチな記事を書いたせいで、ある日突然ブログのAdSenseが止められてしまった場合のことを考える。もしもAdSense復帰が不可能となれば、別の手段でのマネタイズを考えるしかない。

 私ならば、忍者アドマックスなどの代替手段に走るくらいであれば、成果報酬型のASPに切り替えた方が得策だろうと判断する。雑記系ブログともなれば、コンテンツ総量は100記事を超えているであろうし、被リンクもそこそこ集まっているだろう。ぜひとも、この資産を生かしたい。

『おすすめクレジットカード!』『おすすめ格安スマホ!』のようなASPの成果報酬に繋げるための記事を書こう。アフィカスだ何だと外野から揶揄されようが、AdSenseが使えなくなったのならばやむを得まい。読者を取るか、金を取るか。いや、もちろん読者にとって役立つ記事でなおかつ収益の発生する記事であればWin-Winで、それに越したことはない。この話は突き詰めると『自分は何のためにブログをしているのか』という、ひとつの疑問に到達する。

 金のためならば、はじめから成果報酬型ASPに特化した専門サイトを作ったほうがはるかに効率が良いだろう。ジャンルを絞ったサイトであれば1000記事も積み上げる必要はなく、50記事もあれば収益を得るには事足りる。

《書く》という行為に自分がどのような意味を見いだすか。それを知ることから、すべては始まる。

(終わり)

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プロブロガーを嗤う、夢あるいは現実。

 西日本を四十年に一度の大寒波が襲うのだそうで、ウェザーニュースが「三日分の食料を確保せよ!」と警告を出している。僕は冷蔵庫のなかを確認するが、モヤシとジャガイモしか入っていなかったので絶望した。窓からは神戸の港が見える。ベランダで大きな雪だるまを作って遊んでいた子供時代を思い出す。未来が光に満ちていた頃。

 若者が「プロブロガーになる」と高らかに宣言したら、周りの人間は(あざけ)るだろうか(わら)うだろうか。甘い夢みてんじゃねぇよ。社会に出て世の中の不条理と厳しさを知れ。現実を見ろ。若いやつは身の程知らずで生意気だ。――、――と。けれど、僕は「プロブロガーという夢」にはもっと遥かに深い暗闇を感じる。

 甘い夢? それは逆ではないのか。「プロブロガーになる夢」が最後に残り、それに縋りつくしかなくなるほどの、過酷な現実を彼らは知っている。夢を見ているのではない。むしろ生きていく過程で、あまりにも多くの夢を手放してきたのではないか。村上龍は『作家は人に残された最後の職業』と書いた。今の世でブロガーは、僕たちに残された「最後の」職業なのだろう。*1 

 僕はブロガー志望ではなかったし、他の学生と同じように真っ当な就職活動に取り組んでいた。ところが失敗した。得たのは百通を超えるお祈り手紙だけだった。あまりにも祈られ過ぎたので自分が神様になってしまうかと思った。今では辺境のWebライターをやって生きながらえているが、サラリーマンに対して劣等感が無いといえば嘘になる。劣等コンプレックスの塊である。だからこそ、ブロガーであることに誇りを持ち、前向きに明るく振る舞う若者を見ると、あゝ自分も頑張らなければ、何をやっているんだ俺は、みんな必死でもがいているんだあがいているんだ、私が本気で生きなくてどうするんだと、感ずる。

 冬に始まった新アニメで『灰と幻想のグリムガル』という作品がある。一話を視聴した。ファンタジーな異世界に飛ばされた主人公たち、冒頭ではチームを組んでモンスターと闘っていた。六人がかりで相手をしてもゴブリンたったの一匹に苦戦を強いられる。みんな息が荒くなっていって、血も流れている。絶望感の漂う戦闘のなかで、登場人物のひとりが声を張り上げた。「これは命のやり取りなんだ!」ゲームじゃない、これは命のやり取りなのだ、と。その台詞が妙に、自分の心に響いた。

 灰と幻想のグリムガルのキャッチコピーは『生きるって、簡単じゃない。』アニメの公式サイトを見ると、登場人物それぞれが未来に憂えた視線を投げかけている。こんなトップ絵も珍しい。*2

 ブロガーが文章を書き綴るのも、命を懸けたやり取りなのだろう。言葉には血が流れている。明るい文体で綴っていても、タイプする文字は血と涙でぐしゃぐしゃになっているのかもしれない。みんな、生きて、何かと戦っている。たとえ道の向こうに未来がなかったとしても、進むしかないのだ。生きるために。

 

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*1:『13歳のハローワーク』村上龍2003年 幻冬舎

*2:TVアニメ「灰と幻想のグリムガル」公式サイト


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